陸上自衛隊における転勤事情|地元に残りたいという希望は通用するのか否か

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

ところでみなさんは、地元愛が強い方ですか?私は10代の頃は都会に出たくて仕方なかったものの、20代以降は「できることなら地元に残りたい」という思いが急速に強くなりました。

 

そして「公務員なら転勤がないのでは?」と考えて公務員試験を受けるも合格できず、広報官に騙されて陸上自衛隊に入隊してから3ヶ月後に転勤させられ、もう地元に戻ってくることは出来なかったという感じです。

 

そこで今回は、私の実体験を踏まえて「陸上自衛隊の転勤事情」について暴露したいと思います。

例の如く、部隊によって大きく違いがあるので「こういう人もいるのか…」くらいに思ってください。

 

スポンサーリンク

陸上自衛隊は全国規模での転勤がある

 

まずはじめに、一般の会社でも「支部の無い都道府県への転勤はない」と思います(当たり前ですけど)。

血の入れ替え的な意味なのか、業績不振を改善するためのテコ入れなのか、はたまた左遷なのかは不明ですが、いずれにしても会社の規模に比例して転勤が多くなるというのが普通です。

 

一方で自衛隊は全国規模の組織なので、転勤の規模も全国規模となっています。

本人の希望無しに九州から北海道に行かされるというような極端な例がどれほどあるのかは分かりませんが、地元に残りたいと希望する人でも県外に転勤させられた例は割と多く見ました。

 

スポンサーリンク

家族持ち、家持ちは優遇される?

 

あくまで私が所属していた部隊の話ですが、家族持ちや家を建てたという人の場合は、ある程度優遇されていたというイメージです。

ただし一度の転勤も無しで何年か経過すると、必然的に転勤させなきゃいけないというルールがあるのか何なのか、地元からずっと転勤の無かった隊員が急に飛ばされるなんてことも普通にありました。

 

特に家を建てたという人の場合、定年間近に地元に戻してやれるように微調整しているという事案が割とあったので、もしかすると「家を建てたりするような年齢に差し掛かる前に転勤を経験させておこう」というような目論見はあるのかもしれません。

それに持ち家などがある場合は、仮に転勤させることになっても家から通える範囲の駐屯地に転勤させたりなど、割と考えてもらえているという印象があります。

 

それでもやむを得ず転勤になることはあるので、地元に奥さんと子供を残して単身赴任で来ているという自衛官がいるのも事実です(子供を転校させることに躊躇った様子)。

いずれにしても結婚していない若い隊員は、地元から飛ばされる危険性は割と高いかも。

 

自衛官に出張はあるのか|数日間の山籠もりや数ヶ月間の転勤の話

 

スポンサーリンク

メンツを気にする部隊は多いのでは?

 

さて、一般の会社でも自衛隊でもそうだと思いますが、基本的に転勤させるという場合は「転勤をすることで何かしらの良い効果を生み出そうとしている」ことが多いです。

そういう意味では、一般の会社の場合「辞めさせたい人間は自分で辞めるように仕向けることが会社にとって有益になる」ということがあるので、使えない人間を僻地に飛ばすということも意味があるように思えます。

 

そして私が見てきた陸上自衛隊のパターンは、微妙にそれとは異なっていて「極端に仕事ができない奴は左遷の意味も含めて飛ばしたくなるが、自分の部隊のメンツが潰れてしまうことも嫌がる」というように思いました。

言葉を選ばずにいうと「自分の所に不要な奴はさっさと出したいものの、転勤した先の部隊で粗相があったときに『こんなやつでも務まるようなレベルの部隊だったのか』と思われるのを極端に嫌う」という印象です。

 

私の所属していた部隊だけかもしれませんが、私がいたのは割と大きい駐屯地でしたし、そこで勤務している人間も「自分たちがこの地方では1番仕事ができる」というようなプライドを持っている人間が多かったように思います。

そのため「『やっぱ〇〇駐屯地から来た人間は違うな』と言われたい承認欲求」みたいなものに溢れていたように思うんですよね。

 

なので仕事ができなさすぎて部隊から煙たがれているのは論外としても、頑張っていて優秀だからと言って自分の希望が通るというわけでもありません。

それに「Aは優秀だから出したくない、Bは不要だけど向こうに迷惑が掛かるから出せない、じゃあ無難なCを…」というようなパターンも多いので、こればっかりは運(隊長の考え方次第)だと思います。

 

スポンサーリンク

私自身が左遷された経験談

 

私は入隊してから3ヶ月後に地元から飛ばされ、そこから約5年間同じ駐屯地に勤務していました。そして、自衛隊を辞める意思を伝えてから僻地に飛ばされた経験があります(いわゆる左遷というやつです)。

自衛隊では割と人員を大切にするという風潮があるものの、当時は怪我を押して運動系のイベントに出場させられたりしたこともあって、「もう自衛隊じゃなくなる人間に関しては雑に扱うのかな?」と思ったものです。

 

私の場合は礼儀に欠けるような感じでの退職の申請だったので、こういうような扱いをされても文句の言えない事情がありました。

誰からも好かれていて人間的に問題のない人であれば、私のような酷い対応はされないと思いますので、そこに関してはそこまで心配する必要もないでしょう。

 

自衛隊にて「辞めます」と言ってから受けた仕打ちについて暴露する

 

スポンサーリンク

最後に

人によっては転勤を命じられた時に「俺ってそんなに必要とされていないのかな…」と落ち込むケースもあると思います。

しかし実際には「使えない人間を送ってもメンツが潰れてしまう」と考えるケースも少なくないので、割とできるレベルの人間をチョイスするという傾向も強いように感じました。

 

もちろん究極レベルで愛されている&仕事ができるというのが最も転勤させられないパターンかとは思いますが、そういう人でもいつかは転勤させられてしまう可能性が高いですし、自分の意志に反して飛ばされてしまうケースは一般の会社と比べると多いです。

もし入隊検討段階で広報官から「転勤もあるけど、基本的には希望を聞いてもらえるよ」等の甘い言葉を囁かれている場合は注意が必要です(希望は聞くけど、その通りになるとは限らないという意味の可能性大)。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

転機
スポンサーリンク
もとじブログ