優秀な隊員の条件|自衛隊では通常業務の他にもう1つ特技を持て!

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

一般の会社なら、割と「優秀な社員かそうでないか」は分かりやすいことが多いと思います。営業職なら数字がそのまま出るでしょうし、エンジニアなんかも周りが「あの人は優秀だ」となることが多いのではないでしょうか。

 

一方で陸上自衛官の場合、「何をもってその隊員を優秀とするか」という部分は、結構ブレてます。昇進するスピードには隊員が優秀であるかどうかが判断されますが、その判断基準は非常に曖昧です。

本記事では「優秀な隊員の条件|自衛隊では通常業務の他にもう1つ特技を持て!」というテーマで進めていきたいと思います。

 

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優秀な陸上自衛隊員とは?

 

明らかに優秀であることが明白なパターン

以前に「自衛隊員には一般隊員とエリートがいる」という話をしました。

陸上自衛隊の階級の話|幹部になりたい?昇進したい?

 

その中で、エリートには「防衛大卒業、高等工科学校生徒」という2つの大きな進路があることを挙げましたが、あくまで私のイメージでは「防衛大卒=優秀、生徒=人による」という印象です。

私は大学受験などもしたことがないので、「どこの大学がすごいのか、偏差値はどうなのか」という基準は全く分かりませんが、恐らく防衛大って入るのも結構難しいんじゃないかと思っています。

 

というのも、私が6年間の自衛隊生活で会った防衛大卒の若い幹部の人は、勉強家の人が多くて、誰一人として「動けない隊員はいなかった」ので。

何でもそつなくこなすというか、一緒に生活していて「桁違いに器用」というのが分かる人だらけでした。というわけで、とりあえず防大卒という肩書を持ってる時点で、隊員としては優秀だと考えて間違いないと思います。

※人として優秀かは人によります。

 

自衛隊では入隊後から順位が付けられる

陸上自衛隊では、入隊してから「前期教育→後期教育→一般部隊配属→陸曹候補生試験→陸曹教育課程」という段階を経て、陸士から陸曹へと昇進していきます。

自衛隊は試験に受かれば誰でも入隊できますが、その中で陸曹になって一生勤め上げることが出来る人は、大体1割~2割程度になるでしょう。

 

もちろん陸士から陸曹になる時に試験に合格しなければならないのですが、この試験に通る早さが自衛官として優秀かどうかの1つの判断基準となっていると言われています。

陸曹候補生試験の合格者は枠が設けられているので、「基準を満たしていれば誰でも合格!」というわけではなく、優秀な人から合格していきます

 

恐らくですが、私が陸上自衛隊に在籍していた頃は、平均的に見ると「3回くらい受験する」という人が多いような気がしました。

1回で合格する人は1選抜と言って、隊員として優秀である人が多いです(優秀かつ「陸曹になりたい」という意欲のある人)。

 

その後、陸曹教育課程に進んで、ここで多くの人は「新隊員以来の教育隊」に配属されるんじゃないかと思います。ここでも周りとの競争です。

ちなみにここでトップの成績を獲るとか、偉い人から賞を貰うなどの成績を収めると、その後の自衛隊人生における昇進速度が凄いことになります

 

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優秀な隊員の主な条件

 

動けること(体力試験でそれなりの成績を残すこと)

まず優秀な隊員は「ある程度の運動神経がある」ということが重要な気がします。

体育会系の組織ということもあって、周りを見れば、運動能力的に飛びぬけて凄いという人は結構いますが、だからと言ってすぐ優秀な隊員とはならなかったです。

 

少なくとも「体力検定に合格できません」じゃ話にならず、単に合格すればいいというものでも無く、「1級である必要はないけど、全ての項目で平均以上」というラインは超えている人ばかりだったと思います。

自衛隊は体力に自信がなくても大丈夫!?|訓練のキツさに関する内部事情

 

勉強家であること

自衛隊には中卒~大卒まで様々な学歴を持った人がいますが、自衛隊内部での学業とこれまでの学校の成績が直結することもないです。

面白いもので、ある程度勉強してきた人間の方がそれなりの成果を挙げることは多いんですけど、もちろん全員が全員そうではないですし、自衛隊内の学業は「結局、やるかやらないか」という部分に落ち着くと思います。

 

その学業は、自衛隊クイズのような感じです。自衛隊には様々なルールがあって、それこそ「自衛官の6大義務は?」と聞かれてパッと答えられるとか、敬礼の時の角度は何度かとか…。

勉強が得意だからと言って点数が取れるという類のものでは無く、あくまで「それそのものを覚えようとしたかどうか」が問われます。

要領が良ければ少ない時間でも効率良く勉強できるという側面はあると思いますが、結局は「勉強家かどうか」という部分が重要視されると言っていいでしょう。

 

通常業務とその他の特技について

自衛隊には様々な「科」があるので、その職種における隊員の技能も重要視されます。

これは一緒に仕事をしていれば「この人は仕事できるな/この人は全然仕事ができないな」という部分が分かってくるはずです。

 

誰に点数を付けられるわけでもなく、明確な基準があるわけでもありませんが、ここは一般の会社と一緒で「肌感覚で理解できる部分」と言っていいでしょう。

私の場合は「あの先輩隊員は人としては全く尊敬できないけど、隊員としては優秀だと思う」という人が何人かいたので、好き嫌い以上に重要視する部分があるんだと思います。

 

あとは通常業務以外にも光る特技を持っているという人は、優秀であることが多いです。「銃剣道/徒手格闘/駆け足」など、自分の部隊から引き抜かれて活動に行く人には優秀な人が多いというイメージですね。

もちろん行くだけではなく、そこで成果を残すことが重要です。優秀な隊員は「引く手あまた」になることが多いと言えます。

 

例えば、長距離走が速い隊員は、駆け足錬成隊という所から誘われることがあります。

基本的には、自衛隊のマラソン大会のようなイベントがある時に結成される臨時部隊なのですが、「大会までの期間、一般部隊からこっちに支援に来てくれないか?」という感じでスカウトされるようなイメージです。

 

また、銃剣道や徒手格闘という競技部門で才能を発揮する隊員もいます。

こういう技能を持っていれば、普段の仕事が人並みだったとしても「あいつには一芸がある」と、一目置かれる存在になれるでしょう。

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一般部隊としても「この隊員は通常職務でも優秀な人材だから、穴を埋めるのが難しいし、出したくない!」という駆け引きがあったりもして、こういうやり取りがある隊員は優秀であることが多いような気がします。

足が速いだけの隊員なら「どうぞどうぞ」という感じで、一般部隊から躊躇なく支援に出されるケースもありますからね。そして私のように足が遅い隊員には、駆け足錬成隊からは数合わせとしても声が掛かりません。

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最後に

自衛隊隊員の優秀さって非常に曖昧な基準ではあるんですけど、ものすごく分かりやすく言うと「運動能力と知識のパラメータが高い基準値でまとまっていて、通常スキル以外の特殊スキルを持っている人」みたいな感じです。

 

なりたいと思ってなれるような感じではないですが、努力次第によっては運動能力もある程度の位置までは行けますし、知識の方はあんまり才能が関係ないと思います。

 

優秀な隊員として認められたければ、普段の業務以外にも「自分が誇れる要素」を持てるように取り組むことをおすすめします。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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