自衛隊の営内生活のストレスまとめ|我慢の限界突破

自衛隊の営内生活のストレスまとめ 我慢の限界突破がここにある!

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。この記事では以下のようなことが分かります。

  • 陸上自衛隊に実際に6年勤めていた私が感じた「営内生活(寮生活)」のストレス
  • いくら給料と休みが良くても自衛隊を続けられなかった理由
  • 私が自衛官を辞めた理由のいくつか

自衛隊生活には様々なストレスがあります。これらは「国家公務員だから安定している」という魅力を軽く打ち消すくらい非常にストレスで、しかも一般の人には共感しにくい独特なものです。

陸上自衛隊そのものが一般常識からかけ離れているということもあり、実際に入隊してみないと分からないことが山ほどあると言っていいでしょう。今回は「陸上自衛隊における営内(寮内)のストレス」について、思い付く範囲で挙げていきたいと思います。

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自衛隊の営内生活でストレスを感じる瞬間(最初だけ)

自衛隊の営内生活でストレスを感じる瞬間

部屋で1人になれる瞬間が少ない

誰しも1人きりになりたい時ってあるのではないかと思います。それが営内だと非常に厳しいです。せめて気の合う同期隊員・先輩と同じ部屋ならまだマシなのですが、苦手な先輩とずっと一緒になってしまうとストレス以外の何物でもありません

ちょっと落ち込みたい時とか、感傷に浸りたい時があったとするじゃないですか?そんな時に、空気の読めない芸人っぽい明るさを持った先輩に絡まれたら結構ウザいんですよね。

私の場合を例に話しますが、寝泊りする部屋の人数の推移は以下のような感じでした。

  • 新隊員教育前期:10人部屋
  • 新隊員教育後期:6人部屋
  • 一般部隊配属(陸士時代):3人~5人
  • 一般部隊配属(陸曹時代):2人

陸曹になってからは2人部屋です。外出も自由にできるようになりますから、ここまで来ればかなりストレスフリーでした。しかしそこに到達するまでは「部屋で1人になれない」という時間が続くので、このあたりは非常にストレスだと思います。

特に「1人モゾモゾがしにくい」とか「彼女と電話がしにくい」とか「同じ部屋の隊員のいびきがうるさくて寝れない」などの悩みは、かなり深刻なものになるでしょう。

自衛隊の寮での1人モゾモゾ事情|周りにバレずにできるのか!?

同じ部屋にイビキが凄い隊員がいると地獄という話

門限がある

寮に寝泊まりしているうちは門限があります。駐屯地内に住んでいる自衛官が外出する際には、必ず身分証明書と外出許可証を携行しなければならないのですが、基本的には〇〇時までに外出許可証を当直に返さなければならないというルールです。

この時間は階級や駐屯地によってルールが異なりますが、大体は22時45分の点呼に間に合うように帰ってこなきゃいけないというルールの部隊がほとんどじゃないかと思います。

こうやって聞くと「全然緩いじゃん!」と感じる人がいるかもしれませんが、車が持てるとか、駐屯地のすぐそばに駅があるという場合ならまだマシで…。問題は「車を持つことが許可されていない駐屯地で、しかも駅が近くにない駐屯地に配属された場合」です。

私が最終的に配属されていた部隊では門限こそ23時までとかだったものの、23時に駐屯地に間に合うように帰るためには、栄えている街から17時台のバスに乗らないと間に合わないという感じだったので、その辺の中高生よりも門限が厳しかったと思います。

自衛隊の門限の話|門限は何時?破ったらどうなる?

