自衛隊の寮生活の内部事情を大暴露!!|門限・点呼・起床時間や就寝時間などのあれこれ

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

私は自衛隊に入隊するにあたって不安だらけでしたが、しいて挙げるなら「寮生活(営内生活)」を1番不安視していました

プライベートな時間があるのかどうかを始め、「先輩隊員と四六時中一緒ってマジ?」とか「寮の中ではテレビ見たりゲームしたりできるの?」とか…。

 

このページでは陸上自衛隊内における寮生活のあれこれについて、詳しく解説していきたいと思います。

私が陸上自衛隊に在籍していた時代の話(10年くらい前)なので、時間関係が若干違うかもしれません。あくまで1つの目安として捉えてください。

 

スポンサーリンク

新隊員時代(入隊~半年間)

6:00 起床

 

新隊員時代を含め、基本的には毎朝6:00に起床し、その直後に点呼が行われます。

6:00ちょうどにラッパが鳴るのですが、それが鳴った瞬間に迷彩服を着て、迷彩帽を被って、ダッシュで点呼場所に向かうという感じです(帽子を被るかどうかは点呼場所にもよります)。教育部隊に配属されているうちは、点呼に集まる時間があまりにも遅かったりすると、点呼の後で腕立て伏せが待っていたりするので注意が必要ですね。

どんなに朝が弱いという人でも周りの焦りっぷりもありますし、1人でも遅れれば連帯責任ということもあって仲間同士で起こし合ったりしますから、本人に少しでも起きる気があれば問題なく起きれるでしょう。

パワハラ・理不尽の極み!教育中にやたら飛び交う「連帯責任」とは?

 

点呼が終わったら、ベッドを片付けたり身支度をしたり掃除をしたりします。この時、ほぼ全員がトイレに並ぶのですが、個人的にはこれがいつまで経っても慣れませんでした。

明らかに「さっきまで誰かが入っていた個室」に入ることになるので、生暖かい空気感やニオイをリアルに感じるでしょう。いい年の屈強な男たちがトイレットペーパーを片手に順番待ちをしている姿は、情けなくもあり悲しい気持ちになったのを覚えています。

朝のトイレの渋滞|立ち込める悪臭にあなたは我慢できますか?

 

あとは6:15分頃に食事ラッパが鳴るので、それが鳴ったら食堂に行ってご飯を食べます。イメージ的には「自分でお盆を持って並ぶ学校の給食」みたいな感じでしょうか。お椀やお皿に盛りつけられているものを取っていくという感じです。

駐屯地によっては「ご飯や単品系のおかず(トングとかで簡単に取れるやつ)はセルフサービスで、汁物などのモタつきそうな食事は既に用意されている物を受け取る」というスタンスだったりもします。このあたりは、駐屯地の規模や人数によりけりでした。

ちなみに肝心の味については、可もなく不可もなくと言ったところですね。

実質タダみたいなものなので文句は言えませんが、記憶に残っているメニューなどは一切ありませんので、言葉を選ばずに正直に言うと「マズくて食べられないってことはないけど、決して美味しいわけじゃない」という感想に集約されるでしょう。

自衛隊の寮で食べられる食事のクオリティとは?当たり外れはあるが満足できるレベル

 

食堂には寮内に住んでいる全自衛官が集まってくるので、食べるまでにもそれなりに時間が掛かります(ここは駐屯地にもよると思いますが)。食事を食べ終わったら少し落ち着く時間があり、あとは朝8:00からの職務に向けて着替えたり準備をする時間です。

ちなみに後輩隊員が出来るくらいのポジションになれば、「朝ごはんはいらない、二度寝がしたい」などのわがままも通用します。もちろん部隊によるんでしょうけど、朝と昼とで明らかに食堂への集まりが変わってくるので、朝は食べないという隊員も少なくないと思います。

「自衛官って朝何時起き?二度寝はできないの?」という質問に答える

 

8:00 課業開始

 

朝8:00になると国旗掲揚があり、そこから午前中の職務が始まります。多くの教育隊で職務の15分前くらいから朝礼があると思うので、実質7:45には集合場所に集まっているような状況になるでしょう。

