自衛隊内に蔓延する賭け事「ジュージャン」とは?

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

自衛隊内では、自分の一存だけで周りのノリを拒否できない場面が多々あります(これはまぁ一般社会でも学生生活でも同じことが言えますが)。

 

まぁ余りにも距離を置きすぎても、結果的に「先輩から可愛がってもらえない」などの面でトータル的に損をするのは自分ですし、ちょっとくらいの精神的な負担で周りの輪を乱さずに済むのであれば、それを甘んじて受け入れるのが大抵の日本人ではないかと。

 

そこで今回は、自衛隊にありがちな「ジュージャン」と呼ばれる、謎の儀式についてご紹介します。

 

スポンサーリンク

ジュージャン=ジュースジャンケン

 

ジュージャンというのは、ジュースジャンケンのことです。

その場にいる自衛官全員がジャンケンをして、負けた隊員が参加者全員にジュースを奢るという、ただそれだけのことなのですが、なぜかこれが大盛り上がりします。

 

私も教育隊にいた頃は、それこそ数回程度しかやったことがありませんが、一般部隊では数えきれないほど巻き込まれました。

部隊を変えた先でもジュージャンを経験しなかった部隊は無かったので、陸上自衛隊の多くの部隊で「ジュースジャンケン」は日常的に行われていることと思われます。

 

「国家公務員たる自衛隊員が賭博やってんのか!」とお叱りを頂くかも分かりませんが、当時の私の上官が言うには「ジュースとか飯は一時的なものだから、お金を賭けるのとは違って賭博罪には当たらない」みたいなことを言ってました(知らんけど)。

 

スポンサーリンク

ジュージャンの厄介な点

主催者はみんながやりたがっていると思いがち

私は6年間陸上自衛隊に在籍していましたが、ジュージャンを嫌がる人というのはほとんどいませんでした。

私としては「こんだけ先輩にコキ使われて、ジュースの1本も奢ってもらえないのか」という感情もあり、ジュージャンというものがあまり好きじゃなかったんですよね。

自衛隊とお笑い界の上下関係の違い|先輩は後輩に奢ってくれる?

 

それに私はパチスロが趣味だったせいか、たかだか100円そこらを浮かせるためにそこまで熱くなれないという感じだったので、自分がやりたいというよりも「周りの輪を乱さないために仕方なく参加している」という感じでしたが、こういう考えの方が少数派だったイメージです。

つまり、大抵「ジュージャンやるか!」と言い出す人間は、「自分がやりたいんだから、みんなもやりたいに決まっている」という人が多いような気がします。

 

実際にやりたい人がやる分にはいいんですけど、そもそもこういうのって「リスクの大きさに比例して盛り上がる」ので、参加者は1人でも多くというのが鉄則です。

つまり私のような冷めた人の場合は、もらい事故みたいな感じになります。そして、なぜかやたらと負けます。

 

「参加しない人=可哀想な人」と思われがち

学生時代に登校拒否をしている人を「なんとか学校に来てみないかと誘ってこい」的な役回りがあったように、本人が好き好んでやっていることを、周りがあれこれ言うことってあるじゃないですか?

ジュージャンにおいても「参加しない人=可哀想な人」と思われるようで、参加しない人は自分の意思であっても、仲間外れ的な感じなんですよね。

 

そういうのもあって主催者は、とにかく全員を誘うという傾向があります。

借りに一度断ったとしても、相手も「今回は乗ってくるかもしれない」と考えるのか、また誘ってくることが多いです。最初から声をかけないのは、仲間外れにしている感があるからかもしれません。

 

大半の人は「ジュージャンくらい別にいいじゃん」と思うはずです。

ただ、私のようにどこか冷めた人間だと、この温度差を埋めるのに結構労力を割くことが必要になったりもします。

 

先輩によっては注文がうるさい

ジュースは基本的には自販機から購入してきます。自衛隊の敷地内には複数個所に自販機があって、一般的な自販機よりも販売価格が安いです。

私が自衛隊に在籍していた頃は、世間的には120円がデフォだったところ、100円で350ml缶が購入できる自販機がほとんどでした。

 

ちなみにジュージャンの参加者は、多い時には30人とかそれくらいになることも珍しくありません。すると、1人1人から注文を取るのもだるいので、大抵は「無造作に買ってきた中から、あとは序列順に選んでもらう」という感じになります。

ただし、中には「〇〇がいい」と注文を付けてくるクソ野郎先輩隊員がいて、そういうのに限って売り切れてるんです。

 

自衛隊には「3歩以上、駆け足」というルールと「上官の命令に服従する義務」があるので、先輩隊員が希望する缶ジュースを見つけられなければ結構な地獄だったりします。

そもそもジュージャン自体が小休止(休憩中)に行われるので、全速力で買って戻ってくる必要があり、自販機までの距離によってはかなりの重労働となるでしょう。

 

「上官の命令に服従する義務」こそがパワハラなのでは?

 

スポンサーリンク

各イベント、統制Tシャツなどの熱量の違い

 

自衛隊では、各スポーツイベントがあって、教育中においても「ソフトボール大会、バレーボール大会」みたいなイベントが結構あります。

学生時代も、そういう行事に擦れた印象を持ってる人っているじゃないですか?「合唱祭?くだらねぇ」的な。…それが私です。

 

私は前期教育時は班員のことが好きだったので、このようなイベントも積極的に参加していましたが、後期教育時は班員とあまり仲良くなかったせいか、このようなイベントには積極的に参加しませんでした。

そして自衛隊は体育会系の組織なので、必ず熱い奴がいます。「もっとみんな声出して行こうぜ!」的な奴が必ずいるので、そういう人間と衝突しないように立ち回るのも才能の1つかもしれません。

 

まぁイベント行事に関しては、一生懸命やる人間の方が正しいと思いますし、そっちの方がカッコイイです。人間としても優れていると思います。

ただ、事あるごとに名前の入ったTシャツを作る風習は、マジでやめて欲しかったですね。

前期教育、後期教育、一般部隊、錬成隊…。どんだけTシャツ作りたいねん!

「なに?お前の親戚がTシャツの印刷を請け負ってんの?」ってくらい、とにかくTシャツを作りたがる人が多かったイメージがあります。

 

こういう時、みんなと同じ熱量でいられれば楽しめるかと思いますが、浮いてしまうと結構な地獄です。お酒が飲めないのに、無理やり飲み会に連れて行かれる感じですね。

一般社会なら「勤務中とプライベートがハッキリ分かれている」ということが多いものの、自衛隊はプライベートも仕事の延長みたいなところがあるので、尚更地獄に感じるのではないかと思います。

 

スポンサーリンク

最後に

自衛隊は良い意味でバカの集まりなので、その場のノリを重視されることが多いです。

 

たまに腹が立って正論を振りかざしたくなる時もありますが、そうなると上官からの反感を買い、人事異動の面で不利があることも否定できないでしょう。

 

譲れないポイントについては我を通すことも大切ですが、そうでなければ周りと歩調を合わせる能力も重要だと感じました。これから入隊される方、ぜひともご注意を。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

金銭面
スポンサーリンク
もとじブログ