パワハラ・理不尽の極み!教育中にやたら飛び交う「連帯責任」とは?

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

自衛隊の新隊員教育中によく見られる光景(嫌がらせ?)の1つに「連帯責任」というものがあります。私が学生の頃は、まだ「one for all、all for one」みたいなことを言う先生が結構いましたが、今もそういう先生っているんだろうか…。

まぁ早い話が「1人がミスしたら、それは全員の責任」ってやつです。班員に出来ない奴がいると、本人ももちろん大変でしょうけど、それ以上に周りが迷惑します。というわけで今回は、新隊員教育の洗礼「連帯責任」についての話です。

 

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教育中の連帯責任のあれこれ

 

朝の点呼の遅刻

自衛隊では、朝6時になった瞬間に急いで集合場所に向かい、そこで点呼が行われます。ここでもし「起きなかった隊員を放置した」ということがあれば、「なんで起こしてやらないんだ?」となるのは、まぁそんなにおかしな話じゃないと思います。

普通なら起きなかった奴が悪で、起こさなかった奴はまぁ薄情ではありますけど、責任を咎められる言われは無いような気がするじゃないですか?

自衛隊では「起きなかった奴も悪いけど、それを放置した周りの人間も悪い」ということで、全員にバツが与えられます。この時の罰は大体腕立て伏せです。

 

まぁ朝6時になったら大音量でラッパが鳴りますし、前日は23時には寝てますし、朝起きれない奴ってそんなに居ないと思いますけどね。仮に居たとしても、それを周りが助けないってこともないと思います。

正確には「そいつを起こしている時間のロスが響いて、点呼にちょっと遅れてしまった」という出来事に対しての連帯責任になることが多いです。

 

服装の乱れに対する連帯責任

教育中は、ほぼ毎日「アイロンがけ、靴磨き」を行います。

陸上自衛官とアイロンの密接な関係とは?

 

これらは「サボらずにしっかりやっているか」をチェックされるのですが、まぁ最初からやるのを忘れたってレベルの人間はいません。

一生懸命やってはいるんだけど、「ちょっとシワがある」とか「靴が光ってない」とか、そういう部分で指導が入って班員全員が腕立て伏せという感じです。

 

私が新隊員だった頃は、みんな何かしらのイチャモンを付けられていて、特に「こいつのせいで、みんなが迷惑をこうむっている」という足を引っ張るような隊員はおらず、割と平和でした。

一方で隣の班では、1人だけ相当やばいレベルの隊員がいて、その隊員に対する罵詈雑言がすごかったです。

 

私の場合は、アイロンや靴磨きで指導を受けることは無かったものの、髭の剃り残しで結構やられましたね。電気シェーバーでガリガリやってたんですけど…「2本、長いのが残ってる!」とか言われて、20回の腕立てとかそんな感じでした。

自衛隊では、ジェルとかムースを使ってカミソリの方がおすすめです。何ならレーザー脱毛しても、決して損はないと思います。

 

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団結させるための連帯責任がもたらす悲劇とは?

 

困った時はお互い様という状況なら問題ないが…

もし誰かのせいで連帯責任が発生したという時に、正の字を書いてカウントしていたとしましょう。この時に大体横並びになるような感じなら、特に不平不満は出ません。

問題なのは、誰か1人がメチャクチャ足を引っ張っている場合です。

足を引っ張っている本人は「自分のせいでみんなが迷惑してる」と感じたうえに、場合によっては周りの隊員から「お前、いい加減にしろよ!」的なことを言われます。

 

明らかにやっていないとかなら、まだ責められるのも仕方ないかなぁって思うんですけど、私が見てきた限りでは「一生懸命やってるのは分かるんだけど、要領が悪すぎる」というケースが多いです。

靴磨きにしても、要領の良い奴はちゃちゃっと10分未満で仕上げるのに対し、出来ない隊員は20分とかずっと磨いてるのに、仕上がりが残念だったりするんですよね。

冷静に考えれば「一緒に靴磨きやろうぜ!」って感じで、その隊員のどこに問題があるのかを教えてあげたりって展開になるんでしょうけど、連帯責任で毎日毎日腕立てさせられた後だと、そういう優しさを持つのは難しいんでしょう。

 

自分以外の隊員に迷惑がいくのは結構きつい

私の前期教育時の班長は、罰を与える際は人の心をえぐってくる感じの人で、結構重いミスをやらかした場合の罰は、張本人以外に罰を与えるということをする人でした。

例えば、座学で寝てしまう隊員って必ず1人か2人は出るんですけど、こんなもんは懲罰もんです。うちの班では、寝た奴以外が死ぬほど腕立て伏せをさせられました。

この時、張本人は泣いて謝っていたので、相当応えたんだと思います。

同じ奴のミスで何回も連帯責任を背負わされるのも嫌ですが、自分のミスで自分以外が超絶重い罰を背負わされるのも相当きついです。

 

1番きつかったのは、某隊員のミスで坊主になったこと

 

一般社会じゃ考えられないだろうなぁという出来事の中に、班員のミスで私が坊主頭にさせられたということがありました。

私は自衛隊入隊時にスポーツ刈りくらいの感じで入隊したので、長髪のまま入隊した班員がバリカンでやられてるのを見て、「あー、近い将来こんな感じになるんだろうな」と思っていました。

 

そして班員がやらかしたミスによって、その班員の手で私が坊主にされるという…。

まぁ私自身にも「いずれやられる」という感情はありましたし、班長からも事前に「もうちょっとしたら坊主だな」みたいなジャブがあったので、私自身はもう腹は括っていてそんなに嫌でもなかったんですけど、バリカンでやる方は相当きつかったと思います。

 

連帯責任で「外出禁止」も相当キツイ

隊員の多くは「土日の外出をモチベーションに平日を耐えている」ということもあり、その土日の楽しみを奪われてしまうと精神的に堪えます。

ちょっとのミスくらいじゃ連帯責任で班員全員が外出禁止とはならないでしょうが、割と大きなミスを犯せば十分にあり得るペナルティです。

例えば「未成年の隊員の喫煙は禁止されているのに、それがバレてしまった」とか「銃の部品を無くしてしまった」とか「身分証を無くしてしまった」とか。

訓練中に銃の部品を失くしたら、見つかるまで徹底的に探すぞ

 

自分は悪くないのに外出禁止になったら、外出禁止の原因を作った隊員に死ぬほど腹が立つでしょうし、それによって班内の空気も悪くなりそうです。

ちなみに教育中は「出来なくても仕方ない」ということが結構あり、それを教育していく場ですから、よほどのことがなければ外出禁止にはなりません

自衛官へのペナルティの代表格「外出禁止」とは?|殴られた方がマシ

 

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最後に

坊主の例は極端だとしても、結構なミスをやらかすと「班員全員で外出禁止」くらいは普通にあり得ると思います。

靴磨きとかアイロンがけが甘いという程度じゃなく、座学中に寝るとか未成年が隠れてタバコを吸ったとかは、完全にアウトなやつです。

場合によっては班員同士の抗争に発展する可能性も否定できないので、連帯責任があった場合はアフターケアも含めて取り組むことをおすすめします。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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