陸上自衛隊の一般的な入隊区分の違い|一般曹候補生or任期制隊員どっちがおすすめ?

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

一般的に高校、大学卒業後に普通ルートで自衛隊への入隊試験を受ける場合は、一般曹候補生か任期制隊員かを選択する必要があります。

 

ここでの選択は結構大きく、後々の自衛隊人生において重要な役割を持つでしょう。どっちがいいか悪いかは、本当に個人によりけりという感じです。

そこで今回は、これから自衛隊に入隊しようと考えている人に向けて「一般曹候補生と任期制隊員の違い、どちらで入隊するのがおすすめか」についてご紹介したいと思います。

 

私が陸上自衛隊を退職する頃に、新たな制度として登場したのが一般曹候補生です。そのため、昔と今とで事情が変わっている可能性がありますので予めご了承ください。

 

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一般曹候補生と任期制隊員の概要

 

まずはじめに。

陸上自衛隊では一般入隊の場合、2等陸士という階級からスタートします。そして在籍期間に応じて自動的に1等陸士→陸士長と昇任していくのですが、その次の3等陸曹になるためには試験を受けなくてはなりません。

陸上自衛隊の階級の話|幹部になりたい?昇進したい?

 

陸上自衛隊に一生勤めたいという場合はこの試験に合格しなければならないのですが、入隊段階で「一生勤めたいのか、数年で辞めたいのか」という部分で、一般隊員にも大きく価値観が分かれていることが多いです。

一般曹候補生と任期制隊員の違いは、基本的にはこの試験の受かりやすさに起因する部分があるので注意してください。

 

一般曹候補生とは?

一般曹候補生とは、ざっくり言うと「一生自衛隊にいようと思う人の入隊区分」です。

もちろん辞めようと思ったら辞めることはできるのですが、任期制隊員に比べて1等陸士や陸士長に昇進するスピードも速く、曹を目指しやすくなっています

 

元々は「2年で曹になれることを約束された入隊区分:曹候補学生」と「一般隊員に比べて曹になりやすい入隊区分:曹候補士」という入隊パターンがありました。

…が、あるタイミングで曹候補学生の制度がなくなり、曹候補士に近い制度が名前を変えて「一般曹候補生」になったという感じです。

そして任期制隊員と比べると、一般曹候補生の方が入隊試験そのものの合格基準は厳しいものになっていると言われています。

 

任期制隊員とは?

自衛官候補生募集案内

 

任期制隊員とは「決まった任期を勤め上げることで、特別手当が貰える入隊区分」です。

人によっては「今は特にやりたいことが決まっているわけでもないから、とりあえず自衛隊に入ってお給料を貰いながら資格の取得などを目指したい(ただし自衛隊に一生いるつもりはない)」という人もいることでしょう。そういう人向けの入隊区分です。

 

その大きな理由として、1任期の2年間を無事に勤め上げることで「給料とボーナス以外にまとまったお金が貰えること」が挙げられます。

陸上自衛官を例に言えば1任期満了で約57万円、2任期満了で約144万円という金額が支給されるようですね。これは非常に魅力的ではないでしょうか。

ただし、一般曹候補生に比べると1等陸士や陸士長への昇進スピードが少し遅く、曹になる難度も高いと言われています。

 

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一般曹候補生と任期制隊員の違い(陸曹へのなりやすさ)

昇進試験での明確な違い

 

前項で、大まかな両者の違いについては触れました。

  • 一般曹候補生:満了金が無い代わりに曹になりやすい。
  • 任期制隊員:曹になりにくいが、1任期単位で満了金が貰える。

では具体的に「どれくらい曹になりやすいのか」という話ですが、一般曹候補生は「〇〇期の中で〇〇名」という合格枠が用意されるのに対し、任期制隊員は「任期制隊員全体の中で〇〇名」という合格枠しか用意されないという感じでした(私が自衛隊に居た頃はね)。

 

高校のクラスに例えると分かりやすいかもしれません。一般曹候補生は同学年の人間がライバルになり、1学期が終わるごとに一定人数の合格者が生まれるというイメージです。

当然、優秀な人間から合格していけば徐々に同学年の人数が減っていくので、同学年の人間が誰もいなくなればあとは自分に合格枠がくるという感じでしょうか。

 

一方で任期制隊員は、学校全体の人間がライバルという感じです。

同学年の相手も当然ライバルになりますが、自分が1年生の時の3年生、あるいは自分が3年生の時の1年生もライバルという感じ。当然、優秀でなければ合格は難しいと言えるでしょう。

自分が3年生の3学期でもライバルの数はほとんど減っていないので、もし合格できなければ学校を卒業しなければならない(自衛隊を辞めなければならない)となります。

 

2任期満了で昇任試験に合格するスーパーマンも

 

任期制隊員の中で超優秀な隊員は、任期満了の特別手当を貰いながら昇任試験に合格するというスーパーマンもいます。このパターンで「最初は辞める気マンマンだったけど、なんだかんだで自衛隊に残ることを決めた」という人も少なくありません。

私が思うに一般入隊における黄金パターンはこれです。ただしこれを勝ち取るには「自衛隊内の勉強についての個人の努力、努力と才能による運動能力の高さ、部隊内での評判・人柄」などが重要だと思います(もちろん例外はありますが)。

 

私の周りで任期制隊員から陸曹になった隊員は、ほぼ全てが優秀だと言われている隊員ばかりでした。

人としてどうかはさて置き、通常業務だけじゃなくて「足が速い」とか「教育隊の教育係になる」とか「銃剣道や徒手格闘が強い/射撃が上手い」などの一芸を持っている人が多かったです。

 

スーパーマンじゃない一般的な任期制隊員の末路は?

