陸上自衛隊にて射撃訓練をした感想|自動小銃を撃つのって快感?

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

陸上自衛隊では嫌な思いを沢山しましたが、もし自衛隊生活にメリットがあったとしたら、それは間違いなく「普通に生活していたら体験できないようなことが体験できた」という、この一言に尽きると思います。

 

その中の代表で言えば「射撃訓練」なんかがそうですね。陸上自衛隊では自動小銃を使った射撃訓練を行っています。日本では銃を手に入れることは難しいですし、韓国あたりには射撃場があるとも聞きますが拳銃ではないでしょうか。

※クレー射撃とかなら小銃になるのかな?ちょっと詳しくないので分かりません。

 

この記事では「陸上自衛隊にて射撃訓練をした感想/自動小銃を撃つのって快感?」というテーマで話を進めていきたいと思います。

 

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自衛隊では射撃訓練が必須

 

自衛隊には様々な部隊があります。私は通信部隊だったので、万が一戦争になった場合は一方的に狙われる側の人間なのですが、それでも射撃訓練は普通にやっていました。

射撃訓練のスタイルは、みなさんが想像するような「人型の的が出てきてそれを撃つ」というスタイルに非常に似ていますが、自衛隊で主に扱うのは自動小銃なので、的までの距離が200mほどあります。

 

そのため、この射撃訓練の時だけメガネをかける隊員なんかもいたわけですが…。

視力が悪くてメガネをかけるという場合だと、照準を合わせる際にメガネが邪魔になったりするので普段からメガネをかけるようにして慣れるか、あるいはコンタクトにする等の工夫をした方がいいんじゃないかなと思っていました。

 

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射撃訓練が嫌いだった理由

私は射撃訓練が大嫌いでした。以下ではその理由について簡単に説明します。

 

当たってるかどうかの実感がない

 

拳銃なら割と近い距離なので、的に当たったのが目視できるのかもしれませんが、自衛隊における射撃訓練は200m先なので、実際に的に当たっているかどうかが分かりません

ちなみに当たったかどうかの判定はすべてコンピューターで行います。

手元にあるコンピューターで、自分の弾がどこに着弾したかをデータとして見れるのですが、私はずっと「このデータって本物なのかな?」と思っていました。

 

ちなみに普通の弾だとどこに着弾したか全くわからないのですが、中には「光りながら飛んでいく特殊な弾」があり、それなら飛んでいく軌道や着弾してからも光っているので、この時だけは少しだけテンションが上がりましたね。

通常の弾に比べて高価なのか、使用回数に制限があります。

 

朝早くに駐屯地を出発して射撃場へ

 

射撃訓練を行う時はまとまった人数で一気に行うので、朝早くに射撃演習場に行くことになります。

 

やはり暗くなってからの射撃訓練は厳しいものがありますし、危険度も増すので、なるべく早くに行って速やかに終わらせるために朝早くに出発するのが通例です。

 

朝早く起きろと言われ、明らかに眠そうな隊員数十名が4トントラックの荷台にぎゅうぎゅうに押し込まれ射撃場に向かうわけですが、腰も痛くなりますし、これは苦痛でしたね。

 

 

タバコが吸えない

 

私は当時喫煙者だったのですが、弾は入っていないとは言え小銃が近くにあるということや、移動中のトラックの荷台には多くの非喫煙者もいるという観点から、自由にタバコが吸えないという部分でも本当に嫌だった記憶があります。

 

ある程度の立場になっている隊員の中には、普通にタバコを吸っている隊員もいました。

しかし、それに乗じて私がそれをしてしまうと「1番上の隊員には文句を言えなくても、私よりは立場が上の隊員が、私にだけ文句を言ってくるかもしれない」ので、実質吸ってはいけないと言っても差し支えない環境です。

 

タバコを吸わない人には分からないと思いますが、私の場合は1日に12本~15本くらい吸っていたので、1時間~2時間も経てば「タバコが吸いたい」と感じていました。

そんな状況で何時間もタバコを吸うことを許可されず、しかも射撃のように精密な動作と集中力を求められることを要求されても、頭の中は「早くタバコが吸いたい」だけです。

 

当時私が在籍していた部隊では、基本的に休憩時間はちゃんと煙缶のある状況で喫煙する分にはお咎め無しでしたので、タバコの吸えない休憩時間は休憩時間じゃないと思ったほどです(煙缶を用意するのも下っ端隊員の役目でしたし)。

 

射撃場は全面禁煙につき、立場が上の隊員でも我慢していた記憶があります。

 

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 私が在籍していた部隊、期間に大きな事故はなし

 

今でも不思議に思うのが「普段かなり理不尽なことを強いられていて不満に感じている隊員が、よく謀反のようなものを起こさなかったな」という部分です。

表現方法は良くありませんが、私にも「時代が時代なら殺してやりたい」と考えるほど嫌いな上官や先輩隊員がいました。ですが、実際に殺そうなどと考えたことは微塵もありません(当たり前ですが)。

 

ただ射撃訓練中は実弾を扱うので、もしやる気になったらその銃を人に向けて撃つことも可能です。

私の周りには自殺してしまった隊員が何名かいるので、そういう人が「自分が死ぬくらいならアイツを…」という発想に向かなかったというのは、今でも疑問に思います。

 

あ、ちなみに自衛隊では実弾を扱ったら薬莢(実弾の抜け殻)も全て回収しますが、もし薬莢が1つでも紛失していることが判明したら、見つかるまで探します。

私の部隊では、駐屯地に戻ってきてから薬莢1個足りないことが発覚し、2日間に渡って探したということが実際にありました。薬莢ならまだしも、その薬莢が見つからない以上は実弾の可能性もありますからね。

訓練中に銃の部品を失くしたら、見つかるまで徹底的に探すぞ

 

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射撃訓練を面白いと感じたことは一度もない

 

興味本位で銃を撃ってみたいと考える人は少なくないと思いますが、私の中では射撃訓練を面白いと思ったことは一度もありません。

何度か射撃訓練の成績が良くて表彰されたこともありますが、個人的には「データでは成績が良いということになっているが、本当にちゃんと当たっているかどうかは疑問」という部分があったので、素直に喜べなかった部分もありますね。

 

そして、常に緊張感があったことを覚えています。

それこそ「変な奴が謀反を起こさないか」という部分に不安を感じることもありましたし、万が一銃が爆発しないかどうか等も不安でした。

 

それで言えば、基本的には自分の銃は自分で分解整備するのが基本であるのに、中には「俺の銃、整備しといて」という先輩隊員もいます。

整備する銃が1つだろうが2つだろうが手が油まみれになることは変わりないので、そのくらいなら全然やりますけど「自分が整備した他人の銃に整備不良が出たら…」という不安もありました。

 

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最後に

過去に陸上自衛隊にいたというと、よくされる質問の1つが「銃ってどんな感じなの?」というものですが、ハッキリ言って「うるさいという事以外に言えることはあまりない」という感じです。

普通の生活を送っていたらまず体験できないことが経験できたという意味では貴重かもしれません。

しかし、もし「銃が撃ってみたい」という興味本位で入隊を希望するという人がいたら「そんなに良いもんじゃないからやめとけ」ってアドバイスしますね。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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