自衛隊は体力に自信がなくても大丈夫!?|訓練のキツさに関する内部事情

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

私の父親くらいの世代(昭和真っ只中)であれば、自衛隊は自分の名前を書ければ入隊できると言われていたようです。

しかし最近は、大学を出て自衛隊に入隊する人も非常に多く、ゴリゴリの体育会系ばかりという雰囲気でもありません。

 

わりと頭脳派・インテリも揃っていて、ハッキリ言って体力自慢だらけという感じでもないです。

もしあなたが体力に自信が無く、心の底で「自衛隊の厳しい訓練についていけるだろうか?」と不安になっているのであれば、この記事を最後まで読んでいただければ、悩みが解決すると思いますよ。

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体力に自信がなくても大丈夫!?

入隊時の体力はあまり関係ない

ハッキリ言って入隊時の体力はあまり関係ありません

もちろん体力があるに越したことはないのですが、そんなものは後から個人の努力でいくらでも伸びますし、入隊時には明らかに運動能力が低かったとしても、それを鍛えることができるのが自衛隊ですから。

 

最初から教育する必要のない新隊員ばかりなら、教育期間は半年間も必要ないんです。

それをわざわざ半年間も設けているということは、その期間に最低限の体力を付けさせることが教育隊の仕事という意味でもあります。

つまり最初の半年間は、体力に自信のない隊員をそれなりのレベルに仕上げるのに必要な期間だと思っていれば問題ないでしょう。

 

重要なのは入隊してからの努力

ちなみに私の場合ですが、同期よりも2年遅れの20歳の時に陸上自衛隊に入隊しました。

当時はタバコも吸っていましたし、部活動なども中学生までで、同級生と比べてもそこまで運動能力が高い方でもありませんでした。

 

そんな私は入隊時に「年下に負けてられない!」と思ったのか、3km走だけは真ん中くらいだったのですが、3ヶ月間の前期教育が終わる頃には多くの同期にごぼう抜きにされた記憶が残っています。

個人にやる気があれば入隊後にいくらでも伸びますし、スタート時点の遅れはこの先ずっと取り返すチャンスだらけですから、特に心配は要りませんよ。

 

厳しいイメージこそあるが、実は…

自衛隊は訓練がキツそうなイメージがありますが、そういう訓練をやらせている側も「何かあったらマズい」という感覚で目を光らせており、決して無茶はさせません

「水を飲ませない」とか「フラフラになっている人間を助けない」ということは一切なく、むしろ体調が悪いという場合に関しては手厚く介抱してくれるでしょう。

 

とにかく入隊時点では体力が劣っていても、その後に取り返した人間を何人も見てきましたから大丈夫です。

もちろん入隊後に「努力すれば」ですけどね。

 

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自衛隊の訓練のキツさについて

教育期間中

教育期間中には、自衛隊基礎の一通りのことを体験します。

訓練と一口に言っても「戦闘訓練/射撃訓練」など様々ですが、教育期間中の訓練は頑張れば頑張るほど辛いです(当たり前ですが)。

 

例えば、普段の体力錬成などでは体力の低い人間に合わせることが多いです。

「出来ない奴は置いていく」ということをしないのが自衛隊ですし、そもそもランニングとかなら体力に自信がない人でも「遅いペースでいいならいくらでも走っていられる」という人も多いでしょう。

 

教育期間中に走らされる場合は、ハイペースで無理に走らせるということはせず、ゆっくり目のペースで数km走らされることが多いように思いました。

あとは銃などの重たいものを持たされた状態で走らされたりとかですね。銃を持って走る時は非常にゆっくりのペースで進んでいきますが、それでも相当キツイです。

 

重いものを持って走る時のことを想像してもらえれば分かりますが、手を完全に伸ばした状態で持つと重いですよね?これを身体に預けるようなカタチで持つと、幾らか軽くなるじゃないですか?

銃を持って走る時も一緒です。真面目にちゃんとしたやり方でやればハンパ無くキツイのですが、ちょっとズルをして体に預けたりすれば幾らか楽になります。

上の方で「教育期間中の訓練は頑張れば頑張るほど辛い」と含みを持たせて書いたのは、そういう意味です。

 

自衛隊では腕立て伏せの仕方、銃の持ち方など「正規のやり方(正しいやり方)」を教わります。しかし、その正規のやり方じゃない方法でやれば、いくらでも楽できるんですよね。

今思えばですが、教育期間中においては「いかにバレないようにズルする方法を学ぶか」というのも極めて重要だと思っています。

もちろん楽してばかりでは私のように同期にごぼう抜きされてしまうだけなので、ほどほどに。

 

教育期間後の訓練は配属先の部隊による

教育期間は全員共通の内容を行います。多少の「やった・やってない」は出ますが、そこまで大きなハンディにはならないでしょう。

そしてキツさ的にも体力に自信のない人が一生懸命やればキツイですが、レベル的には優しいはずです。

 

一方で教育期間が終わってからの訓練ですが、キツさは配属される舞台によって大きく変わると言えるでしょう。

私の場合は通信群という部隊に配属されました。万が一戦争になった場合は、攻撃するのではなく真っ先にやられる側の部隊です。

 

通信群にも「野外部隊/基地部隊」と色々あるので一概には言えないでしょうが、私の配属されていた先の部隊では、普段の訓練は全然キツくなかったです。

もちろんキツイ時もありました。偉い人が見に来るという訓練の時は、なかなか寝ることができなかったりしましたし、部隊の中にも「偉い人の前で良い格好を見せたい」という感情があるので、内容的にはかなり厳しめになります。

