先輩隊員よりも先に帰るのはNG!?常識的に考えるとおかしい自衛隊の常識

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

私が自衛隊を辞めて一般の会社に勤めた時、色々な面でギャップを感じたことがありましたが、その中でも「先輩よりも先に帰るかどうか」という部分では割と悩みました。

 

一般の会社でもいわゆるブラック企業と呼ばれるような会社では「例え自分の仕事が終わっても、先輩社員よりも先に帰ってはいけない」というルールがあるのかもしれませんが、今のところ私が勤めた2つの会社では「自分の仕事が終わったら、先輩後輩関係なしに帰れ」という方針です。

 

そこで今回は、自衛隊の時に感じた変な上下関係という部分で「先輩隊員よりも先に帰るのはNG」という自衛隊の教えについて言及したいと思います。

 

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自衛隊は時間にうるさい組織である

 

一般の会社でも遅刻が許されないのは当然として、自衛隊では下っ端隊員の頃から「5分前行動」という習慣を教え込まれます。

これは言わば「間に合えばいいというものではなくて、ちゃんと余裕を持って行動しなさいよ」という意味で、分かりやすく5分と表現しているだけです。

…が、私の所属していた部隊では「先輩が来る5分前行動」という意味で使われていました(同じ陸上自衛隊でも部隊によって差はあると思います)。

 

例えば特殊業務で朝早くに駐屯地を出なければならないという場合、隊舎前に05:00などの待ち合わせをするのですが、この場合は04:55より前に来るのは当然として「先輩を待たせてはいけない」という謎のルールが発生します。

当然ながら先輩がいつ来るかなんてものは分からないので、寮に住んでいる先輩なら先に部屋によって挨拶をしてから行くのが無難とされており、駐屯地の外に住んでいる先輩なら「その人のキャラクターを見て判断する」ということをしていました。

 

うるさくない先輩なら04:55までに着けばOK、逆にちょっと面倒な先輩なら余裕を持って早めに着いておこうかなという感じです。

たぶん普通の人なら「面倒くせー」って思うんじゃないかと思いますが、面倒な先輩より後に着いて一日中ネチネチ言われることの方がずっと面倒なので、注意する必要があります。

 

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一般の会社に入社後「帰ってもいいぞ」は試されていると思っていた

 

私は20歳の時に陸上自衛隊に入隊し、26歳まで陸上自衛隊に勤めてそこから約1年後くらいに就職したのですが、これが初めて経験するまともな職歴という感じでした(まともって言ったらアレですけど)。

 

なので先輩社員から「自分の仕事が終わったら帰っていいよ」と言われても、これが実は罠で「本当は試されているんじゃないか?」と思い、最初の1ヶ月は絶対に最後に帰るようにしていたんです。

 

そしたらある時、結構まじめな感じで「ただ残っているだけの人に残業代は払えない」と言われ、私はタイムカードは退社した処置をしたうえで残っていたのでそれを告げたところ、やや食い気味に「なら尚更帰れ」と言われたのを覚えています。

 

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自衛隊の上下関係はやり過ぎ

食べ物に関する順番

 

自衛隊では先輩後輩入り混じって食堂に行くことがあります。

この時、まぁ常識的に考えたら「全員で行ってるわけだから、全員揃ってから食べる」というのが普通だと思いませんか?

 

まぁ自分が後輩の立場だったら間違いなく待ちますし、自分が1番上の先輩でも「私にとっては全員が揃ってから食べるというのが普通」だと思ってるんで待つんですけど、これって麺類などが無い状況という前提があると思うんです。

 

私は一般の会社に入って、お昼に先輩社員とご飯を食べに行くときに「私:醤油ラーメン、先輩社員:かつ丼定食」となった時、私に先に料理が運ばれてきても待つのが常識だと思っていて、ここもなかなか慣れるまでに時間が掛かりました。

「伸びるから食え」って言われているのに、それも試されていると思ったりして。

 

ここも会社によるんでしょうけど、私の経験上は「お先に失礼します」と一言けん制しておけば、そこまで目くじら立てられることもないような気がします。

 

飲み物に関する順番

 

自衛隊では非常に飲み会が多かったのですが、後輩からすると「料理のとりわけ、お酒の注文、余興」など気を遣う場面も非常に多く、いくらお酒が好きな人でも「隊の飲み会は嫌だ」という人も少なくなかったように思います。

下っ端隊員の究極の試練「飲み会の余興」の乗り切り方を伝授する!

 

人数が人数なのでピッチャーを頼んで、あとは随時注いで回るというケースも多いのですが、中には普通の飲み屋さんで言うところの飲み放題のように「飲み終わったら注文する」というケースがあります。

この時、最初は「生ビール20本」等の注文をし、少しずつジョッキに入った生ビールが運ばれてくるわけですが、ここでいつも悩んでいたのが「下っ端から受け取るべきか、先輩に先に渡すべきか」という部分です。

 

というのも飲み会の場合はほぼ例外なく、全員が揃った段階で「乾杯の挨拶→乾杯」という流れがあるので、先に届いたビールはぬるいという傾向が強いんですよね。

もちろん厨房の方で「グラスは一気に用意されていて、運べるだけ運んできている」という可能性も考えられますが、もしかすると「随時サーバーから注いでいて、一定数確保できた段階で運んできている」という可能性もありますから、後で運ばれてきたものが新しい(冷たい)ものであるという可能性は捨てきれません。

 

この時に自衛隊の場合は満場一致の正解というのが無く、私の経験上では「1番上は何も言ってこないが、真ん中の先輩隊員にうるさい奴が多い」というイメージです。

最初に渡したら「お前はぬるいビールを隊長に飲ませるのか?」と言われ、あとで渡したら「お前は隊長より先に自分が飲もうとしてんのか?」と言われる…。今思えばかなり面倒でしたね。

 

自衛隊に入隊して「マジか!」と思った上下関係にまつわる話

 

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最後に

正直言って自衛隊の中でも部隊によって大きく変わると思うので、私が所属していた部隊が特別酷かった可能性もあれば、現役自衛官の方からすれば「いやいや、お前のいた部隊まだマシだから!」って人もいるんじゃないかと思います。

 

いずれにしても「言い訳を許さない」という風潮が強い自衛隊では許されないような反論でも、一般の会社では許されることも多いです(これも会社によると思いますけど)。

 

私の会社ではビールを渡す順番でいちいち文句を言われることはありませんし、仮に言われても冗談っぽくケチを付けられ、それに対する自分の考えを話せば怒られるということはないように感じます。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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