元陸上自衛官のレトロ軍曹です。この記事では以下のようなことが分かります。
- 私が自衛隊を辞めると決意した時のリアルな心境
- 私が自衛隊を辞めて後悔していないかどうかの本音
- 陸上自衛官の再就職は厳しいかどうか
私は今から10年ほど前に自衛隊を退職しました。20歳の頃から6年間勤め、26歳の時に自衛官をやめています。その後、半年間くらい遊んでから危機感を感じだし、そこから再就職の活動をしました。
正直言って自衛隊を辞める時は非常に不安でしたし、自分なんかに外の仕事が務まるのかなぁと。自分で自衛隊を辞めておきながら、不安に押しつぶされそうになったことは今でもはっきりと覚えています。
そこで今回は「自衛隊から再就職した時の本音|陸上自衛官の再就職は厳しい?」というテーマで進めていくので、現時点で自衛隊を辞めたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。
自衛隊を辞めると決意した時の心境
一時的な感情に後押しされて辞職を決意してしまう
自衛隊を辞めると決めた時は、意外とスッキリした気持ちになりました。元々、5年目くらいから「自衛隊やめようかなぁ…」と思い始めていて何度か小隊長にも相談していたのですが、説得されて思い留まっていました。
そしてゴールデンウィーク明けに嫌いな先輩との間にちょっと嫌なことがあって、半ばキレ気味で退職の意思を中隊長に伝えに行ったんですよね。今思えば大人げなかったと思っています。こっちも全然冷静になれないので、もう上官や先輩隊員の言うことは聞く耳を持たずという感じです。向こうも「こいつ態度悪いな」と思ったことでしょう。
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自衛隊にいるうちに次の仕事を探そう
もちろん自衛隊は組織で動いているので、一般企業のように「3か月前に辞表を出せば3か月後に辞められる」というようなこともなく、翌年3月の退職の方向で進められます。
5月に退職を申し出てから実際に辞められるのは翌年3月ですから、この間はまぁ「どーせあいつ辞めるし」みたいな感じで徹底的にやられました。夏の人事異動で左遷され、就職活動の機会も与えられないまま退職の日を迎えたわけですが、年明け頃から徐々に不安になったように記憶しています。
ちなみに通常であれば退職が決まっている隊員に関しては就職活動の支援なんかもしてくれるので、自衛隊に在籍しながら就職活動が出来るような仕組みがあります。私の場合は謀反のようなカタチになり、その機会をもらえなかったし、意地になってもらわなかっただけです。
自衛隊を辞めてよかった?辞めなきゃよかった?
辞めてよかったとも、辞めなきゃよかったとも思っていない
私は自衛隊を辞めてから一度も後悔してません。これを言ってしまうとなんだか強がりのように聞こえてしまいそうですが、正確には「辞めてよかったとも思ってないし、辞めなきゃよかったとも思っていない」です。
自衛隊の定年って、普通の公務員よりも10年くらい早いじゃないですか?50代前半だったと思うんですけど、よほどお金がない限りは再就職しなきゃいけないわけで、それを周りよりかなり早くしたってだけの話だと思っています。
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自衛隊にいた頃と比べて給料と休日は明らかに減った
ただ、自衛隊を辞めてからの約10年間で得た給料と休日日数は、自衛隊に残っていた方があきらかに良かったことは間違いありません。代わりに手に入れたのはプライベートな時間と一般社会で生きていくためのスキルでしょうか。
私が退職してから大規模な災害が立て続けに発生したので、現役自衛官の方には本当に頭が下がる思いです。年々災害の規模は大きくなっていますし、単純な件数も増えているように思います。近隣の外国諸国との関係性もきな臭くなってきました。
「自分は大規模な災害派遣に行かなかったからラッキー」というわけでなく「もし戦争になっても行かなくていいぜ」でもなく、単純に私は自衛隊には向かない人間だったので無理な仕事を続けているよりは今の方が充実していると思っています。
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陸上自衛官の再就職は厳しい?
