陸上自衛隊高知駐屯地にて上官が部下を焚火に投げ込む事件が発生

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

陸上自衛隊高知駐屯地にて、かなりインパクトのある不祥事が出ました。なんと「バーベキュー中に寝ていた隊員を、たき火に放り投げた」というのです。

 

…こんな状況あります?いくら体育会系の陸上自衛隊とは言え、多くの隊員は「高知駐屯地ってこんなことやってんの?」という感じだと思います。

いや、もしかしたら高知駐屯地内ですら「あそこの部隊はこんなことやってんの?」という温度差かもしれません。

 

以下では事件の概要を洗うと共に、元陸上自衛官としての立場から本件に関する所感を述べたいと思います。

 

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事件の概要について

 陸上自衛隊高知駐屯地(高知県香南市)は6日、バーベキュー中に寝ていた部下の隊員をたき火に投げ込みやけどをさせたとして、第50普通科連隊の30代の男性3等陸尉を停職4カ月、男性3等陸曹(26)を停職60日の懲戒処分とした。2人は7日付で依願退職予定。

また投げ込みを目撃しながら内部調査に虚偽の報告をしたとして男性3等陸曹(31)を戒告。当直中、やけどをした隊員が駐屯地に戻ったのに上司に報告しなかったとして、男性3等陸曹(29)を減給30分の1(1カ月)の処分とした。

陸自、部下をたき火に投げ込む 隊員4人処分、高知

 

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本件に関する所感

たき火って本当にたき火?

まず「たき火」がどの程度の規模だったのかという部分が気になります。

悪ふざけ程度で済むようなやつなのか、もしくは「骨折をかすり傷と言うくらいのアレ」なのか。

 

まぁこうやって全国規模のニュースになって、2人の隊員が依願退職ということですから、恐らくは後者のような気もしますが…。

でも本当に後者なら、警察に引き渡される案件のような気もします。

 

あくまで過去に陸上自衛隊に身を置いていた私の意見ですが、バーベキュー中に寝るということは「大学くらいの体育会系サークルにおいて、1番最初に寝る」というくらい、かなりリスキーな行動というイメージがあります。

眉が両津勘吉にされるくらいは序の口で、悪ふざけという意味では「ライターの火を近付ける」くらいのことは、普通に行われていても不思議じゃないなぁという印象です。

 

内部調査に虚偽の報告

目撃しながらも虚偽の報告をしたということで処罰を受けた3等陸曹の人も、まぁ被害者と言えば被害者ですよね。

某お笑い芸人の闇営業問題ではありませんが、やはり「先輩に『お前は何も見ていなかった…』いいな?」と言われて、それに歯向かえるかというのは難しいような気がします。

もちろん、世間一般的には「嘘を付いた」ということになるので、減給処分が下っているわけですが…。

 

私も似たような経験をしたことがあります。

私が陸上自衛隊に在籍していたのは、今から10年ほど前ですが、今ほどじゃないにしろ少しずつ「セクハラ」という行為が問題視され始めた時期でした。

それに伴って「一気飲みの禁止」のような服務規程?…服務規程ではないか。

いずれにしても、飲み会の前には「一気飲みはしません、させません」的な書面が回ってくるようになってきたと記憶しています。

 

私が所属していた部隊(というか陸上自衛隊全体がそうだと思いますが)は、良くも悪くもバカの集まりだったので、言ってしまえば「やるな=ダチョウ倶楽部の押すなよ」みたいな空気感がありました。

結果として、急性アルコール中毒で病院に運ばれた隊員が何人か出て、その都度リアカーに乗せて病院に連行した記憶があります。

 

もちろんその後の調査で「一気飲みの強要があったかどうか」ということは確認されるわけですが、やらせた方の言い分としては「一気飲みしろとは言っていない」という主張なんです。

「ごちそうさまが聞こえないというニュアンスの煽りはしたかもしれないが、結局一気飲みをしたのは彼自身の問題である」という感じでしたね。

 

それに相違ないかどうかを確認されて、病院に運ばれた本人が「自分のせいだと認めている」以上、なにも口を挟むことはできないという感じでした。

セクハラ、パワハラに関しても、結局それの内部調査をするのは「そういうことをやっている上官」だったりするので、明るみには出ていない不祥事は山ほどあると思っています。

<<自衛隊内のセクハラに関するアンケートはあってないような物だった件

 

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最後に

私が自衛隊に入隊した時、「自衛隊で犯罪行為を行うと、まずは自衛隊内の刑務隊で絞られて、その後で警察で絞られるから、一般の世界で犯罪を行うのと比べて、単純に2倍の重い罪が課される」みたいなことを言われたのを覚えています。

 

実際に私が在籍していた頃、窃盗関連の不祥事は何度かありましたし、自殺者が出るようなイジメ問題もありましたが、今回の件のように「当事者と言われている人物が依願退職をするのみ」という感じでした。

 

どうしても閉鎖的な部分があって、立場が下の隊員は上官に逆らえないので、追い詰められている隊員は決して少なくないと思います。

常識的に考えたら、人間を火に放り投げるという行為は殺人未遂ですから、再犯防止と言う意味でも厳格に処罰してもらいたいものです。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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