教育中の職務内容については、自衛隊生活で必要な号令などを覚えたり、体力を付けるための訓練をしたり…。基本的には「これから自衛隊で生活していくための基礎・基本を学ぶ時間」と思っていればOKです。

 

もちろん自衛隊の中のルールを学ぶ勉強の時間もあります。

この勉強の時間はとにかく眠くなりますが、言うまでもなく寝た奴が出たら後で死ぬほど腕立て伏せをさせられることになるので注意してください。場合によっては外出禁止もありえます。

自衛官へのペナルティの代表格「外出禁止」とは?|殴られた方がマシ

座学をする教官によっては「寝てもいい」と罠を張ってくる場合がありますが、そもそも税金でお給料をもらっているので、課業中に寝ることは許されないです。

 

12:00 昼食

 

お昼になると休憩時間ということで、食堂に行って昼食を摂ります。食事を摂ったら、13時までお昼休憩です。

確かこの時間帯は、新隊員教育中だろうが何だろうが寝てもOKだったと記憶しています。ただし午後の課業が13時から開始できるように、5分前行動をしなくてはならない点は注意が必要です。

 

13:00 課業開始

 

13:00から午後の課業が始まります。やることは午前中の続きというケースもありますし、午前中は野外活動で午後は座学だったり…色んなパターンがありますね。とりあえず新隊員時代はそんなに難しいことはありません。黙ってやれと言われたことをやっていればOKです。

ただし黙って言われたことをしっかりやっていても、たまに理不尽なことを言われるのだけは避けられないと思います。これについては「一種の伝統」だと思って腹をくくるのがいいでしょう。

 

17:00 国旗降下(課業終わり)

 

17:00になると国旗が降ろされ、この日の課業が終了します。あとは食堂でご飯を食べ、お風呂に入り、待ちに待った自由時間です。

ただし自由時間にも色々やらなくてはならないことがあります。その日に使った戦闘服などの洗濯や、半長靴の整備、翌日に使用する備品の準備などです。

私が新隊員の頃は1つの班が10人編成だったのですが、この10人で1つのアイロンを交代交代で使用していましたので、順番を待っている間は洗濯物を干したり、半長靴を磨いたり、ケータイをいじったりしていました。

陸上自衛官とアイロンの密接な関係とは?

 

4月入隊だったとして最初の1週間は余裕がないかもしれませんが、2週間目以降にもなれば余裕ができるようになるので、この時間は割と楽しく過ごせるんじゃないでしょうか。

部屋にテレビもあったので普通に見れましたし、「ちゃんと片付けるならゲーム(テレビを使ってやるようなやつ)をやってもいい」くらいの自由度だったと記憶しています。

 

22:40 点呼

 

22:40に就寝点呼です。ちゃんと人員が揃っているか、体調を崩している人間がいないかなどのチェックですね。ちなみに自衛隊の新隊員教育期間中は、体調管理に関しては良い意味でかなり厳しかったです。ちょっとでも具合が悪ければ、医務室で休むことができました。

「歯が痛い」なんて理由で訓練を免除された同期がいたという記憶も残っています。いずれにしても、体調面に関しては多くの人が想像するような「根性論」みたいな感じはないですね。

自衛隊入隊時に虫歯があると入隊できない!?実体験を元に答えます

 

23:00 就寝

 

人によっては「そんなに早くに寝れない」と思うかもしれませんが、意外とぐっすりいけます。日中は慣れないことをやっていて疲れも溜まりますし、毎朝6:00起床ですし…。1週間もすれば慣れると思いますよ。

第一、ここで寝れるようになっておかないと日々の訓練(特に勉強系)がしんどくなってくるので、大人しく寝た方が無難です。

 

ちなみに修学旅行のようなノリでたまに上官が部屋に点検に来ることがありますが、基本的には布団をかぶってスマホをいじっている分には、よほどのことが無い限りバレることはないでしょう。

私の時は23:30くらいまでは誰かしら起きているような感じで、小声で喋ったりもしていましたが、そのうち速攻で寝るようになりましたね。

 

