「自衛隊の仕事ってきつい?それとも楽?」元陸上自衛官が答えていく

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

自衛官に興味を持っている人の中には「自衛隊の仕事ってきついの?それとも楽なの?」と疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?

 

特に自衛隊の内部のことってそこまでオープンになっていないので、真剣に考えている人ほど興味を持っているんじゃないかと。

そこで今回は、元陸上自衛官である私が「自衛隊の仕事がきついのか楽なのか」についてズバリ答えていこうと思います。

 

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日常業務のキツさはそうでもない

 

所属する部隊などによって大きく変わってきますが、一般の人が想像するようなキツイ訓練をする場合は期間が決められているので、普段の業務はそんなにキツくありません

教育期間や年に数回のガッチガチの訓練くらいは肉体的にも精神的にも軽く追い込まれますが、これよりキツい思いをしているサラリーマンの方は山ほどいるような気がします。

 

ただし日常業務においても最低限のことをしておかないと、災害などの有事の際に何もできなくなってしまうので、そういう場面を想定して日頃から真剣に訓練しているという人であれば、日常業務も楽だという感覚は持っていないでしょう。

あくまで最低限のこと(ノルマのようなもの)をこなすという意味で言えば、本当にキツイのは年に1回か2回、あとは教育を受ける時くらいです。

 

ちなみに私の場合で言えば、陸士長という階級から三等陸曹という階級に昇進するための陸曹教育課程と呼ばれる3ヶ月の教育期間は本気でキツくて、3ヶ月の間に何度も辞めようと思いました。

ただ自衛隊人生30年の間で本気でキツイのってこの3ヶ月だけですから、ここを耐えたらあとはもうクビにならないって思ったら、その辺のサラリーマンの方よりもよっぽど楽なんじゃないかとも思います。

 

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日常業務以外の部分でキツイことが多い

飲み会がキツイ

 

お酒が好きな人でも、ある程度の年齢になるまでは「自衛隊の飲み会」は、楽しんでいる人が少なかったような印象があります。少なくとも私のように「お酒が一滴も飲めない」という人には地獄です。

先輩隊員への料理の取り分け、お酒を注いで回ったりすることはもちろん、ある程度の位置にいくまで余興などをやらされます。この余興が、ちょっとプライドが高い人だと耐えがたいかも。

下っ端隊員の究極の試練「飲み会の余興」の乗り切り方を伝授する!

 

山籠もりなどをするような訓練も年に何度かあるのですが、それが終わってまずやることと言えば宴会です。

もちろん山籠もりをしているわけですから、歯も磨いていなければ髪も顔も洗っていないという状況で「まずは酒!」となる意味が分からない人にとっては結構苦痛だと思います。

 

プライベートがほとんどないようなもの

 

一般の会社でも嫌なことは多いと思いますが、それでも唯一の救いは「1人になれる時間がある/プライベートがある」という部分ではないでしょうか?

自衛隊の場合は寮で生活することも仕事の一部なので、同じ部屋の先輩や同期が嫌な奴だとすれば、仕事が終わってからも休まることがありません

自衛隊の寮生活の内部事情を大暴露!!|門限・点呼・起床時間や就寝時間などのあれこれ

 

階級が上がってそこそこの地位までいくか、もしくは結婚して寮を出るかすればある程度はマシになるものの、結婚してくれるような相手がいないという場合だと結構キツイんじゃないかと思います。

ちなみに私が在籍していた時に、結婚せずに寮から出る方法は「幹部になる」か「35歳以上で二等陸曹以上」という条件でした。

 

ちなみに幹部は目指すだけなら割と誰でもできて、才能というよりも意識的な問題の方が大きいように思います。

一般隊員と幹部は全く違うので、サラリーマンでいうところの「昇進しなくていいからそこそこ休みが欲しい」とか「昇進しなくていいから転勤したくない」というような人であれば、幹部を目指すことの意味は非常に薄いんじゃないかと。

陸上自衛隊の階級の話|幹部になりたい?昇進したい?

 

不特定多数の人が入ったお風呂とか入れますか?

 

私は軽い潔癖症だったので余計にキツかったのですが、お風呂を始めとして衛生的にキツイと感じる瞬間が多々あります。

お風呂で言えば浴槽に変な物が浮いているというのは日常茶飯事で、あとはろくに拭かずに浴場から上がってくる人ばかりなので、脱衣所が水浸しです。

そして自衛隊の職業病とも言える水虫は更衣室で移ると言われているので、個人的には相当キツく感じました。

陸上自衛隊とは切っても切れない職業病「水虫」にまつわる話

 

あとは山籠もりの訓練なんかだと、当然「戦争」などを想定した訓練になるので、トイレに行ったりということができません。

未だに覚えているのですが、先輩隊員に「トイレどこですか?」と聞いたら、トイレットペーパーとスコップを渡された時の衝撃は、もう二度と忘れることはないでしょう。

山で訓練中のトイレはどうしてる?|先輩隊員にスコップを渡された話

 

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結局は個人の考え方や目指す場所次第

 

こんなことを言い出したら身も蓋もありませんが、結局訓練が楽だと感じるかどうかというのは、自分がどこを目指しているかによって大きく変わると思います。

自衛隊でいうところのノルマは「体力検定に合格する」ということですが、ずっと一級を維持できるように訓練したり、駆け足やら銃剣道やらの錬成隊に行って上を目指し続けているという人なら、普段の訓練が楽だとは一切思わないでしょう。

 

こういう人たちは「限界を一歩超えること」を常に考えています。私は「自衛隊の日常業務はキツくない」と書きましたが、これはあくまで「最低基準をキープする&言われたことをこなす」という場合です。

体力検定に合格できないほどぬるま湯に浸かるのはどうかと思いますが、とりあえずここをクリアできればいいという熱量であれば、自衛隊の業務は楽に感じることがほとんどだと思います。

 

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最後に

私は自衛隊で6年勤務した後、一般の会社に勤めていますが、どっちも一長一短だと思いました。

売り上げや成果でどうこう言われないという意味では自衛隊の方が楽だと思いますが、やはり飲み会が多かったり、毎日お風呂に入れなかったり、飲み会が多かったりなどの部分で私には無理だったので、こういう部分に問題がなければ自衛隊は天職になるんじゃないかと思います。

 

サラリーマンの方も少ない自由時間を使ってジムに行ったり、ウォーキングやジョギングをしている人も多い中、自衛官は身体を動かすのが仕事になるので、そういうのが好きな人にとってはまさに打ってつけの職業ではないでしょうか。

訓練を楽に済ませるか、それとも追い込んできつくするかは、あなた次第です。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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