自衛隊の離職率は異常!?若い退職者が多い理由

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

自衛隊への入隊を考えて色々と調査をしていると「自衛隊の離職率がどれくらいなのか」が気になるという人もいるのではないでしょうか。

一般の会社なら辞表を出せばすぐ辞めれそうな気もしますし、やったらいけないことですが最悪「通勤しない」ということもできそうです(絶対やったらダメだけど)。一方で自衛隊の場合は、辞めるのにも一苦労しそうなイメージとかありませんか?

そこで今回は「自衛隊の離職率は異常!?若い退職者が多い理由」というテーマで進めていきたいと思います。

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自衛隊の離職率って高いの?低いの?

信頼できるソースが見当たりませんでした

まず初めに言っておきますが、政府(防衛省)が公開しているデータの中に「自衛官の離職率のデータ」みたいなものは見つけられませんでした。

で、インターネット検索で「自衛隊 離職率」を検索しても、色んなサイトが色んな数値を挙げているだけで、公的機関のデータを示しているサイトが存在せず、ちょっと信ぴょう性に欠けるなぁという感じです。

離職率が低いとアピールしているのは自衛隊だけ

一方で面白い事実も見つかりました、色んなサイトで「自衛隊の離職率は高い」と書かれているのに対し、離職率が低い(辞める人が少ない)とアピールしているのは自衛隊だけなんです。

そもそも入隊した人が辞めないで続けている率が高いなら、今になって人手不足だなんだと騒いだりはしないはずなので、既にこの時点でそのロジックは破綻していると思うのですが…。

私自身の実体験による見解

私は今から15年以上前に陸上自衛隊に入隊し、6年間勤務して辞めました。20歳で入隊して26歳で辞めたという流れです。

前期教育は1班10人で、3つの班がありました。これが「区隊」という単位で、教育隊全部で3区隊まであったので、合計すると90人です。

この中で今でも自衛隊に残っているのが、恐らく15人くらいでしょうか。割合にすると「6人に1人が自衛隊を辞めずに残っている」という感じです。

一方で後期教育は1班6人で、6つの班がありました。これが3区隊あって合計だと約100人ちょっとです(班によっては5人とかだったので)。

ただし後期同期は今でも結構残っていて、少なく見積もっても多分1/3~1/4くらいは残っているはず。私が所属していた班は、6人中4人が残っています

自衛隊は入隊した時点では正社員のような扱いではなく、いわばアルバイトのようなもので、入隊後の昇任試験に合格できないと自衛隊に残るということはできません。

それに入隊区分によっては、最初から「一生自衛隊にいるつもりはない」と考えて入隊してくる隊員も山ほどいるので、個人的には「そんなんで離職率が低くなるわけがない」と思っています。

陸上自衛隊の一般的な入隊区分の違い|一般曹候補生or任期制隊員どっちがおすすめ?

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防衛省が出している資料から自衛隊の離職率を探る

https://www.mod.go.jp/pco/aichi/jieitaiin/images/donnasigoto-j.pdf

まずこの資料で引っかかるのは「3年以内の離職率」を数値化しているという点です。

若者が自衛官になろうと思った時、自衛官候補生という入隊区分があります。これは任期制隊員と呼ばれていて、2年や3年のまとまった期間を務めあげることで特別ボーナスが貰えるというものです。

陸上自衛隊の場合は1任期が2年間で、多くの人が2任期(4年間)を務めあげて辞めていくというのが一種の黄金パターンとなっているため、上記の資料を「4年以内の離職率」にしていれば一気に数値が高くなったんじゃないかと思いました。

なんか言葉のトリックじゃないですけど、こうやって必死に「働きやすい場所アピールをしている」という事実が、何よりも働きにくい事実を露呈しているのではないかと思います。

ちなみに休日関連や手厚い福利厚生に関しては、まったく異論はありません。…が、公正な人事が行われているというのは、自衛隊を辞めたいと言った後で左遷された私にとっては甚だ疑問ですし、パワハラの予防に努めているなんて知りませんでした

私が陸上自衛隊を辞めた理由|パワハラで精神が崩壊しかけた日のこと

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人手不足を訴えている職場には何らかの理由がある

世間はまだまだ景気が良いとは言い難い状況だと思いますが、一部のマスコミは求職率や求人倍率を大々的に掲げて「失職者の数よりも求人数が上回っている=景気が良くなってきている」みたいに言ってます。

でもその実、ものすごく安い賃金で馬車馬の如く働かされるようなのが目に見えているのであれば、そりゃ誰もそんな仕事はやりたがらないですよ。

例えば工事現場とか運送業とか介護医療とか、人手不足になってる理由って経営者が1番分かってると思うんです。たぶん給料を倍にすれば、一気に人手は集まるんじゃないかと思ったりもします。安くコキ使おうとしてるから集まらないんじゃないのかなぁ。

そんな中で「給料は悪くないし、休みも多いのにみんな辞めていく自衛隊」ってやばくないですか?

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最後に

自衛隊は休みが多くて、給料面でもかなり良い方だと思います。ただ「寮で集団生活をしいられる」という部分は、どんなブラック企業にも見当たらないブラックな一面と言えるのではないでしょうか。

自衛隊は国家公務員とは言っても非常に特殊な職場なので、良い面もあれば悪い面もあります。ただし、自殺者が多いと言われているくらいなので離職率が低いわけがないです。

私は辞めましたが、人によっては最高の職場にもなり得る魅力があることは間違いないので、興味のある人はぜひ入隊してみてください。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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