自衛隊に再入隊する!?|意外と多い出戻り組の実態を暴露する

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

私が自衛隊に入隊したのは今から10年以上前ですが、その当時から景気は良くないと言われ続けていて、大学を卒業しているのに一般隊員として入隊する人が結構いました。当時と比較すると、今はもっと多いと思います。

 

新卒のカードを使ってまで入隊してくる人もいれば、大学卒業後に民間企業に就職し、何年か勤めてから入隊するという人もいました。そしてそういう隊員は、自衛隊をやめずに「自衛隊に残る」という選択をする人が多いように感じます。

そして、一旦は自衛隊をやめて一般企業に就職したものの、何らかの理由で「自衛隊に再入隊する隊員」も一定数存在するんですよね。

今回は「自衛隊に再入隊する!?|意外と多い出戻り組の実態を暴露する」というテーマで進めていきたいと思います。

 

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自衛隊を一度辞めた人が再入隊(出戻り)する意味

 

自衛隊は入隊すれば一生いられるという組織ではなく、入隊後に試験に合格しなければいずれは辞めなければならないので、多くの隊員は「自衛隊に入隊→色んな理不尽を感じる→辞めるか、続けるか」という判断を強いられます。

自衛隊は良くも悪くも特徴的で、国家公務員という立場がありながらも役所の職員とは大きく異なる存在です。どんな仕事も「外から見ているのと、実際にやってみるのとでは大違い」だとは思いますが、自衛隊しか知らないという状況だと「自衛隊はクソ!」で終わってしまいます。

 

それでいて自衛隊を辞めようとすると、自衛隊しか知らない先輩隊員から「自衛隊は最高だ/民間企業はもっときついぞ」と脅され、結構な熱量で説得されるという…。

その時は「自衛隊しか知らないお前に何がわかんの?」と言いたくなるのですが、ここで一旦冷静になって周りを見てみると「自衛隊を辞めた後で何年後かに再入隊した出戻り隊員」が何人かいたりするんですよね。

恐らくこの隊員にとっては「自衛隊が良い職場だと判断して再入隊している」ということになります。

 

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自衛隊に再入隊した時の階級・序列は?

 

私の自衛隊同期にも、出戻り隊員・再入隊組と呼ばれる「自衛隊に入隊するのが2度目」という隊員が数名いました。

最も多く見たのが「かつては任期制隊員として陸上自衛隊で2年または4年勤めあげ、民間企業を経てから再び陸上自衛隊に入隊したパターン」です。また、海上自衛隊から陸上自衛隊に来たという人も。

 

かつては「士長」という階級まで上り詰めた彼らも、再入隊したらまた2士からのスタートです。もちろん過去に経験したことをもう一度やることになるので、まったくの新しいスタートを切る同期たちに比べたら、かなり有利だと思います(特に精神面で)。

ただしまっさらな同期と比べたら年齢を重ねているという点で不利もあり、普段から身体を鍛えていたとかでもなければ、もう体力が落ちてしまっているというケースが多かったように思いました。

まぁ追い込まれている分、必死になってやれるという部分は出戻り隊員ならではじゃないかと(もちろん必死にやるかどうかはその人次第ですが)。

 

ちなみに再入隊すると、過去の同期や後輩が先輩になったりします。人によるとは思いますが、ほとんどのケースで「どっちもやりにくい」ということが起きるはずです。

ちなみに私が見てきた限りでは、プライベートに近い場面ではタメ口で喋っていて、本格的な訓練や指導の場では敬語を使うというスタンスで問題なさそうでした。

 

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再入隊(出戻り)した隊員から学べること

 

自衛隊生活できついことは沢山ありますが、代表的なものは「上下関係」です。お笑いの世界もそうですが、いくら年下でも芸歴が長ければ兄さんになります。

自衛隊もそれと一緒で、階級社会だなんだとは言うものの、結局「何年、自衛隊で飯を食ったか」が上下関係を決める大きな要素だと言わざるを得ません。

 

私は同期と2年遅れで入隊したこともあって、同期は2つ年下の子が多かったですし、年下の先輩もたくさんいました。「年下の嫌な先輩にあれこれ指図される」というのが本当に嫌で、これは最後まで慣れなかったのを覚えています。

自衛隊生活で最も屈辱的な経験|年下の先輩に横暴な振る舞いをされた

 

これが出戻り隊員の場合、昔と同じ部隊に配属されるようなことがあれば「かつて後輩だった隊員が今度は先輩になってしまう」ということが起きてしまい、これは相当なデメリットと言えるのではないでしょうか。

そして「かつての後輩が先輩になったとしても、それ以上のメリットが受けられる」と思って再入隊を決めたと考えることができ、自衛隊にはそれだけのメリットがあるのだと気付くことができます。

 

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民間企業の経験がなく、自衛隊をやめたいと考えている人へ

私自身、民間企業で勤めていたわけでもなく2年遅れで陸上自衛隊に入隊し、色々あって6年後に自衛隊を辞めました。辞めようかどうかを悩んでいた時、出戻り隊員の同期に相談したこともあります。

結局、誰が何と言おうと「自分にとって合う場所、自分が頑張れる場所」というのは人それぞれであり、自衛隊には明らかに向き・不向きがあります

 

かつて私が自衛隊の先輩に理不尽なことをされた時、「こんなクソみたいな奴、民間企業にはいない!」くらいの気持ちで思った出来事も多々ありましたが、例え会社にそういう人がいなかったとしても、取引先やお客さんでそういう嫌な人って必ず何人かいるんですよね。

だから、もし自衛隊の生活や任務にはそこまで不満がなく、人間関係で辞めたいと考えている場合は、わがままでも何でも言って部隊を変えてもらうとかした方がいいと思います。ぶっちゃけ、人間関係で自衛隊を辞めなきゃいけないのは本気で勿体ないです。

私が陸上自衛隊を辞めた理由|パワハラで精神が崩壊しかけた日のこと

 

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最後に

再入隊している人を見ると「自衛隊ってやっぱりいいのかなぁ」と思ってしまいますけど、それはその人にとってそうだったというだけです(実際には戻ってこない人の方が多いわけですから)。

ただし、両方を知らないと比較はできないでしょうし、民間と自衛隊を比べて「すべてがゼロからのスタートでも、また自衛官として頑張りたい!」と決断した人から学べることは沢山あります。

もし身近にそういう人がいたら、ぜひ色々な話を聞いてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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