ちなみに同じ部屋にイビキのうるさい隊員がいると、結構しんどかったりもします。

これについてはお互い様的な部分もありますし、何よりも「うるさい隊員もわざとやっているわけではない」という部分が痛いくらいわかるので、余計にストレスです。

同じ部屋にイビキが凄い隊員がいると地獄という話

 

あと新隊員教育が終わって部隊配属された後は、「部屋の電気は消してるけど、小さい電気を付けて起きている」とか「暗い部屋でゲームをする」くらいのことは普通にしていました。

この辺は同じ部屋で1番偉い人がどういう対応をするかによって左右されますが、私の部隊ではほとんどの隊員がそんな感じだったと思います(新隊員が慣れてきたくらいで解禁されるようなイメージ)。

 

スポンサーリンク

新隊員時代の休日

 

新隊員時代も土日になれば外出することができます。外出時間は朝の8:00から門限までということになりますが、門限は部隊によって違うかもしれません。

私の所属していた教育隊では「夜の点呼(22:40)にちゃんとした服装で出れる時間帯に帰ってくればOK」とかだったと思います。一般部隊配属後は、駐屯地や所属部隊によってルールが若干変わるものの、基本的には似たような感じになるでしょう。

自衛隊の門限の話|門限は何時?破ったらどうなる?

 

ちなみに週末の外泊が許されるようになるのは入隊から1年後とかで、あとはゴールデンウィークやお盆・正月休みなどでは特例的に外泊許可がおります。

そのため4月に入隊した新隊員にとっては、入隊して1ヶ月後のゴールデンウィークで「自衛隊に戻りたくない病」が発動することも。私が新隊員だったのは15年くらい前の話ですが、ゴールデンウィーク明けに全員死んだような顔で集まったことを今でも鮮明に覚えています。

戻ってこなかった隊員もいました。

脱柵者、脱走者|駐屯地に帰ってこない隊員は最終的にどうなる!?

 

スポンサーリンク

部隊配属(半年~)

就寝時間などは部屋長によってルールが変わる

 

入隊してから半年が経過すると、新隊員という立場に変わりはないものの、満を持して教育隊を卒業します。そして各部隊に1番の下っ端として配属されるようになるのですが…。

これまでは同期と一緒に10人くらいが同じ部屋に寝ていた環境だったのが、部隊配属されると部隊の先輩との共同部屋になります。

私は通信群と呼ばれる部隊に所属していましたが、新隊員2人が1期上の先輩と2期以上の先輩がいる部屋に振り分けられたような感じでした。ちなみにこの辺りから、同部屋の先輩によってキツさが大きく変わってきます

 

私の部屋の部屋長(3期上の先輩)は「自分が二度寝をしているから」という理由で、朝の点呼が終わった後は二度寝OKでしたし、朝の点呼終わりに部屋を掃除すると二度寝の邪魔だという理由で朝の掃除もありませんでした。

夜も23時以降に普通にテレビを見たりしていて、私が起きていたからと言ってそれを咎められるようなこともなく、比較的ゆるい雰囲気でやれたと思います。

ただし他の部屋を見ている限りでは「俺は俺、新隊員は新隊員」というのが原則的なルールであり、先輩は二度寝をしてもいいが新隊員はダメという感じの部屋がほとんどでしたね。なのでこの辺は「どんな先輩に当たるか」という部分で、大きく運が関わってくるように思います。

 

外出のできない休日が登場し始める

 

教育隊に配属されていた頃は、普段の生活態度が悪かった場合の罰以外の理由で、外出を制限されたりすることはほとんどありません。

しかし部隊配属されると、仕事が休みなのに自衛隊の敷地から外に出られない日というのが登場することがあります。いわゆる「当直」と呼ばれる制度です。

自衛隊は有事の際に最低限動ける人員がいないといけないため、土日にも敷地内に残らなければならない人間が必要です。やはりみんな休みの日は外に出たいですから、誰かが泥を被らなきゃならないならそれは必然的に下っ端になるでしょう。

 

誰が決めるかにもよると思いますが、このあたりで「普段から先輩に可愛がられているかどうか」などの立ち回りが重要になってくるので、よほど世渡りが上手でもない限りは、せっかくの休みでも自衛隊の敷地内に残らなきゃいけない日がくるはず。

