陸上自衛隊の陸曹候補生試験が最悪だった件|面接練習は今思い出しても気持ちが悪い

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

私は二等陸曹という階級までいき、陸上自衛隊を退職しました。自衛隊では士長という階級になってから曹という階級に上がるためには、試験に合格しなくてはなりません。

 

とにかくこの試験が最悪で受かるも地獄、落ちるも地獄のような部分があり、合格してから行くことになる教育課程は、今でも人生で辛かったことトップ10には間違いなく入ると断言できるのですが…。

今回はちょっと愚痴になってしまうかもしれませんが、陸曹候補生の面接練習などを通して感じた自衛隊のイヤな部分、どうしても好きになれなかった部分について書いていきたいと思います。

私の所属していた部隊の話であり、陸上自衛隊の全てがこうだというわけではありません。
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陸曹候補生試験とは?

陸曹候補生試験の概要

冒頭でも軽く触れましたが、自衛隊は入隊してからある位置までは自動的に昇進していきます。

昇進スピードは入隊区分にも左右されるものの、一般入隊の場合は士長になってから一定期間が経過すると昇任試験を受けることが可能です。

私が在籍していた部隊では「自衛隊に一生いるつもりはないから…」と言っても、受験そのものについて拒否権はありませんでした

 

これに合格すると3ヶ月間の教育課程へと進み、それを無事に終えることができれば一定期間後に晴れて三曹という階級に昇進できます。

三曹にさえなれれば、あとは不祥事を起こしたりしない限り定年退職まで安泰です。

 

合格者とその基準について

私がいた頃は「〇〇期同士での競争」という感じで同期がみんな合格してしまえばあとは自分だけになり、やる気さえあれば誰でも最終的には合格できるという感じでした。

試験の際には部隊によって枠が与えられ、その枠を部隊内で奪い合うという感じになるので、どうしても優秀な人の方が早く合格することになります。

私がやめる頃から少しずつ制度改革のようなものがあったので、今ではシステムが大きく違う可能性がありますが。

 

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陸曹候補生試験の内容

筆記試験

当時の私の印象では「筆記試験なんて勉強できるかどうかは一切関係なく、覚えようとしたかどうかでしかない」と思っていました。

自衛隊の中のルールなどに関する問題が出されるので、学生時代の成績はほとんど関係ありません(ただし、面白いくらい学生時代に勉強が苦手だった人が苦戦するイメージもあります)。

極論を言えば自衛隊クイズのようなものなので、中卒だろうが高卒だろうが大卒だろうが差は出にくいように思います。やる気さえあれば、誰でも点数を稼げるのがここです。

 

体力試験

陸曹候補試験に合格するには、体力試験に合格しなくてはなりません。合格基準は決して厳しいわけではありませんが、何か1つでも大きく苦手な種目があると落ちます。

  1. 腕立て伏せ
  2. 腹筋運動
  3. 3km走
  4. 懸垂
  5. 走り幅跳び
  6. ソフトボール投げ

上記6つの種目にそれぞれ最低基準が設けられており、それをクリアできるかどうかというものです。人並みにちゃんとやっていれば、誰でも合格基準に達することができるでしょう。

 

私自身は自衛隊入隊時に懸垂がまさかの0回でしたが、半年後にはなんとか最低基準をクリアできるようになっていました。私は運動ができる方ではなかったので、平均的に動ける人がサボらずに練習すれば問題ないと思います。

ただしボール投げに関しては、運動能力は高くてもこれだけ合格できないという人を何名か見たことがあるので、キャッチボールなどをして物を遠くに投げる練習が相当必要かもしれません。

 

術科試験

隊員たちに指示を出して、スタートからゴールまでを誘導するミニゲームのような試験です(ゲームと呼べるほど楽しくない説)。

回れ右をさせたり、左右に進ませたりという指示を出し、隊列がズレたりしたら指示を出して矯正したりなど、やってみれば分かりますがこれはセンスが問われます。

センスの良い人なら何回かやれば上手くできると思いますが、センスの悪い人でもカタチになるまで繰り返し練習させられますし、屋外の広い場所で行うので大声で指示を出さなくてはならず、多くの人がガラガラ声になるでしょう。

