自衛隊の体力試験はズルがデフォ!?正規のやり方ってなんやねん!

 

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

自衛隊では、何かにつけて「正規のやり方でやれ!」という怒号が響き渡ることがあります。つまり「正規のやり方じゃないものが横行している」というわけです。

特に体力試験などの時にこの傾向は強く見られるのですが、意味合い的には「学力テストのカンニング」に近いんじゃないかと思います。「本人の実力以上の点数が出てしまう」という意味では、それは決して本人の為にはならないものの、試験では良い結果が残せるでしょう。

というわけで今回は、「自衛隊の体力試験はズルがデフォ!?正規のやり方ってなんやねん!」というテーマで話を進めたいと思います。

 

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体力試験における正規のやり方

 

腕立て伏せ

 

前になんかの番組で「池谷式」と呼ばれる腕立て伏せがあると取り上げられていました(水曜日のダウンタウンだったかな)。筋肉番付のような番組における、腕立て伏せの競技中に有効な裏技的なやつです。

基本的なルールは「腕を畳んだ時に顎の下にあるボタンを顎で押すことで回数カウント」になるので、あまりあからさまにやらなければ「腕立て伏せそのものをあまりしなくても数は稼げる」ということになります。

まぁバラエティー番組の一環ですし、もしかすると裏では細かいルールがあるのかもしれませんけど、客観的に見ていて「あの人の腕立て伏せは、腕立て伏せって言えるんだろうか…」という参加者がいるのも事実ではないでしょうか。

 

私が陸上自衛隊に在籍していた頃の腕立て伏せのルールは「俯瞰的に見た時に足先から頭の先まで真っ直ぐな状態で沈む/バディの手の甲に顎を付けた回数でカウント」という感じでした。

実際に「腕立て50回やれ!」って言われた場面を想定してもらえれば分かると思うんですが、ちゃんと身体を沈めてやる人もいれば、ちょっと腕を曲げるだけの人も出てくるわけです。

「正規のやり方でなければカウントしない」という大前提がルールの根底にあるのですが、2人1組ですから「バディーに厳しくすると自分も厳しい目で見られる」という部分もあります。50回の腕立て伏せをした後で「正規のやり方で出来てたのは3回」というような残酷な宣言をするのは、基本的には教育中だけです。

 

懸垂

 

腕立ても相当ズルが多かったですが、懸垂こそズルの宝庫でした。懸垂は基本的に「反動NG」が原則なのに対し、反動を使う人の多いこと…。「身体を振って、振り子の要領で反動を使う方法」や「空中ジャンプ」などの例がありますが、懸垂は反動アリなら20回でも30回でも出来るという人が結構います

私は入隊時、懸垂が1回も出来ませんでした。

新隊員教育終了時に最低回数の8回に到達し、ピーク時で15回とかそれくらいまで成長したのですが、確か1級を取るには18回くらいの回数が必要だったと記憶しています。

 

ちなみに私は背中の筋肉の使い方が最後まで分からず、腕で身体を無理やり引っ張るという方法で懸垂をしていたので、反動の使い方が全く理解できなかったということもあり、懸垂でズルをする奴が羨ましい反面、すごくウザいと思っていました。

特に懸垂に関しては、他の種目と違って1回の差が非常に大きいものになるので、真面目にやっている人からすると、イラっとする場面が多いんじゃないかと思います。

陸上自衛隊では体力検定の項目から懸垂が無くなりました。

 

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正規じゃないやり方が蔓延していることがおかしい

 

ガバガバではあるものの、一応体力試験という名目のもとで行われる時は「正規のやり方で!」と注意喚起する隊員が出てきます。

ただし試験以外の場において、朝礼の時の準備運動的な意味合いでやる腕立て伏せでは、正規のやり方でやれという人はほとんどいませんでした。各々自由にやっていいという感じです。

 

冒頭でも書きましたが、こんなのは学力試験でのカンニングのようなもので「仮に点数は獲れたとしても、それ以上の効果はない」ということは、本人も周りも分かっています。

ただ、自衛隊での成績判断の一環には、この体力試験の成績も含まれていますから、正規のやり方でやっていて合格できない隊員の横に、ズルをして合格している隊員がいるのも事実です。

 

ちなみに私も、体力試験以外の場ではかなり手を抜きました。連帯責任で腕立て伏せをさせられた時も、常に指導係の位置を確認しながら、見られていない時に適度にサボったりしていたので…。

特に銃を持って走る「ハイポート」に関しては、真面目にやった記憶がほとんどありません。

真面目にやるときついハイポート|適度にズルする能力も必要

 

これは本人の成長に繋がらないだけなので、個人的には「カンニングじゃなく、自習時間に寝ているだけ」という感じに捉えていました。

ズルはズルだけど、体力試験でそれをやる人に比べたら全然悪質じゃないと思っています(一生懸命やってクリアするのが1番カッコイイですけどね)。

 

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最後に

体力試験は2人1組になって行うので、相手の基準が緩ければ緩いほど数が稼げるというガバガバなルールです。

実際の曹候補生試験などでは、実際にカウントするのが仲間じゃなかったりするので、明らかな不正は難しいものの、それでも反動を使って20回懸垂をやった隊員に対して「正規は0」と宣言できる人はそうそういません。

私が在籍していた頃とは変わって、今はルールが見直されているのかも分かりませんが、こういうズルをする隊員が多いから「体力検定の級は1番できない競技基準」なのかなぁと思ったり思わなかったり…(腕立て、腹筋が1級でも、駆け足が級外の記録なら不合格扱いです)。

 

 

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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