陸上自衛官の本音「もし戦争になったらどうするか?」について

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

私がまだ自衛官だった頃、ふとしたタイミングで「戦争になったらどうするか」という会話をすることがありました。

 

日本には憲法第9条があって、そこでは「戦争の放棄/戦力の不保持/交戦権の否認」が謳われていますが、そもそも自衛隊自体が戦力なんじゃないかとか、万が一攻め込まれたらどうするのかという話は、割と頻繁にする機会があったんですよね。

そこで今回は「もし戦争になったらどうするつもりだったのか」について進めていきたいと思います。

 

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もし戦争になったら…

 

まずは当時の私自身の気持ちから書いていきますが、私は戦争に行って死んでくるつもりでした

そういう時に身体を張るというか、いわば要人警護(SP)のような「何かあった時のためのことを考慮した給料形態」だと思っていたので、そもそも拒否権が無いと思ってましたし。

 

色んな考え方があるとは思いますが、あくまで私の場合は、自衛隊に入っておいて「いざ戦争になったら逃げます」じゃ筋が通らないような気もしていたので、喜んでとは言いませんが「誰も行かないなら自分が」くらいの熱量だったと思います。

 

そして、自衛隊に入隊する時に「万が一戦争になっても人は殺さない」という約束を親としてしまったこともあり、戦争になったら何もせずに撃ち殺されていたんじゃないかという感じです。

まぁ私は通信部隊だったので、撃ち殺されるよりかは空爆かなんかでふっ飛ばされる可能性の方が、高かったと思いますけどね。

 

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戦争に対しては、主に3通りの考え

 

実際に中隊や大隊を挙げての真面目な議論というわけではなかったので、全員が全員本音で喋っていたとは限りませんが、「戦争になったらどうするか?」の答えは主に3通りでした。

 

  • 戦争になったら自衛隊を辞める
  • 嫌だけど行くしかない
  • 1人でも多くの敵国兵士を始末してやる

 

私の場合は真ん中の「嫌だけど行くしかない」に該当します。割合的には、過半数が辞めるという感じでした。

そもそも自衛隊に対して、戦争になった時の戦力という意識よりも、災害などの有事の際に活躍する組織というイメージが強かったことも関係しているのではないかと思います。

 

まぁこのような話をしながらも、どうしても「たら・れば」の部分があるというか、心のどこかで「戦争なんかに巻き込まれるわけがない」と思っていたというのも、あるかもしれません。

「実際に戦争になるまでは好き勝手言えるけど、もし戦争になったらやっぱり怖い。もしかしたら『やっぱ行くのやーめた!』ってなるかもしれないし、それはダサイから最初から『自衛隊辞める』と言っておこう」という人も結構いたんじゃないかと思います。

 

ちなみに陸曹候補生試験などのデリケートな場面で「戦争になったらどうしますか?」という質問はされませんでした。入隊試験の時は聞かれたかも(でも行かないと言っても落ちることはないと思います)。

上層部でも「その質問は卑怯」と思う部分があるのか、このような話題には変な圧力やパワハラ的な要素は持ち出してこないような印象があります。

 

ちなみに「1人でも多くの敵兵を倒してやる!」という隊員も、少数ですがいました。

そのような隊員は「え?じゃあ何のための戦闘訓練なの?」と言っており、私はそれに返せる言葉が無かったので、少数派ではありながらも「自衛官としての正しい回答はこれなのかなぁ」と思ってましたね。

 

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イラク派遣の時は小隊長から軽く話があった(実体験)

私が陸上自衛隊に在籍していた頃は、アメリカとイラクが戦争をしていて(戦争自体は終わってたけど)、その後の治安維持活動的なものに自衛隊が派遣されていました。

その時、本当に軽口で「行ってみたいか?」みたいな話は、全隊員にあったような気がします。

 

当時、私はペーペーの陸士だったので、心のどこかで「自分に行けという命令は来ないだろう」と思いながらも、「行けと言われれば行きます」と答えました。

で、行くと言った人が、100人規模の中隊で10人いなかったんじゃなかったかな…。いずれにしても私に白羽の矢が立つことは無く、ベテラン陸曹が行くことになりましたね。

 

最近だと領土の問題があったり、憲法改正の話があったりなど、私が自衛隊に在籍していた頃と比べると明らかに状況が変わってきているような気がします。

恐らく現役自衛官の方たちは、地震や水害などの対応を始め、有事の際を想定した訓練を行っていることでしょう。本当に頭が下がる思いです。

 

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竹島、尖閣諸島、北方領土は…?

 

とある議員さんが最近になって、我が国の領土が脅かされている問題に言及し、「戦争をしてでも取り返すしかない」という旨の発言をしています。

この発言には賛否両論あるわけですが、批判をしている議員さんも「じゃあ実際にどうするつもりなのか」を明確にはしていないので、かなり難しい問題と言えるでしょう。

 

私の考えでは、他国が武力で我が国を実効支配しているわけですから、自衛隊でも何でも使って防衛するべきなのではないかと思っています。

ただ、もし派遣されるのが私の同期、あるいはお世話になった先輩だったらと思うと、なるべくそのような方向にはならないで欲しいと願うばかりです。

 

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最後に

今回はちょっと過激と言うか、非常にデリケートな話題になってしまいましたが、いずれにしても国民全体で「どうしていくべきか」を真剣に議論しなければならないタイミングに差し掛かっていると言えるでしょう。

 

いつの時代も重要なことを決めるような人たちは、離れたところから指示を出すだけで、実際に動くのは別の人間です。

自衛官にも色んな人間がいますが、徐々に楽観視できない問題が浮き彫りになっているのも事実なので、どう転んでも大丈夫なように日々の訓練をこなしていただきたく思います。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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