自衛隊の入隊動機|なぜ自衛隊に入隊したのか、その理由で多いのは?

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

一般の人は自衛官に対して「なんで自衛隊に入ったんだろう?」と思う人が少なくありません。少なくとも飲み屋の女の子にとっては「入隊動機」が掴みになっている節がありますし、私自身も同期を見て「なんでこの人は自衛隊に入隊したんだろう?」と感じる人が結構いました。

 

これは全ての職種に通じて言える事ですが、誰もが信念を持ってその道に進んだというわけではなく、成り行きとか仕方がなくという理由も決して少なくありません。

今回は、私が周りの同期や先輩、後輩隊員から聞いた「入隊動機」についてご紹介したいと思います。

 

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自衛隊の入隊動機

お金を貯めるため、免許や資格を取るため

 

私は高卒区分の一般入隊だったので、入隊時における周りの隊員のほとんどは「高卒して間もない18歳の隊員たち」でした。ちなみに私は2年遅れで入隊しています。

周りに話を聞いてみたら、「大学に行くつもりはなかったけど、就活するつもりもなかったから」という感じの人がかなり多く、「効率的にお金を貯めたり、免許や資格を取りに来たつもりで2年~4年働きに来た」という入隊動機が多かったように思います。

 

ちなみに一昔前であれば「車の運転免許を含め、資格や免許を取りに来た(お金を貰いながら免許が貰えるなんて最高!)」という人も結構いたようですが、私が在籍していた10年前の時点で既に「運転免許=自衛隊車両」というルールに変わったりしていたので、今は免許や資格目的で入隊する人はだいぶ減っているはずです。

資格もそれを必要とする部隊に配属されれば取得できますが、自分が望む部隊に配属されるかどうかは適性や運に左右されますし、何かしらの資格が取得できても「それが世の中に出て需要がある資格かどうかはまた話が別」と思っていた方がいいでしょう。

 

ただし、お金は貯まります。もちろん浪費しなければですけど。

「お金が貯めたい!」と思う若者は自衛隊への入隊がおすすめ!

 

親や親戚が自衛官

親や親戚に勧められて入隊したという人も一定数存在します。個人的な意見ですが「なんでこの人は自衛官になったんだろう?」と感じた多くの人は、親や親戚が自衛官だったという人が多かったです。

大学を卒業していて、人間性にも問題なく、「この人なら一般企業でもそれなりの良い会社に入れそうだけど…」と思う人は、大体「お父さんが自衛官」というパターンでした。

 

幼少から厳しく躾けられていたのか、あるいは「自分のせいで父の顔に泥を塗るわけにはいかない」と考えるのか、人としても印象が柔らかくて周りからも可愛がられる感じの人が多かったように思います。

もちろん例外も多くて「俺の父ちゃん、幹部だぜ!」みたいな奴もいましたが。

 

ちなみに私の同期や先輩、後輩隊員には「父親が幹部なんだけど、自分は一般隊員として入隊した」という人が非常に多かったので、そういう人は「自衛隊はいいけど、幹部はやめとけ」と助言されたのかなぁと思っていました。

まぁ一般隊員として入隊しても、個人の努力次第で幹部になる道は開けるので、選択肢を増やしたというだけの話かもしれませんけど。

陸上自衛隊の階級の話|幹部になりたい?昇進したい?

 

警察や消防の試験に不合格だった

 

これも非常に多かったです。自衛隊は「基礎体力は入隊してからガンガン鍛えればいいから、入隊時の体力なんか気にしない」という感じで、入隊試験の項目に体力試験がありません。

一方で、警察や消防は二次試験が体力試験になっていることが多く、最低限の体力がなければ合格できない仕組みが作られていることが多いです。

調べてみたら、自衛隊において「部隊配属=実戦配備ではない」のに対し、警察の場合は教育期間終了後にすぐ配属されて実務に回る可能性があるらしいということで、最初からそれなりに体力がないと育てる時間がないということだったのかもしれません。

 

実は私自身も警察を始めとする他の公務員試験に全て落ちてしまって、最終的に泣く泣く自衛隊に入隊したのですが、警察の二次試験でシャトルランをやらされて、完全に下の方だったのを今でも覚えています。

それでも自衛隊入隊後の最初の長距離走(3km)で真ん中より上だったので、自衛隊では「長期的な視点で人材を育成していく」という考えがあるのでしょう。

 

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自衛隊で心身を鍛えながら「やりたいこと」を見つける

私が陸上自衛隊に在籍していたのも10年くらい前の話ですが、その頃から世の中の景気はあまり良くなかったと記憶しています。そのせいか「大学を卒業して一般隊員として入隊する人」も少なくありませんでした。

さすがに24歳以上で入隊した人は「なんとか自衛隊に残りたい」という気持ちで入隊してきた人が多かったのに対し、22歳以下(大学新卒)の人は「自衛隊で働きながら、本当にやりたいことが見つかったら転職する」というつもりで入隊した人が多かったです。

 

22歳そこらで新卒ガチャに失敗してしまうと、場合によっては酷い末路を辿るケースもあるということで、「新卒のカードを自衛隊に使う」という判断をしたということでしょう。

確かに別の会社に中途採用で入社しようとする場合、民間企業からだと明確な根拠を示さないと不利になってしまいそうなのに対し、自衛隊からなら「少なくともマイナスにはならないのでは?」という感じもしませんか?

「自衛隊で心身を鍛えながら、本当にやりたいことを模索してきました。そして、やっと見つけたのが御社の仕事です」みたいに言えば、そこそこ説得力があるような気がしないでもないです。

 

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自衛隊を踏み台にするつもりが、自衛官として生きていくことに…

 

前項に書いたように「とりあえず自衛隊に入隊しておいて、やりたいことが出来たら速攻で転職してやる!」という考えの人は、割と多かったです。

というよりも「一生自衛隊で頑張っていくつもり」という人の方が少なく、いずれにしても「我が国を守るために、身を粉にして…」みたいな人は、絶滅危惧種ばりに少ないと思います。

 

ちなみに私が実際に自衛隊を見てきて思ったことですが、「日本の為に!」みたいなことを言う人よりも「自分の利益が国益に繋がる」という人の方が信用されやすいというか…。

「自衛隊を続けるつもりがなかったのに昇任試験に合格してしまって、結果的に自衛隊をやめられなくなってしまった」という人が多かったです。そういう人に才能があるというケースが多いというのもあるかもしれませんが、もしかすると「昇任試験に合格しやすい人=変に気負い過ぎていない、信頼を得やすい」みたいな背景があるのかも。

「あなたのことを考えて…」という人よりも「あなたにもメリットがあるし、私にもメリットがある」という人の方が信用できそうな気がしませんか?それと一緒です。

 

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最後に

自衛隊に限らず、一般企業でも様々な志望動機があります。それに志望動機には「本音と建て前」があることが多いので、本音では「お金を貯めながら、景気が回復するのを待ちたい」みたいに思っている自衛官も少なくないでしょう。

ちなみに入隊の動機については入隊試験でも聞かれると思いますが、これとは別に「入隊後の自己紹介」でも入隊の動機を聞かれることがあります。

できれば「試験では建て前、入隊後は本音」で喋った方がいいです。特に入隊後の自己紹介については、そこで笑いを取れば先輩隊員から可愛がってもらえるかもしれませんよ。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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