誰かが風邪を引いたら一気に連鎖する

集団生活の宿命ですが、部屋の誰かが風邪になったら爆発的に広がります。風邪ならまだいいのですが、インフルエンザなんかだと最悪です。潜伏期間があるので、部屋の誰かがインフルエンザになって隔離されると、その頃にはもう遅いということが多々ありました。

特に自衛隊では外出して戻ってきたらうがい・手洗いをしっかりするという人の方が絶対的に少なく、「自分の体調管理が周りに迷惑をかけるかもしれない」という意識に乏しい人が多いです。私は入隊して初めて「あ、風邪を引いた人の近くにいるとこんなに感染リスクが高まるのか」と、身を持って知りました。

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先輩から急に誘いを受けたりする

楽しい趣味がストレスになることも

この辺はそれぞれのキャラクターにもよるんでしょうが、部屋でゆっくりしている時に急に先輩がやってきて何かに誘われるということが結構あります。

私が在籍していた頃はPSPのモンスターハンターというゲームが流行っていて、時間が空いたらすぐ「狩りに行こうぜ!」という感じでとにかく呼ばれました。気心の知れた先輩ならまだしも、大半は「モンハン以外では結構距離のある先輩(5期以上先輩)」だったので、ゲームをしながらもストレスを感じるという…。

お酒の誘いが断りにくい

営内の居室では原則としてお酒が飲めません。お酒が飲みたい時は駐屯地内にある隊員クラブ(駐屯地内にある居酒屋のような場所)に行くことでお酒が楽しめるのですが、先輩隊員からここに呼ばれることも多々ありました。

基本的に体育会系の人間が多く、教育課程で「先輩の言うことは絶対」という教えが擦り込まれるので、よほど芯がしっかりしている人間じゃないと断れないんじゃないかと思います。なんだかんだ言って、全く誘われないというのも寂しかったりしますし…この辺はバランスが微妙ですね。

一般的なサラリーマンでも「上司の誘いを断って、もし陰口でも言われたら…」と不安になったりするのに、会社以外の私生活でも一緒に過ごす先輩にどう思われるかを気にせず生きられる人は、本当に強い人じゃないかと思います。

プライベートの休みの日に誘いを受けたりもします。一般社会なら仕事や家庭の事情を言い訳に波風を立てずに断ることも可能ですが、自衛隊では勤務事情なども筒抜けなのでこの辺も結構なストレスです。

食事の速度、お風呂のタイミングなどで気を遣う

基本的に集団行動なので、1人で食事やお風呂に行くことはほとんどありません。これもどんな先輩に当たるかによって大きく変わるのですが、やはり下っ端隊員であるうちは「先輩を待たせるわけにはいかない」という感情があるので、これが結構ストレスになります。

私は食事のスピードがかなり速いですし、お風呂も少し潔癖のような部分があって湯船にゆっくり浸かりたいという感情が一切ありませんでしたから、そこまでストレスを感じることはありませんでした(待つばかりもある意味ストレスでしたけど)。

しかし、仲が良かった同期隊員には「もっとゆっくり食べたい、もっとゆっくりお風呂に入りたい」という人も多かったので、人によっては相当なストレスを感じるんだと思います。個人的には「お風呂が汚い、好きなもの(美味しいもの)が食べられない」ということの方がストレスでしたね。「ラーメン喰いてぇ」と何度思ったことか。

駐屯地内の食事は決してマズいというわけでは無いものの、やはり「今日は〇〇が食べたい!」という感情って働くと思うので、それが叶わないというのは結構なストレスになるんじゃないかと思います。食事に関してはタダ同然で食べれるので、ここに文句を言うのも筋違いのような気もしますが、お風呂が汚いのだけは本当に辛かったです。

駐屯地内には有料の食堂もあるので、そこで好きな食事を食べることも可能ですが、やはり隊のみんなで足並みを揃えていつもの食堂に行く時に「今日は行きません」と言うことは結構しんどいです。

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営内でも先輩にはしっかりと挨拶

ある程度の階級までいけば自分がすることよりもされることの方が多くなりますし、他部隊には挨拶をしなくても許されたりなど少しずつナァナァにはなっていきますが、やはり隊員として若いうちはこれもストレスの1つです。

仕事中に気を遣うのは当然として、仕事が終わってからも完全なプライベートというわけではなく、ちょっとした仕事の一部という感じなので気が休まらないという人は多いでしょう。