ちなみに頻度としては、あくまで私の場合ですが休みと当直が被るのは月に1回くらいでした(月に1回くらい、休みなのに外出できない日があるという感じ)。

新隊員時代の当直残留の話|真面目な奴ほど損をする馬鹿げたシステム

 

スポンサーリンク

新隊員時代が終わると…

寮内の生活は一気に緩くなる

 

新隊員時代が終わると、寮内の生活は一気に緩くなります。入隊から考えたらちょうど1年半後ですね。こうやって改めて考えると長いような気もしますが、意外とあっという間だったりもするのでご安心を。

もちろん「目の上のタンコブ」のような先輩がずっと同じ部屋にいるという状況であれば最悪ですが、先輩隊員も辞める人は辞めていきますし、試験に受かって別部屋に移る人も出てきます。

 

いずれにしても新隊員時代さえ終われば、日常生活で理不尽なことを言われるケースも極端に減りますし、当初からは想像もできないほど過ごしやすくなりますよ。

ちなみに私の配属された部隊の話ですが、新隊員以外の隊員はほとんど朝食を食べていませんでした。新隊員は強制的に食べなきゃいけないのですが、「大して美味しくもない食事を食べるくらいなら寝ていたい」というワガママが通用するようになるのも、ちょうどこの頃です。

 

外泊できるようになる

 

この辺りから、長期休暇じゃなくても月に1回/月に2回という感じのノリで外泊が許可(週末、もしくは2連休時)されるようになります。

月に1回か2回かの区別は階級でしたね。入隊区分によって同期でも階級が士長になるまでに差があるので、任期付きじゃない隊員の方が優遇されていました。

 

地元に残れた人なら実家に帰ってもいいでしょうし、友達の家に泊まりに行って翌日に帰ってくるってことも可能なので、だいぶガス抜きできるようになるでしょう。

ただし自衛隊には転勤が付き物ですから、私のように入隊から3ヶ月で地元から遠い場所に転勤になったりすると、外泊できるようになっても特に泊まれるような場所もなく、最初こそマンガ喫茶などで泊まっていましたが、それ以降は普通に外泊しませんでした。

 

あとは「平日の仕事が終わってからの外出」というのも、回数制限付きで許可して貰えたように記憶しています。

もちろん門限はありますが、平日に外出できるようになれば門限以外は一般の社会人とそこまで大きくは変わりませんからね(ただし外出証を返しに行かなきゃいけないとか地味に面倒です)。

 

3曹になれば、ほぼなんでもアリ

 

通常の入隊区分で自衛隊に入ると、最初は2士という階級からスタートします。

その後は勤続年数に応じて士長までは誰でも上がっていき、ここで試験に合格すれば教育課程に行った後で3曹という階級になれます。この3曹になれれば、自衛隊にいながらも相当自由なレベルです。

 

士長と3曹の間には非常に大きな壁があって、それこそ「アルバイトと正社員」くらいの差があるわけですが、3曹までいければ日常生活のほとんどは苦なく過ごせるでしょう。

この階級ならそれなりに努力すれば誰でもなれるので、大きな希望だと思います。それに不祥事を起こしたりしない限りは、クビになることもありません。

逆に3曹になれなければ年齢制限によって自衛官を退職しなくてはならない日がやってくるので、当面の目標は「3曹になること」になるでしょう。

陸上自衛隊の階級の話|幹部になりたい?昇進したい?

 

スポンサーリンク

最後に

自衛隊は教育期間中こそ厳しいですが、それさえ終わってしまえばかなり緩くなります。

もちろん時間にはうるさいことが多いので、8時集合と言われたら7時55分には到着していないとダメですが、新隊員中はそのプロセスでも結構うるさく言われるのに対し、それが終わってしまえば「間に合えばOK」となるように感じました。

いずれにしてもキツイのは最初だけですし、そのキツさも徐々に慣れてきますよ。個人的には人間関係以外なら何とでもなるように思います。あとは気の合う同期や良い先輩・上官に恵まれるかどうかですね。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

寮生活・営内生活
スポンサーリンク
もとじブログ