元陸上自衛官のレトロ軍曹です。
自衛隊はれっきとした国家公務員であり、特殊とは言えど公務員は公務員です。福利厚生がしっかりしていて、残業代もちゃんと出ると思うじゃないですか?
確かに福利厚生はしっかりしていますし、自衛官の定期積立制度は民間の銀行よりも遥かに金利が良いと言われています。…が、残業代については話が別です。
本記事では「自衛隊の残業代|自衛隊は24時間勤務のブラックな一面があります!」というテーマで進めていきたいと思います。
自衛隊はある種、24時間勤務
有事の際はいつでも出動しなければならない
自衛隊はある意味では24時間勤務です。日常業務が終わって営内(寮内)に戻っても、プライベートというよりは待機時間と言った方が正しいかもしれません。
というのも、大きい地震が来たら問答無用で出勤しなければならないからです。これは夜中であっても、長期休暇中であっても、必ず出勤しなければならないというルールになっています。
もちろん残業代などが出るということもありません。なぜなら24時間勤務だからです。…という冗談はさて置き、残業代は本当に出ません。
有事の際に急遽出勤することになった分については、後で落ち着いてから代休が使用できます。ただし、これは部隊によって違うのか、私が所属していた部隊では「代休ではなくて有休休暇を消費させられる」感じでしたし、ほぼ丸一日休みが潰れても補填されるのは半休だったりして、結構雑な印象が残っています。
部屋の掃除などは仕事に入らない?
自衛隊では原則として寮生活をしなければならず、寮生活において完全な自由はありません。特に下っ端隊員のうちは、まったく休まらない時間も少なくないでしょう。
ベッドで横になっていても、先輩隊員が部屋に入ってきたら身体を起こして「お疲れ様です!」と言わなければなりません。そして毎日、公共場所や部屋の清掃があります。
これ以外にも、先輩隊員から「やれ」と言われることが多々あるのですが、個人的にはそれも残業のようなものじゃないかなと思っていました。
新隊員のうちは、覚えることがあれば自分の時間を削って覚えなければなりませんし、酷い時には「宴会の時の余興の準備」なんかもしなければなりません。
まぁこれらは残業という感じでもないでしょうが、例えば「射撃訓練前後の銃整備」なんかはちゃんとした仕事だと思います。場合によってはこれも課業外にやらなければならなかったりするので、自衛隊にいる以上は残業とかそういうことは考えない方が無難です。
訓練時は駐屯地や演習場に寝泊まり
学校の試験のような感じで、自衛隊には定期的に「訓練」があります。規模はその訓練の内容によりますが、1週間単位の演習も普通にあるので、これについても残業代がどうのこうのと言っている場合ではないでしょう。
1週間の演習であれば、月曜日から木曜日までは仮眠というテイになり、夜中も普通に歩哨(見張り)に立ったりもします。そして金曜の夕方に終わって、そこから宴会が始まり、翌日は演習で使用した物資の手入れをして、日曜日はお休みという流れでしょうか。
にも関わらず、月曜日からはまた通常通りの一週間が始まったりもするので、ぶっちゃけ当時は「月曜日から金曜日までろくに休まずに働いて、休みがたったの1日かよ」みたいに思ったこともありました。
ですが、仕事の時間を使って物資の整備が出来るというのは、民間企業じゃまず考えにくいことですし、残業代が出ない部分を差し引いても、余るだけの魅力がある職場だと思います。
それでも一般的な民間企業よりは休みがずっと多い
超大手企業と比較してどうなるかは分かりませんが、割と休みが多いと言われている私の会社と比べても「自衛隊の方が圧倒的に休みが多い」です。
給料について貰える額面だけを見たら一般企業の方が良いというケースも多いでしょうが、休日の多さやボーナス&退職金の有無を考慮すると、自衛隊よりも待遇の良い会社はなかなか無いんじゃないかと思います。
私が所属していた部隊では日夜勤がありましたが、その次の日は午後休になって更に翌日が休みだったので、一週間に3日くらい休むということが普通にありました。
日夜勤中に地震などのトラブルがあると大変でしたが、それ以外だと普通に休みは多いですし、残業代が出ないことに目を瞑れるくらいのメリットはありふれていたと思います。
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最後に
自衛隊に残業という概念はありませんが、正月あたりなんて月の半分くらいしか働かなくてもお給料が満額もらえて、更にはボーナスもありますからね。
働いていた二十代の頃は少し不満に思ったこともありましたが、今思えば「十分すぎるほど恵まれている」と思います。もちろん有事の際の大変さがあっての待遇なので、決して楽な仕事ではありません。
ただ、残業代が出ないということ以上にメリットが多い職場でもあるので、入隊希望者の方はぜひ真剣に考えてみてはいかがでしょうか?