ちなみに新隊員の場合は挨拶した or 挨拶していないという感じでイチャモンを付けられ、なんらかの制裁を受けることもあります。腕立てをさせられるか、単なる説教で終わるか。最悪の場合だと外出禁止まであるかも。

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自衛隊の営内生活でストレスを感じる瞬間(営内にいるうちはずっと)

自衛隊の営内生活でストレスを感じる瞬間

洗濯機が共用で気持ち悪い

洗濯機は営内で共用です(営内の階層別に分かれているという感じ)。訓練で着用した戦闘服や迷彩服がメインの洗濯物となるので、汗などの汚れだけでなく泥汚れなどが酷い洗濯物が非常に多くなります。同じ洗濯機で私服を洗わなければならないという部分に、非常に大きなストレスを感じました。

あと半長靴と呼ばれる自衛隊で日常的に履く靴があって、これも泥汚れが結構酷くなります。普通は手洗いするんですが、中にはこれを洗濯機に突っ込む人もいます。普通に考えて「靴を洗った洗濯機で誰が自分の服を洗濯したいと思うのか」って話です。

洗濯が終わった洗濯物は勝手に外に出されて次の人が洗濯機を使ったりするので、少しでも回収が遅れてしまうと、せっかく洗った自分の洗濯物が床に無造作に放り投げられているのも結構嫌でしたね(終わったらすぐに取り込めば問題なし)。

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朝のトイレがきつい

自衛隊は朝の6:00に点呼があって、営内に住んでいる隊員たちがほぼ同時に起きます。これも駐屯地の規模によるんですが、私が所属していた駐屯地では一つの階に2つ~3つの部隊が入っていました。

この複数の部隊が同時に点呼を行うため、点呼が終わった順に大人数の男たちがトイレに押し寄せてきます。単純な尿意でも結構待つことになりますし、急な腹痛や便意を催したら詰みかもしれません。

他の階でも同時に同じことが起こっているので、下の階のトイレに行くってことも難しいです。まぁ急な腹痛に襲われるのと点呼が同時になるってケースはほぼ無いですが、毎日普通に朝のトイレに行って「誰かの便臭に包まれる」というのは気持ちの良いものではありません。

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営内のストレスの多くは年数を重ねるごとに緩和されていく

営内のストレスの多くは年数を重ねるごとに緩和されていく

これまでに挙げた内容のストレスの多くは、自衛官としてのキャリアを積み重ねていく上で徐々に軽減されていきます。新隊員の頃は毎日の掃除だけでなく、ゴミの収集や週末の大掃除などの雑用も多々ありますが、後輩隊員が入ってくれば解放されるので最初の1年~2年で解放される可能性も。

中には結婚して営内を出ていく隊員も出てきますし、それで苦手な先輩が出ていってくれれば最高ですね。ま、嫌な先輩って大体がずっと営内にいるんですけど。どうしても営内が嫌なら結婚すれば営内を出ていけるので、この辺を真剣に考えてみるのもアリじゃないかと思います。

もちろん部屋の掃除だけは部屋で1番の後輩がやることになると思うので、後輩が部屋に入ってこないケースだと2年連続雑用係になってしまう可能性も考えられるでしょう。

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自衛隊の営内生活のストレスまとめ

まとめ
  • 部屋で一人になれない
  • 門限がある
  • 誰かが風邪をひいたら一気に広まる
  • 先輩に趣味や飲み会に誘われることが多い
  • 仕事が終わっていても先輩にはしっかり挨拶
  • 洗濯機、トイレを大人数でシェアするのがきつい

思い付く限りでザっと挙げたので、思い出せばまだまだ出てくると思います。

一般企業に勤めるのと比べてどっちがストレスが多いか少ないかという話をするつもりはなく、あくまで「自衛隊の営内で感じるストレスは独特なベクトルを持ったストレスである」ということが言いたかったです。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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