 

問題なのは「歳を取ってから任期制隊員として入隊し、満了金目当てで任期を勤め上げてから『一生自衛隊にいたい!』と思ったが、なかなか試験に受からない」というパターンでしょう。

例えば1年浪人して大学を卒業してから入隊した場合は、入隊時の年齢が23歳です(私が入隊した頃はこれくらいの年齢の人は全然珍しくありませんでした)。

 

ここから1任期勤め上げると25歳…。2任期なら27歳です。

自衛隊では〇〇歳までに曹になれなければ自衛隊を辞めなくてはいけないというルールがあるので、入隊が遅れれば遅れるほど自衛隊に残るための競争はシビアになるでしょう。

入隊時の年齢にも大きく左右されるものの、個人的には「60万程度のお金欲しさに2年のアドバンテージを無くすのは痛いのでは?」という考えです。

 

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どちらの区分で入隊するか甲乙つけがたいという場合…

迷うくらいなら一般曹候補生がおすすめ

 

あくまで私の考えですが、少しでも「一生自衛隊を続けるかもしれない」と思うなら一般曹候補生をおすすめします。

理由として曹へのなりやすさが挙げられるのですが、自衛隊に在籍して節制すればそれだけでそこそこお金も貯まるので、4年間で200万円という特別手当てよりも「一生自衛隊にいられるチケットの手に入りやすさ」がこれ以上なく魅力的です。

ちなみに私は満了金を貰ったわけではありませんが、陸上自衛隊在籍中の6年間で500万円貯めました。これくらいは誰でも許容範囲だと思います。

自衛隊の金銭事情・給料関係の内部事情|入隊すればお金が貯まる!?

 

もしあなたが高校を卒業してすぐに入隊を決めたという10代の若者なら、そこまで深く考えずに「一生いたいと断言できるなら一般曹候補生、それ以外なら任期制隊員」で入隊し、入隊後に考えが変わったら自衛隊内で入隊区分の変更をするという手段もあります。

2任期勤め上げてもまだストレートで大学を卒業して入隊した人と同じ年齢ですし、この時点で「3任期目に入りつつ、このまま曹を目指す/2任期満了時点で一般曹候補生になる」などの選択肢も生まれるので、仮に自分にとって間違った選択をしてしまったとしても、若ければさほど影響は受けないでしょう。

 

任期制隊員から一般曹候補生へなることも可能

 

私の同期や先輩隊員には、任期制隊員として入隊後に一般曹候補生の試験を受け直すという人もかなりいました。この場合は、また新隊員からやり直しというわけではなく「今ある立場はそのままに、一般曹候補生としての扱いになる」というものです。

ただし自分が争うライバルは入隊同期ではなく、自分が一般曹候補生に合格した年の新隊員というカタチになるので、ある程度のキャリアを得た後の任期制隊員は「任期制隊員として曹を目指すのか、それとも一般曹候補生としてやり直すか」で悩むところでしょう。

 

入隊時の同期がライバルなら年数経過で徐々にライバルが減っていくのに対し、ある程度の年齢になってから若い大人数の隊員をライバルにするというのは勇気が必要な行動だと思います。

そして人によっては「入隊1年で任期制隊員から一般曹候補生になる」という人も少なくなかったです。

 

こういう人たちは「あと1年やれば満了金が貰えた」という事実を捨ててまでも、少しでも早く曹を目指したいと考えた隊員たちなのですが、こういう人も少なくありませんでした。

少しでも「自衛隊に残りたい」という気持ちがあり、高卒ストレートの年齢よりも遅れを取っているなら、一般曹候補生としての入隊をおすすめします。

 

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最後に

きっと私が入隊した頃よりも今の自衛隊の方が人気が強く、入隊試験そのものの難易度も高くなっているように思います。

それだけ優秀な人材が多くなったのではないかと思いますが、少しでも自衛隊に残りたいのであれば、少しでも残りやすい道を選ぶのが賢明と言えるでしょう。

 

現に私が退職した10年前の時点でも「数年前なら普通に陸曹になれたはずなのに、泣く泣く自衛隊を去っていった」という隊員もいました。

時は金なりという言葉があるように、目先のお金に飛びついて後悔しないよう真剣に将来を見据えて選択してみてください。

入隊前
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元陸上自衛官が内部事情を暴露する