元陸上自衛官のレトロ軍曹です。
自衛隊に入隊しようと考えている人の中には「自衛官候補生試験」の受験を考えている人もたくさんいることでしょう。試験の難易度自体は高くないと言われていますが、ぶっちゃけ「昔と比較すると、いまや誰でも受かるというものでもない」です。
今回は「自衛官候補生試験って誰でも受かる?|受からない人の特徴を大暴露!」というテーマで進めていきたいと思います。
自衛官候補生試験って誰でも受かる?
私が入隊した頃は3つの入隊区分があった
私が陸上自衛隊に入隊した頃は、一般入隊にも3つの入隊区分がありました。
- 曹候補学生:3曹が約束されている
- 曹候補士:曹を目指しやすい入隊区分
- 任期制隊員:曹にはなりにくいが、満了金が貰える
現在は、当時の曹候補学生と曹候補士の制度が撤廃され、一般曹候補生と名前を変えたという感じでしょうか。かつては入隊区分によって曹という階級への昇進が約束されていたのですが、今は「誰でも曹になれるというわけではなく、本人の素養や努力が必要不可欠」となっています。
一方で、当時の任期制隊員も名前を変えて自衛官候補生と呼ばれるようになりました。こちらは一生自衛隊に残るというよりも、2年~6年の期間限定で入隊したいという人に人気があります(2年毎に任期満了金が貰えるため)。
ちなみに現在60代半ばである私の父親の世代からすれば、「自衛隊=自分の名前を漢字で書ければ受かる」くらいのイメージがあるようですが、私が入隊試験を受けた15年ほど前から、既にそのような低いレベルではなかったです。
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入隊試験の難易度は「一般曹候補生>自衛官候補生」
入隊試験そのものの難易度としては、一般曹候補生試験の方が難しいと言われています。その理由として「自衛官候補生として入隊した現役自衛官の一部も、一般曹候補生の試験を受け直す」という例が認められているからです。
自衛隊の入隊試験を受ける際に「とりあえず両方の試験を受けよう→一般曹候補生に落ち、自衛官候補生に受かった→自衛官候補生として入隊→翌年、自衛隊の中で一般曹候補生試験を受け直す」という感じですね。
自衛隊は少し特殊で、「入隊試験に合格=一生自衛隊にいられる」ということではありません。入隊試験に合格し、その後は同じ自衛隊員の中での選抜試験に合格しなければ、一生自衛隊にいるということはできず、年齢制限を迎えたら退職することになってしまいます。
そのために「曹」という階級に昇進しなければならないのですが、曹のなりやすさが一般曹候補生と自衛官候補生で違ってくるというわけです。
自衛官候補生試験は、誰でも受かるというものでもない
自衛隊は人手不足と言われていて、他の公務員と比べると「来るもの拒まず」という雰囲気が高いです。学力試験の合格基準も低い方で、警察や消防のように入隊時の体力試験もありません。
ただし他の公務員試験と大きく異なる点があり、それは「最終学歴をそこまで尊重していない」という点です。
例えば、最近は大学を卒業する人の方が多いくらいじゃないかと思いますが、普通の公務員試験は「最終学歴によって試験の内容、区分が異なる」という特徴があります。だから高卒の人と大卒の人で、同じ枠を争うということが基本的にはありません。
一方で自衛隊の場合は、幹部候補生として入隊したければ大卒である必要が出てくるものの、一般入隊は主に年齢で「〇〇歳以下ならOK」というだけです。大卒も高卒も同じ試験を受け、同じように選別されることになります。
大卒だからと言って全員勉強が得意ということはないでしょうが、大卒も高卒も関係なく同じような試験を受けて、その中で合格者を決めるというのは、ちょっと「高卒は不利なんじゃね?」って思いませんか?
いずれにせよ「体力試験がない=テストでは最低限の点数を取らなきゃいけない」ということなので、過去問くらいは解けるようにしておくのが無難です。
自衛隊候補生試験に受からない人、落ちる人の特徴は?
面接で聞かれる「入隊に反対している家族はいますか?」の質問
私は地元に残りたいという理由から、公務員試験を受けていました。2年間に渡って市役所職員や警察などの試験を受けたのですが、残念ながら自衛隊にしか合格できず、泣く泣く自衛隊に入隊することを決意します。
実は1年目は自衛隊の試験にも不合格でした。その理由が「入隊に反対している家族はいますか?」という質問に対するアンサーだったそうです。
私の祖母は戦争経験があり、どうしても自衛隊に対して良いイメージを持っておらず、私が入隊試験を受けることに対しても否定的でした。それをそのまま面接で素直に言ったら、それがあまり良くなかったんだそうです(広報官による後日談で発覚)。
自分で言うのも何ですが筆記試験は割と自信があったので、「面接で何らかの理由があって落ちたんだろうな」とは思っていましたが、こういう即死案件もあります。
ですから「自衛官候補生は受かって当然」ということはないです(即死案件さえ回避できれば、試験の難易度自体は低い方で間違いないですが)。
明るくて元気なほど有利かも(極度の人見知りだと???)
私が自衛隊にいた頃の同期には、常識的なことをあまり知らなかったり、勉強が得意じゃないという隊員も山ほどいました。ですが、極度の人見知りで人前に出ると何も喋れなくなるというタイプの人はいなかったように思います。
前項で「面接試験における即死案件」を案内しましたが、私は数々の公務員試験を面接で落とされてきた経験があるので、面接試験で何を見られているのかが全く分かりません。
しかし、自衛官候補生試験においては「普通に会話のコミュニケーションが出来るか」や「最低限の声のボリュームで自分の考えを主張できるか」のような部分が見られているんじゃないかなぁと感じました。
入隊直後は同期隊員たちの前で3分間スピーチ的なものをやらされる部隊も多いと思います。これが中学校とかなら「あいつ何喋ってっか全然聞こえねえ」みたいな人もいたような気がするものの、そういう人はゼロだったような気がします。
もちろん100人くらいの前でスピーチするのって、どんな人でも多少は緊張もするでしょうし、声や足が震えるという人も珍しくないでしょう。でもある程度のコミュニケーションが取れるかどうかを面接で見ているのであれば、極端に暗い人がいなかったというのも頷けます。
ちなみに一般社会では声が小さいのも問題だし、声が大きすぎるのもマイナスになるような気がするのですが、自衛隊では声が大きすぎるくらいが丁度いいような気がしないでもないです。
最後に
「警察や消防に落ちて、自衛隊しか合格できなかった」という人は、私を含めて自衛官には結構多いです。
それを考えても、自衛官候補生試験は難易度的にそこまで高くないことが分かりますが、かと言って「受かって当然」というものでもありません。
特に「反対している家族がいる」と答えるだけで不合格という事例もあるようなので、どうしても合格したければ余計なことは言わず、ちょっと話を盛ってもいいので「自分がいかにやる気があるか」をアピールすることをおすすめします。