「自衛隊生活は良くも悪くも人格に大きな影響を与えると思う」という話

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

自衛隊を辞めてからもう10年近くになるのですが、今でも自衛隊の呪縛が解けていないと思うことが多々あります。

 

その中の1つとして「パワハラに対する基準が一般の人と比べて明らかにおかしい」ということが挙げられるわけですが、幸か不幸か私は「世の中のパワハラに対して『そこまで騒ぎ立てることかな?』と思ってしまう」んですよね。

今回はあくまで私の事例として「自衛隊生活で理不尽さに対して耐久力ができた!?」というテーマで話を進めていきたいと思います。

スポンサーリンク

アルハラいう言葉があることに対して驚く

職場の飲み会って楽しいものなの?

ちょうどここ数年の間に一気に〇〇ハラスメントという言葉と嫌煙ブームが巻き起こったように思っていますが、まずアルコールハラスメントという言葉があること自体に大きく驚きました。

 

私はお酒を家では1滴も飲まないのですが、職場の飲み会というのは基本は「つまらないもの」だという認識があります。そして「これがサービス残業というやつなんだろう」という認識でした。

 

ちなみに自衛隊を退職後に就職した会社は2社経験していますが、どちらも「代行のお金や1次会の費用は会社持ち」でしたので、お酒が好きな人は喜んで参加しているイメージです。

 

自衛隊の時は「飲み会に出たくない」と考える方が大多数でしたが、私が就職した2つの会社では「飲み会に出たい」と考えている人の方が多かったです。

 

お酒を人に勧める理由

私はお酒の良さが分からないので「あんなに美味しくない物をまさか美味しいと思って飲んでいるんだろうか?」と今でも疑問に思います。

個人的には「酔っていたから…」という言い訳で免罪符が増えることに対して、一種の快感を覚えている人も多いのではないかと考えているのですが…。

 

そして「お互いが酔っていることで「お互い様」というパワーワードが生まれるので、お酒が好きな人は他人にもお酒を飲ませたがるのでは?」と思っています。

いずれにしても、自衛隊では一気飲みは何回もさせられましたし、先輩隊員から「俺の注いだ酒が飲めないのか?」みたいなことは数えきれないほど言われましたね。

 

そういうことが当たり前の世界にいたので、飲み会に強制参加させられるなんてのは当たり前だと思ってましたし、下っ端が余興をやらされるのも仕事のうち(もちろん給料は出ません)だと思っていました。

 

スポンサーリンク

カラオケで歌わされるのもハラスメント?

私は歌がそこまで下手な方ではありませんが、気の知れた仲間以外の前で歌うのは好きじゃありません。

それにこれまでの学生時代などを通じて「人前で歌うのが本当に無理だ」という人の存在も知っています。

だから自衛隊に居た時は「なんでこんなに嫌がる人に対してカラオケを強要するんだろう」と思っていました。

 

割と最近ニュースで見たのは、一般の会社で「上司が部下にカラオケを強要するのはパワハラだ!余興なんて持ってのほか!」というニュースをやっていて、それを見た時は思わず笑ってしまったわけですが…。

実は私が自衛隊を辞めた後に入社した2つの会社でも、宴会の際にカラオケを強要されることは普通にありました。個人的には「ただ好きな曲を1曲歌うだけで済むなら、これ以上に楽なことはない」と感じましたけど。

 

自衛隊はここから更に「何普通に歌ってるの?」と言われるケースも多く、できれば隊長クラスが喜ぶような選曲まで気を遣っていたので、自分よりもかなり上の世代のモノマネで立ち回ってきました(森進一さん、五木ひろしさんのモノマネをするコロッケさんのモノマネ的なやつ)。

…というか、新入社員が余興をやらされるのってそんなにおかしいですか?

 

スポンサーリンク

一般の会社で経験したパワハラ

パワハラが原因でクビになった上司

ちなみに自衛隊を辞めた後に入社した会社では、入社から約2年間に渡って特定の上司から世間一般で言うところのパワハラを受けました。

 

内容としては「理由をつけて叩かれる/ネチネチ説教をされる/嫌な仕事を押し付けられる/誰よりも早く出社することを強要され、勤務時間の1時間半前には出勤させられる」などなどでしたが、自衛隊の理不尽さを経験していた私としても相当堪えましたし、これこそが自衛隊に居た時に言われた「シャバはそんなに甘くないぞ」という意味なんだと認識していました。

 

結果、その上司が原因で私よりも下の後輩が次々に辞めていき、ある後輩が訴えを起こして警察をも巻き込むゴタゴタに発展したことによって問題が発覚します。

パワハラ上司は、社内における暴力などが原因で解雇になりました。

当然私も警察に事情聴取されましたが、そのパワハラ上司をかばうつもりは一切なくとも「上司が部下の頭を叩くのってそんなにダメなことなの?」と驚いたのを覚えています。

 

個人的にはネチネチ説教されることの方が嫌でしたので、一発殴って終わりならそっちでお願いしますという感じでしたから、そういう意味でも自分の感覚は一般の人と比べておかしくなったのかなぁと強く感じる出来事でした。

 

自分の感覚がおかしい=人の気持ちが理解できていないのでは?

今回のケースで言えば、その後輩が上司を訴えていなければもっと多くの被害者が出ていたわけですが、人によっては2週間ほどで会社に来なくなっていたので、レベルとしては結構なパワハラだったと言えるでしょう。

 

私もかなり精神的に追い詰められましたが、これがそこまで大きな問題だと思わなかったのは、自衛隊で受けた数々のパワハラで感覚がおかしくなっているからだと思っています。

それと同時に、もし自分の子供がこのような目に遭っていたとしてそれを相談された時、逃げることをアドバイスしてあげられるかどうかが物凄く不安です。

 

よく老害と呼ばれるような人が口にする「俺が若かった頃はもっと…」というような、時代の流れについて行けない人というか、人の痛みが分からない人間になりかけているんじゃないかと。

 

私は自衛隊で後輩ができた時も、自分が先輩にやられて嫌だったことは後輩にもやらせないという気持ちで過ごしていました。

部屋の掃除も後輩だけにやらせるのではなく、みんなでやるようにしていましたし、なるべく後輩が私に気を遣わなくていいような空気感を作るようにしたつもりです。

結果、それが他の先輩たちにとって目障りだったようで、ある程度のノイズは入ってくることになりましたが、その頃の気遣いを失ってしまったのかなぁという心配もあります。

 

いずれにしても自分で大したことがないと感じることでも、他人にとっては苦痛で仕方がないということも少なくありません。

自分がどうこうではなく、相手がどう感じているかで物事を判断できるようになるには、まだまだ私は未熟者であると痛感させられた次第です。

 

スポンサーリンク

最後に

私がこれまでに見てきた自衛官の同期や後輩には、新隊員の時に自分がやられて嫌だったことを後輩にし「自衛隊ってこういうもんでしょ?」と開き直る人間が山ほどいました。

当時は「こういう人間には絶対にならない」と思っていたはずなのですが、知らないうちにそれに近いような存在になっているのかもしれません。

 

自衛隊にいて忍耐力がつく人は少なくないでしょうが、それが原因で自分が完全に壊れるまで気付かないという人もいそうですし、私のように「他人の痛みにも鈍感な人間」になってしまったのでは意味がないです。

現役自衛官の方もいずれは一般社会に出る日がくるはず。そんな時に自衛隊の常識に染まっていると大変な苦労をすると思うので、少しでも世間の声に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。