自衛官の初任給は安いのか|初任給よりもプライベートの無さが苦痛?

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

ネットニュースを見ていたら「自衛官の初任給が安すぎて、これじゃあ若い人が自衛隊に入隊しようと思わない」というニュアンスの記事を見つけました。

個人的には「確かに自衛官は有事の際に頼りになる存在ですし、もっと待遇を良くしてあげてもいいのでは?」と思います。

 

言い方は悪いですが「ろくに動けない定年間近の隊員に対して手厚い待遇をするくらいなら、若くて馬力のある隊員に報酬を与えて欲しい」とさえ感じることも。

日本には年功序列という考えが根付いているので、年をとればとるほど給料が上がるという考えが当たり前(特に公務員に関しては)なのかもしれませんが…。

 

今回は、世間で言われている「働き方改革」を見て考える、自衛官の初任給やその他の待遇について、ネットニュースの一部を引用しながら元陸上自衛官の私が思う部分について書いていきたいと思います。

 

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自衛官の初任給はいくらなのか

 

額面だけを見ると、確かに「高い」とは言えない

  • 自衛官候補生(任期制自衛官):13万3500円
  • 一般曹候補生:16万9900円
  • 高卒者の平均初任給:17万9000円(大卒20万6000円)

 

私自身入隊したのは15年くらい前なので、初任給がいくらだったのかまでは正確な数字は覚えていないのですが、確か「15万円くらいが丸々もらえた」と記憶しています。

私は当時20歳で同級生は大学に通っていたりしていたこともあり、あまり給料的な話をする機会はなかったので、あまり周りと比べてどうこうという意識はありませんでした。

 

ただ「公務員は給料が良い!」と言われていた割に、同級生で働いている人よりも貰える給料自体は非常に低く、田舎住みの私からすると「東京に出て行って仕事をしている同級生は、私の初任給の倍のお給料をもらっている人もいた」ので、最初は「自衛隊ってそこまで給料は良くないのかな?」と思った記憶は残っています

自衛隊の金銭事情・給料関係の内部事情|入隊すればお金が貯まる!?

 

ただし、お金は貯まる(貯金可能)

額面だけに注目すると一見自衛官の初任給は少なく、あまり美味しいというイメージは無いかもしれませんが、多くの一般社会人よりもお金は貯めやすいはずです。

良いか悪いかは別にして、実家から通っているという人と比べたりしない限り、生活面での金銭的な余裕は圧倒的に自衛官に軍配が上がります。

 

自衛隊は寮生活になるので、衣食住がタダ同然です。極端なことを言えば「もし給料のすべてを散在してしまったとしても、食うのには困らないし、野垂れ死ぬなんてことはない」と言えるでしょう。

寮内では集団生活を強いられるので、一般的な会社員の一人暮らしとは違って「やれること・やれないこと」がハッキリとあります。

 

お金の使い方も「何かを買う」という部分については色々と制約を受けるでしょうから、お金の使い方もある程度は制約され、「酒・女・ギャンブル」にさえ気をつければお金は貯まるはずです。

自衛官が陥りやすい金銭トラブルの話|ギャンブル、酒、女に注意!

 

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国が若い人材にお金を出さないという姿勢について

 

自衛官に任官したばかりの「2士」という給与枠は教育隊に入り訓練を受けると順次、昇格し「1士」や「士長」となり昇給しますから、初任給が安くても問題ないだろうという人もいますが、初期段階での提示額がこれでは先が思いやられます。国はその程度の金額しか、国を守る「防人」に提示しないのかと情けなくなります。

 

まず初めに言っておくと、確かに2士で入隊すれば自動的に1士、士長と昇進できますが、士長にあがったところで給料はそんなに変わらなかった記憶があります。

私が陸上自衛隊に在籍していたのは10年ほど前になりますが、私の記憶では「3曹になってようやく『結構、給料上がったなぁ』という実感があった」ように思います。

 

いずれにしても国防という観点から言えば陸上自衛隊は必要不可欠で、ただでさえ日本は災害大国なわけですから、優秀な人材を確保するためにも「目先のメリット」をもう少し増やしてもいいんじゃないかと思うのですが…。

この先の日本はますます少子化が進み、自衛隊の規模が縮小されてしまうと有事の際に頼れる存在が無くなってしまうことになるので、それだけは避けなくてはなりません。

 

個人的には「朝三暮四」のような考えでも構わないので、若い人が入隊するメリットとして「初任給を高くする」というのが分かりやすいのではないかと思います。

予算の関係でそれが叶わないなら、40代後半、50代後半に貰うべき給料の一部を前倒ししてでも、若い人が自衛隊に入隊したくなるような「分かりやすいメリット」を用意すべきです。

 

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自衛隊はブラック企業と言われても仕方ないと思う

 

これはあくまで陸上自衛隊をやめた私自身の考えですが、自衛隊はブラック企業と言われても仕方がないと思います。

良い部分を見れば「給料は安定している/言われたことをこなせばOK/休みが多い」などの良い部分もたくさんあるものの、不透明な部分が多すぎるからです。

 

私が見てきた限りでは、自衛隊に入隊する際は希望がないとは言わないまでも、圧倒的に不安の方が大きいと思います。それも一般的な会社に入社するのと比べると、自衛隊に入隊する場合は圧倒的に不安の方が大きいんじゃないかというのが私の考えです。

私が入隊する時は「いじめ、プライベートの有無」など、とにかく不安でした。そして「会社で嫌な人がいても勤務が終われば解放されるのに対し、自衛隊で嫌な人がいると寮内でも一緒に過ごさなければならない」という部分は、超ブラック的な要素だと思います。

 

国家公務員で休みが多い反面、災害があれば自分の家族のことが心配な気持ちを抑えて現場に出る必要があります。旅行中に大きな地震があれば、最寄りの駐屯地へ直行です。

公務員とは言っても、仕事が終わった生活空間でも100%気が休まることはありません。廊下で先輩とすれ違う際はしっかり挨拶しなければなりませんし、部屋でくつろいでいるときに先輩が部屋に入ってきたら身体を起こして挨拶するのが鉄則です。

 

こういう部分があっても自衛隊に入りたいと思うような魅力がなければ、そもそも入隊しようと思う人は増えないでしょうし、仮に入隊希望者が増えたとしても私のように20代で自衛官を辞めてしまう人は減らないと思います。

そういう若い人には「やりがい、将来性、安定」などを説くよりも、「若いうちから貰えるお給料の額面」が1番分かりやすいメリットと言えるのでは?

 

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最後に

30代半ばになった私が思うに、自衛隊は給料や休み、福利厚生などの待遇は非常に良いと思います。この辺はさすが国家公務員という感じです。

ただこれは、一般の会社を経験して世の中を広く見れるようになってからでないと分からないと思います。少なくとも10代や20代の前半でそれに気づくのは無理でしょう。

 

そして私が現役自衛官だった頃と比べると、自衛官の活躍の場が圧倒的に増えていることが気になります。台風、水害、地震…。そして近隣諸国とのいざこざ。

少子化が進むと一般企業と優秀な人材を取り合うことになるので、有事の際に活躍できる優秀な人材を確保するには、「年を取ってから楽になるというメリットよりも、今得られる分かりやすいメリット」を提示する必要があります。

…そもそも自衛隊は定年も早いので、再就職する難しさもありますから、若いうちにもっと良い待遇をしてあげてもいいのでは?

金銭面
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元陸上自衛官が内部事情を暴露する