23歳以降から入隊する自衛隊のすすめ|やる気次第で十分取り返し可能

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

私自身は20歳で陸上自衛隊に入隊したので、ストレート高卒で入隊した同期と比べると2つ年を取った状態で入隊しました。

 

しかし陸上自衛隊には実に様々な境遇の人が多く、一昔前だと「誰でも入れる」というイメージがあったものの、最近はかなり良い大学を卒業したうえで、幹部候補ではなく一般入隊区分で自衛隊に入る人も珍しくありません。

 

私の同期にも年上で入隊してきた人は結構いたので、即座に「年を取っている=不利」とはならないと思います。

そこで今回は「23歳以降から入隊する自衛隊のすすめ」と題して、23歳以降の20代男性の中で自衛隊への入隊を考えている人にアドバイスを送ります。

 

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はじめに|なぜ23歳以降なのか

 

本記事の趣旨は、あくまで「年を取ってから入隊しても、不利になる面もあれば有利になる面もあるから、結局は本人の頑張り次第ですよ」というものです。

23歳という年齢設定については、ストレートで大学を卒業されて就職が決まらなかった人(新卒のカードを失った人)という意味で決めました。

 

ですから当然「就職はしたけど辞めてしまった」という方でもいいですし、いずれにしても「回り道はしたけど、自衛隊に興味がある/自衛隊で頑張ってみたい」という方へ向けた記事です。

なので23歳でも24歳でも25歳でも…。極端な話をすれば19歳でも「同期より1年遅れ」という焦りはあると思うので、そういう方を対象としています。

 

この記事では、私が思う「年齢を重ねて入隊することのメリット・デメリット」について書きますので、気になる人はぜひ最後までお付き合いください。

 

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年齢を重ねて入隊することが不利になる点(デメリット)

運動から離れている人が多い

 

つい昨年まで現役高校生だった隊員と、何年か空いてから入隊をした隊員とを比べると、単純に「運動していない期間」に差があることが多いです。

もちろん年齢を重ねていても、普段からしっかり運動していたという人の場合は、特に心配は要りません。

 

しかし、週に何回かの体育の授業すらやらなくなって久しいという場合は、体力的にしんどい思いをする傾向が強いように思います。

怪我が怖いのは当然として、あまりにも体力が落ちているという場合は、人によっては「オッサン扱いをされる」ので、それを受け入れられるかどうかですね。

 

私は2年遅れの20歳で入隊し、世間一般的にはまだまだ若者でしたが、同期が18歳だらけだったということもあって、なんかあればすぐ「もう年ですね!」という愛のあるイジりをされました。

個人的には嫌な気はしませんでしたが、それは18歳と20歳という距離感だったのも大きく関係していると思います。

これが23歳以降だったらどうなるか…。この辺はその人次第と言えるでしょう。

 

試験に合格するまでの余裕が少ない

自衛隊では、ある年齢までに一定の階級まで昇進できないと、どんなに自衛官を続けたいと言っても残念ながら退官となります。

陸上自衛官で言えば、私が在籍していた頃は、確か30歳までに三等陸曹以上にならないとダメというようなルールがありました。

記憶が曖昧なのと、最近年齢の引き上げがあったようなので、20代後半の方は募集要項などでちゃんと確認することをおすすめします。

 

入隊後に一定の期間が経過すると、階級昇任の為の昇任試験が受けられるようになりますが、これは自衛隊内での試験であり、隊員同士の競争です。

若い隊員ほど何度も挑戦できるという強みがある一方で、年齢を重ねた隊員は一刻も早く合格をしなければならないというプレッシャーを感じる人もいるでしょう。

 

年下同期、年下の先輩に何かを思わずにはいられない

 

気にならない人は気にならないかと思いますが、私はやはり「年下の先輩」があまり好きになれませんでした。

自衛隊では先輩ですから、私よりも経験があることは重々承知したうえで、それでも「先輩だからと言って人間的にも自分の方が上だと思っている先輩隊員が多かった」ので、やっぱちょっと敬遠していましたね。

 

同期も2つ年下だったので、別に敬語を使えとは思いませんでしたけど、サボっていないのに「てめえ、サボってんじゃねーよ!」みたいな展開になると、カチンときたことも多々あります。

「誰に向かって『てめぇ』っつってんだゴルァ!!」くらいの感じでした。

 

私の場合は2つの年齢差でこれでしたから、5つ6つ、ましてやそれ以上の年齢差があった時にどう感じるのか…。

変なプライドを捨てろとまでは言いませんが、本当に色んな人がいる大規模な組織なので、自分の感情と上手く折り合いを付けて頑張ることが重要です。

 

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年齢を重ねて入隊することが有利になる点(メリット)

これまでの人生経験は何かしらのカタチで生きる

 

例えば、大学を卒業してそのまま入隊すれば4年遅れとなります。

就職浪人やそれまでに受験を失敗していれば更に年数が遅れてしまうでしょうし、一般企業に勤めていたという方だと、もっと年齢を重ねてから入隊をするという人も珍しくありません。

 

このような場合に、どうしても「遅れ」と表現してしまうのですが、これは決して遅れではないことが多いです。

大学に行った人なら、大学生活の経験が必ず生きます。就職経験があるなら、一般企業を1社見ているというだけでも十分すぎるほどの経験です。

仮に遊び惚けていただけだったとしても、遊びを知らずに入ってきた隊員たちよりも有利な部分が絶対に出てくるでしょう。

 

衝動的に辞めたいと思わない人が多い

 

自衛隊に限らず、仕事をするということは総じて「嫌なこと、理不尽なこと」に耐えなければならない場面も出てきます。

特に自衛官においては、プライベートがあってないようなものなので、結構ストレスを感じてしまうという人が少なくありません。

そんな場面でも、今まで自分がいた環境と照らし合わせ、客観的に判断できる能力は人生経験が豊富な人の方が高いです。

 

どこの職場にも、少し嫌なことがあると「もう辞める」という人がいます。

自衛隊においては「辞めると普段から言っている奴ほど長続きする」という不思議な法則もありますが、ここで感情的にならないのはやはり人生経験が豊富な人に多く見られる傾向です。

 

私自身、自衛官を退職する時は「自衛隊ほど恵まれた職場はない/辞めたら絶対に後悔するぞ」と言われ続けました。

当時私は26歳でしたが、6年間続けられたのは2年遅れで入隊したからという部分もあると思っていますし、そこで辞めるという判断ができたのも、そのおかげだと思っています。

 

他の世界を知らないと、先輩隊員の言うことを鵜呑みにしてしまい「こんな恵まれた世界を自分はドロップアウトしようとしている=自分は無能」と、思い詰めてしまうこともあるでしょう。

他の世界を知っていると、割とどっしり構えられるのではないかと思います。…もちろん人によりますけどね。

 

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最後に

陸上自衛隊において1番の転機は、間違いなく陸曹候補生試験です。

入隊が同時期だったとしても、ここに合格できる速さでまた差が付くので、本人の頑張り次第では取り返せる場面も多々設けられています。

 

決して人に誇れない人生を送ってきていたとしても、その感情をバネにして頑張れるのは、いずれも後に引けない人じゃないかと思うので、入隊すると決めたらとにかく頑張ればいいです。

そしてもしダメだったとしても、普通の人じゃできない経験ができたというだけで十分プラスだと思いますよ。

 

決して陸上自衛隊への入隊はおすすめしませんが、入隊して頑張ろうという人は全力で応援します。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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