自衛官へのペナルティの代表格「外出禁止」とは?|殴られた方がマシ

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

自衛隊にはありとあらゆる種類のパワハラが蔓延していましたが、そのうちの1つが「外出禁止」ではないかと思います。

世間的にも「どんな理由があれ体罰は良くない」という風潮が強くなっているため、先輩から後輩に与えられる罰の種類としては、体罰よりも外出禁止などのスピリチュアル攻撃が多いのではないでしょうか。

 

私の周りには「外出禁止になるくらいなら殴られた方がマシ」と答える人が多かったんですが、これは堪える人には相当な罰になることは間違いないです。

というわけで今回は、自衛官のペナルティの代表格「外出禁止」について紹介します。

 

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外出禁止とは?

陸上自衛隊に一般隊員として入隊すると、原則として最低でも約2年ほどは寮生活をしなければなりません。

隊員としての年数や階級が上がっていくに連れて、少しずつ出来ることや自由が増えていきますが、新隊員のうちは駐屯地の中から出るのにも一苦労です。

 

駐屯地に住んでいる自衛官が駐屯地の外に出ようと思ったら、所属部隊の当直から外出許可証を貰わねばならず、それを貰うには営内班長と呼ばれる「寮生活における直属の上司からの許可」が必要になります。

営内での生活態度は営内班長に対して筒抜けなので、もし「何かやらかした場合」などは、外出許可を出さないという制裁に繋がるケースも珍しくありません。

 

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教育中の外出は厳しい

 

教育中は基本的に外出は土日のみ

自衛隊に入隊してから最初の半年間は新隊員教育期間となり、この時の外出は結構厳しいです。土日は門限付きの外出許可が出ますが、私が新隊員教育中だった時は平日の外出は基本的にNGでした。

とは言っても、まだ自衛隊生活もそこまで慣れていなかったですし、普段の訓練で結構疲れていたので、仮に外出できてもしなかったとは思いますけど…。

 

ただし、土日の外出はとにかくテンションが上がる瞬間で、この時のために月~金曜日の訓練を頑張っているという隊員も多く、外出の権利を取り上げるという行為は何よりものペナルティになります。

私が新隊員だった頃は、座学中に寝たやつがいたら外出禁止でした。どこの教育隊でもそうだと思いますが、なぜか座学の講師が「寝ていいよ」と言い出し、それを真に受けるととんでもないことになるんですよね。

そもそもお金を貰っているわけですから、寝ていいわけがないんです。そして寝てしまうと、座学が終わってから死ぬほど腕立て伏せをさせられ、あげくの果てに週末は外出できないという…。

 

連帯責任による外出禁止があるかも

教育中においては、さすがに単なる意地悪で外出禁止のペナルティを与えるということは考えにくく、恐らく「やるべきことをやらなかった」とか「致命的なミス」などの理由で外出禁止になることが多いです。

例えば「銃の部品を無くした」とか、あるいは「隊員同士で揉め事を起こした」とかでしょうか。禁止されている未成年の喫煙がバレたというパターンもありそうです。

いずれにしても結構なやらかしが対象になるはずで、少なくとも「体力検定の基準に足りないから」などの理由で、教育中に外出禁止を言い渡されるケースはないと思います。

ちなみに銃の部品を無くすと、とんでもないことになります。

訓練中に銃の部品を失くしたら、見つかるまで徹底的に探すぞ

 

そしてちょっと理不尽ですが、対象者だけでなく「連帯責任で全員が外出禁止」とかもありそうです。例えば未成年の隊員がタバコを吸っていたのがバレた場合、それを見て見ぬふりをしたことがやり玉に挙げられ、全員が処罰されるということが考えられます。

ペナルティを与えられる場面としては、服装の乱れや髭の剃り残し等も該当するのですが、本人が悪いのは当然として「それを指摘できなかった班員の責任でもある」みたいな切り口で連帯責任になったことが多々ありました。

パワハラ・理不尽の極み!教育中にやたら飛び交う「連帯責任」とは?

 

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部隊配属後は当直制度による外出禁止

 

部隊配属された後も、下っ端隊員のうちはペナルティで外出禁止にさせられてしまうケースもあり、あとは当直残留というシステムが発生します。

これは「有事の際に必ず駐屯地に一定の隊員がいなければならない」というルールのもと、駐屯地に残るべき人員を割り振るというものです。

 

平日ならまだいいのですが、運悪く「休みの日に当直残留になってしまう隊員」が出てきます。こうなってしまうと、休みなのに駐屯地の外に出られません。

当直残留の決め方は部隊にもよりますが、私が新隊員の頃に所属していた部隊では「1期上や2期上の先輩が当直を振り分ける」というシステムで、自分の先輩に対して土日の残留を振り分けるということは勇気が要るし、自分も外出したい…ということで、後輩隊員に押し付けるというのが慣例となっていました。

世渡り上手なら貧乏くじを引く可能性も低くなりますが、このあたりは運などにも左右されてしまうでしょう。

新隊員時代の当直残留の話|真面目な奴ほど損をする馬鹿げたシステム

 

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最後に

私は外出禁止になっても、部屋でずっとゲームできれば苦じゃなかったので、外出禁止に関してはそこまで重いペナルティだと感じたことはありませんでしたが、外出しないのと外出できないのって全然違うんですよね。

あとは「外出禁止になった時に限って用事があった」みたいなことも往々にしてあるので、この辺が改善されればもっと自衛隊人気も上がっていくんじゃないかと思っています。

 

 

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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