新隊員時代の当直残留の話|真面目な奴ほど損をする馬鹿げたシステム

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

今回は、陸上自衛隊の中では当たり前のようにあって、かつ一般的には「なにそれ?」って感じるようなシステム「当直残留」についてご紹介したいと思います。

 

簡単に言うと「仕事が休みなんだけど、駐屯地の外に遊びに行くことができない」というルールで、単なる嫌がらせではなく、割とちゃんとした理由を持っているだけにタチが悪いという…。

 

これを知らずに部隊配属されると、新隊員の中には「こんなん自衛隊に休みが多いと言われても、外に出られないんじゃ意味ないじゃないか!」と感じる人もいると思うので、今回はそんなお話です。

 

あくまで私が所属していた部隊の話なので、微妙に制度が違う部隊も存在すると思います。予めご了承ください。

 

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当直残留とは?

 

当直残留とは、有事の際に対応できるよう最小限の人員を駐屯地内に残すというルールです。

 

有事の際っていうのは、デカい地震が来たとか、どっかで災害が起きたとか。駐屯地が何者かによって攻め込まれたとか…。

あとは、どっかの国が飛翔体を発射したとかですね(これはもう慣れっこになってきて、いちいち警戒なんかしてないと思いますけど)。

 

ちゃんとした職務で残る場合もあれば、仕事は休みで「部屋で休んでいる分には構わないけど、駐屯地からは一歩も出るな」というパターンもあります。

 

前者は各部隊の職務によって変わってくるものの、分かりやすい部分で言うと「駐屯地の前に立って見張っている人」なんかがそうです。

この人たちは職務で駐屯地の出入り口に立っているので、土日勤務していても後からちゃんと補填されます(代わりに別の日が休みになる)。

 

一方で、見張りをするわけでもないのに「駐屯地内に残っていなくてはならない隊員」というのが結構いるんですよね。この人たちが「残留」です。

そして、自分が担当している施設の巡回を始め、人員の掌握(外出の許可や門限の管理、点呼など)を行うのが「当直」です。

 

基本的には「休みの日に当直=比較的立場の強い陸曹/休みの日に残留=立場の弱い陸士(特に新隊員)」という感じでした。

当直に関しては病院などでも普通に見られる制度ですが、残留という制度は一般的にはそんなに無いと思います(あっても警察、消防くらい?)。

 

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当直残留は土日だけでなく、毎日の話

 

当直、残留に関しては、何かあった時に対応できる人員ということなので、常に誰かしらが割り当てられています。

そして当直は営内(寮)に住んでいる・住んでいないは関係なく、残留は営内に住んでいる隊員のみに割り当てられます

 

そのため、当直は「結婚して駐屯地外に住んでいる、ある一定の階級以上の隊員」が担当することも多く、1部隊で1日1人という感じです。

3日程度で交代となります。

 

一方で残留の場合は、外出したりできないというルールになっているので、営内に住んでいる隊員に割り当てられます。

部隊の規模にも左右されると思いますが、私が所属していた部隊では「毎日、2人か3人」くらいの若い隊員が、残留として割り当てられていました。

これは基本的に、毎日交代です。

 

下っ端隊員の頃は、平日の外出なども許可されないことが多く、まして週末に外泊できる日数なども制限されているので、平日の仕事終わりにわざわざ外出しようという隊員はそんなに多くないです。

なので、平日の残留なんか痛くもかゆくもなく、ただただ「土日に残留を割り当てられないように祈る」という感じですね。

 

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残留する隊員を決めるのは…

 

あくまで私がいた部隊の話ですが、残留隊員を決めていたのは「新隊員の2期~3期上の陸士」でした。

いわば「陸曹間近の隊員(よく言えばベテラン隊員、悪く言えば陸曹になれずにくすぶっている隊員)」です。少なくとも陸士の中では力を持っている部類の隊員が、これを決めていました。

 

もちろん好き嫌いをモロに反映させてくる人も少なくないです。

まぁこれは人間なんで仕方がないとして、個人的に厄介だと思っていたのは「1期上の隊員がこれを担当する場合」です。

 

基本的に「残留=押し付けるもの=出来ることなら避けたいもの」なので、自分より立場が上の隊員には振り分けにくいと言わざるを得ません。

で、この場合だとほぼ間違いなく新隊員にがっつり振り分けられるのですが、新隊員の中でも「平等に振り分けられる」というわけでもないんですよね。

 

というのは、月ごとに残留を割り当てる担当者も変わるので、その担当者はいちいち「前回、貧乏くじを引いた新隊員が誰なのか」を確認しません。

というわけで、明らかに先輩たちから嫌われていて「こいつは残留でいいだろ」と思われる率が高い隊員が出てくることもあります。

 

その逆で、みんな後輩から嫌われたくないので「こいつなら分かってくれる/こいつなら文句を言わない」という隊員にも振り分け率が高くなったりもします。

ちなみに私は嫌われていたかも分かりませんが、たぶん「普段からあまり外出しない」といイメージを持たれていたせいか、残留を引く確率がすげー高かったです。

 

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組織上、仕方のない制度とは言え…かなり残酷

 

個人的には、別に残留自体は「部屋で休んでればいいんでしょ?OK」って感じでした。

私は地元じゃない都道府県に飛ばされたので、その地域には自衛官以外の友達もいませんでしたし、特に「お酒を飲みたい/パチンコに行きたい/ゲーセンに行きたい/買い物をしたい」という欲求もなかったんですよね。

 

残留でも駐屯地から出られないだけで営内からは出られるので、外を走ったり、部屋でゴロゴロしたり…。

あとは同じ残留に割り当てられた隊員と一緒に、当時流行っていたモンスターハンターというゲームをやって、十分にリフレッシュできたという…。

 

しかし、何か趣味があって週末外出を楽しみにしているという人や、外に恋人がいるという場合は、まるで土日に残留を割り当てられたら「この世の終わり」かの如く、落胆する隊員も少なくなかったです。

 

ちなみに残留は、他の誰かが引き受けてくれたらOKなので、私のような同期がいれば「残留代わってあげてもいいよ」となることもあります。

だから、同期は大事にした方が良いです。そして、出来ることなら先輩隊員にも気に入られた方がいいです。

 

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最後に

私がいた部隊はあくまで「駐屯地が割と大きい」ということもあって、休みなのに外出できないというパターンもありましたが、小さい駐屯地だと「勤務員が残留を兼ねる」ということもやっていたので、こればかりは「どこに配属になるか」という運に左右される部分もああると思います。

 

あとは、押し付けられる場面がようやく終わったかと思うと、今度は「後輩に押し付ける立場」になることは、理解しておいた方がいいでしょう。

この時「自分も我慢したんだから、お前らも我慢しろ」となるのか、「自分は嫌だったから、後輩にはそういう思いはさせない」となるのか。ここもその人次第です。

 

ここで後者になってしまうと、真面目な奴ほど損をするという感じになるので、後者だった私は「仕方ないとは言え、残留ってバカバカしいなー」と今でも思っています。