 

面接試験

面接官に「この人物を陸曹候補生として推薦してもいいかどうか」を判断させる場です。

個人的には面接で点数が付けられているとは思いませんし、企業面接などとは根本的な種類も違うので、今でも「あそこまで練習する必要は無かったんじゃないか」と強く思っています。

 

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面接試験の練習がとにかく地獄だった件

礼儀作法についての教育

面接をしてもらううえで、最低限のマナーってありますよね?

例えば「ノックをして『どうぞ』と言われてから『失礼します!』と言って入室する」とか「『どうぞ』と言われるまでは椅子に座らない」とか、そういうマナーです。

これは世間の常識と自衛隊の常識が大きく異なることからも、がっちり練習する必要があると思います。ここに関しては不満は一切ありません。

 

受け答えの練習について

面接官役の先輩隊員に「どんな陸曹になりたいですか?」等の質問をされて、それに答えるというシミュレーションをすることになります。

練習で矯正できる部分って、例えば「声が小さい/目を見て喋らない/言葉に詰まりっぱなし」とかそういう部分だと思うのですが、私の時は『〇〇と答えろ』という指示がありました。

 

それも面接官役の先輩によって言うことが変わり、更には「誰にそう言えって言われた?」等の面倒な展開も待っています。

要は面接官役の先輩隊員にとっても「自分より偉い先輩隊員がしたアドバイスをけなすことはできない」というしがらみに縛られるので、面接をする方もされる方も訳が分からなくなるという感じです。

 

あとは他人がやっている面接練習を横で見ていて、それに対してのダメ出しをするというルールもありました。

人によっては「前の人とは違うことを答えろ」などのローカルルールを持ってくるので、その人の悪かった部分というよりも「今までに出ていない部分で、さらに当たり障りのない回答を探す」という、これも訳の分からない展開になったのを覚えています。

 

面接を受ける際は坊主

それから面接試験に進むためには坊主強制でした。それも生ぬるい長さでは許してもらえず、基本的には1cm以下です。

彼女がいるとか好きな子がいるなどの色めき立っている時にこれは相当厳しいものがあり、1番厄介なのは「面接で落ちたら、来年もまた坊主にしなくてはならない」という部分でしょう。

 

「面接試験までいって合格できない」というパターンが続いたのは、私が知る限りでは3回までが最高ですが、いずれにしても自分のためとは言え不毛な時間だと感じる人も多いと思うので、なるべく早く通るのが理想です。

私の当時の考えでは、面接によってそれまでの点数をひっくり返せるだけの差は生まれないという考えだったので、やはり筆記試験や体力試験、術科試験で良い成績を残すことが重要だと思います。

 

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最後に

部隊によって教育方針が大きく違うと思うので、単に私の所属していた部隊が良くなかったのかもしれませんが、それにしても酷かったと思います。

 

例えば友達同士でも10人集まって「こいつの悪いと思う部分を1個挙げろ、ただし前の人と同じことは答えるな」というのは、多くの場合で8人目くらいにはもう「その人の悪い所ではなく、誰にでも当てはまるような悪い部分」を答えるようになるような気がするのですが…。

 

先輩隊員も「意地悪で言っているわけではなく、少しでも合格できる可能性が上がるように」ということでやってくれるのは分かってはいながらも、この辺りから徐々に「自分には自衛隊は向いていないような気がする」と思い始めた気がします。

この記事を書いた人

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。20歳の頃に入隊し、自衛隊には6年間在籍していました。仲の良い現役自衛官と今でも交流があるので、定期的に取材みたいなことをしつつ、自衛官を目指したいという人に向けて「もとじブログ」を運営しています。

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