 

他の部隊の訓練を見たことはありませんが、途中で配属先が変わって私のいる部隊に移ってきた隊員の話を聞く限りは、ほぼ全員がこの部隊(私のいた部隊)の訓練は楽だと言っていたので、そこはもう運ですね。

もちろんキツイ訓練ほど達成感はありますし、楽だから良いというものでもないと思います。

 

ちなみにテレビなどで特集されるような場合は、陸上自衛隊だと「レンジャー部隊」にスポットが当てられることが多く、レンジャー部隊というのは選ばれた人間か希望した人間がいくような所です。

短期間の訓練ですが、噂で聞いた限りだと相当キツイと聞きました。テレビでレンジャーを見て恐怖心があるのだとすれば、ほとんどの部隊は普段からあんなことはやっていませんので安心してください。

 

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体力検定・体力試験について

種目は6項目

  1. 腕立て伏せ
  2. 腹筋運動
  3. 3km走
  4. 走り幅跳び
  5. 懸垂
  6. ソフトボール投げ

自衛隊内で行われている体力検定・体力試験は上記の6項目で行われます。

腕立てや腹筋は、規定時間内に何回できるかでランクが決まり、3km走はタイムの速さでランクが決まります。

走り幅跳びとソフトボール投げは距離、懸垂は回数です。

 

それぞれの項目によって各人のレベルやランクが決まるのですが、1つ大きな注意点があります。それは「どれか1つでも大きく苦手な種目があればダメ」だということです。

ダメということはありませんが、評価が大きく下がってしまうということを意味しています。

 

例えば「腕立て伏せも腹筋運動も大得意で、3km走も抜群に速いうえに走り幅跳びも懸垂も何のその」という人物が、ソフトボール投げだけは全くできないという場合、この人物は体力検定に不合格になってしまうんです。

 

どの種目にも最低基準が設けられており、その最低基準をクリアしたうえで1番評価の低かった種目に評価が持っていかれるという感じですね。

上の例で言えば「腕立て伏せ~懸垂までは1級でも、ソフトボール投げが級外なら総合評価は級外」という扱いになってしまいます。

 

ハッキリ言って腕立て伏せが得意な人は腹筋も出来ますし、よほど太っているとかでなければ幅跳びと懸垂は問題ないでしょう。3kmは誰でもクリアできるようになるまで走らされるので問題なし。

ただ「ソフトボール投げ」に関しては、運動能力が高くてもクリアできない隊員を何名か見たことがあります。

つまり自衛隊内の体力検定・体力試験では、すべての種目を満遍なくこなせるようになる必要があるということです。

 

ちなみに私は、自衛隊に入るまで懸垂というものを一切やったことがなく、入隊直後は1回もできませんでした。

そこで班長から「無理に懸垂やらなくていいから、毎日点呼が終わったら黙って1分間鉄棒にぶら下がっとけ」と命じられ、半年後には10回できるようになってましたね。

 

私の周りでは、それなりにやっている人物でソフトボール投げ以外の種目で体力検定に落ちる隊員は1人もいませんでしたので、やる気があれば誰でも問題ないと思いますよ。

 

体力検定に落ちたらどうなる?

肩身が狭くなります。

というのは冗談で(半分本気ですが)、自衛隊には大きく分けて2つの壁があります。

1つは一般隊員と幹部の壁、もう1つは士と曹の壁です。私は陸上自衛隊に所属していましたので、ここでは陸上自衛隊を元に話を進めさせていただきます。

 

陸上自衛隊に入隊すると、通常は二等陸士という階級から始まり、時間経過で自動的に一等陸士、陸士長へと昇進します。

陸士長までは誰でもなれるのですが、次の階級は三等陸曹となっていて、三等陸曹になるためには体力試験と筆記試験と面接に合格する必要があるんです。

 

あまり良くない例えだとは思いますが、陸士はアルバイト、陸曹は正社員みたいなものなので、もし陸上自衛隊で一生やっていきたいという場合は、陸曹にならなくてはなりません。

体力試験に合格できなければ陸曹になることはできないため、一定の年齢を迎えたら退職しなくてはならなくなってしまうでしょう。

 

私は自衛隊に残りたいと願いながらも、体力試験に合格できずに辞めた隊員を数名見たことがありますが、いずれもソフトボール投げで40mくらいしか飛ばせずに不合格になっていましたね。

もし当時と基準が変わっていなければ、最低でも45mは飛ばさないといけなかったと記憶しています。

 

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最後に

私も自衛隊に入隊を決めた時は「果たして自分はキツイ訓練について行くことができるだろうか」と不安になりました。

特に私の場合は運動からも遠ざかっていてタバコもガンガン吸っていましたし、周りの隊員よりも2年遅れていてブランクもあったので、その気持ちは一層強かったように思います。

 

ただ今になって思えば、そんなのは大したことないです。

自衛隊では体力的に劣っているからと言って、その隊員を見捨てたりなんかは絶対にしません。

 

何年も続けていて成長が見られないようであれば見捨てられてしまうかもしれませんが、それなりにやっていれば最低基準はクリアできるラインに設定されていますので、心配することはないと思いますよ。

そして入隊時の体力なんか全く関係ありません。入隊してからが重要です。