とにかく即戦力が求められている時代
自衛隊にいた頃は「自衛官は礼儀作法に厳しいから一般社会でも重宝される」とか「自衛官は再就職には困らない」みたいなことを散々聞かされた記憶がありますが、私が自衛官を辞めた当時から既に退官間近の自衛官の就職活動は芳しくない状況でした。
そして、ここ10年で日本の景気が上向いたと言っているのは一部の政治家だけのような気がするので、現時点で「自衛官だから採用する」という例はあまり無いのではないかというのが私の考えです。
あったとして体力を必要とする肉体労働系でしょうか。それにしても「年齢を重ねた元自衛官と若い人」のどっちを採用するかって、結構シビアな気がしませんか?
自衛隊で得た知識や経験が即戦力に繋がるかどうか
少なくとも私が採用する側なら「自衛官だったという事実よりもこの会社に入って何が出来るのか」を重視したいと思いますし、礼儀作法に厳しいとかは二の次三の次じゃないかと思います。というか礼儀作法って人としてどうかという最低ラインの話だと思うので、ごく一部の人間が持っていないというだけの要素では?
「自衛隊で培った知識を生かしたい」というのは簡単ですが、それが何なのかが重要であり、それが即戦力に繋がるのであれば就職も有利になるのではないかと思います。
ちなみに私にはそういう要素が全くなかったので「自衛隊で体力を鍛えていて、まだまだ26歳で体力と元気には自信があります!」みたいにアピールしましたが、体力アピールがいつまで通用するのかは不明です。
自分の能力を俯瞰的に見直してみる
再就職にあたって一番有利になるのは「過去の実績」です。「前の会社ではチームリーダーとしてソフトウェアの開発をしていて〇〇や△△の実績があります」とかそういうのがあれば、キャリアアップもしやすいでしょう。
プログラマーになりたいなら、自分の書いたプログラミングを見せるのが手っ取り早いと思います。あとは「英語が喋れてTOEICで900点くらい取れる」とか、そういう一芸があれば就職にも困らないんじゃないでしょうか。
一方で「体力検定1級でした」がどれだけ評価されるのか、自分にはアピールできる素質として何があるのかを一度冷静になって考えてみるといいです。自衛隊にいるうちはアピールできることがあっても、それは一般社会でも通用する内容ですか?
自衛隊にいると世の中でどんなスキルが求められているかや、自分の俯瞰的な価値が見えにくくなりがちです。私のように勢いだけで自衛隊をやめてしまい、改めて自分を見つめ直してみたら「技術も経験も何もなかった」なんてことにならないよう注意してほしいと思います。
今後の日本はどうなっていく?
今30歳前後の現役自衛官の方がこの記事を読んでいたとして、退職される頃の日本がどうなっているのかは現段階では想像が難しいと思います。
もしかしたら少子化の進行によって多くの業種で人材不足が起こっていて、自衛官としての勤務実績が大きく評価される時代かもしれませんし、AIの普及によってよほどの実績がなければ仕事が限られてしまうという時代かもしれません。
それは今、エンジニアとして仕事をしている私にとっても不安の残る問題です。もし今の会社が潰れたら、これまでの実績を武器に就職活動をすることになるでしょう。「私には10年間の実務経験がありますし、必要資格も持っています。だから大学を出たばかりの人を育てるよりも、御社にとって大きな即戦力になれる自信があります!」とかそんな感じです。
実際に自衛隊を辞めて就職活動をした私としては「実務経験が重要視されていて、当時26歳だった私としても『どうせ未経験の人材を採用するならもっと若い人が欲しい』という空気を感じた」ので、30代以降の人が再就職をする際は「自分には何が出来るかという武器」を用意しておくことをおすすめします。
自衛隊から再就職した時の本音 まとめ
- 私自身は自衛隊を辞めてよかったとも思ってないし、辞めなきゃよかったとも思っていない
- 自衛隊を突発的に辞めて後悔だけはしないように
- 在籍中に次の仕事を見つけることが大切
- 即戦力を求めている会社が多いから、一般社会でも通用するスキルを身に付けよう
自衛隊から再就職した者の本音としては以上です。
今後、日本がもし戦争になったりしたら「辞めてよかった」と思ってしまうかもしれませんし、今の仕事が食えなくなって再就職もままならないという状況になった時は「辞めなきゃよかった」と思うかもしれません。
いずれにしても「自衛隊で定年退職まで勤め上げた時に自分に何が残っているか」や「自衛隊を途中で辞めた自分に何が出来るのか」が重要じゃないかと思います。