元陸上自衛官のレトロ軍曹です。
私は自衛隊に入って、色んな人間を見てきました。基本的には「学校生活の延長上」という感じなので、いくら理不尽で横柄な人がいてもそこまで驚かないのですが、中には「え?なんで自衛隊に入ろうと思ったの?」と思った人が何人か居ます。
そのうちの1人が女性隊員なのですが、彼女は極度の虫嫌いだったんです。今回はそんな「虫嫌いの女性隊員の話」をしたいと思います。
虫嫌いは割と致命的なレベルで陸上自衛官には向いていない
あえて言う必要もないかと思いますが、陸上自衛官にとって虫が極度に苦手だというのは結構致命的です。
極度に虫が苦手だという人で「どんな虫であろうと目の前を飛ばれるだけで悲鳴を上げてしまう」という人(特に女性)は、そこまで珍しくないように思います。
でもそういう人は、おそらく自衛官になろうとは微塵にも思わないはず…。私が知っている虫嫌いの女性自衛官は、海上自衛隊でもなく、航空自衛隊でもなく、なぜ陸上自衛隊を選んだのか。全くもって理解不能です。
ちなみに私がこれまで見てきた自衛官には「お酒を一滴も飲めない人/運動が本当に苦手で体力がない人/朝が苦手で起きれない人」など、実に色んな人がいましたが「虫嫌い/潔癖症」だけは自衛官には向いていないと思います。
虫嫌いの女性自衛官は1年と持たずに退職
私の同期でもあった虫嫌いの女性自衛官は、結局部隊配属されてから半年を持たずに辞めていきました。
風の噂では「訓練中に泣いて逃げたらしい」ということが聞こえてきましたが、後期教育中に日陰で休んでいた時に飛んできた蝶々から逃げようとして、木にぶつかってそのまま医務室に直行した彼女ならやりかねないだろうなという感じです。
というか「よくそれで前期教育乗り切ってこれたな!」というのが正直な感想で、もっと言えば「よく陸上自衛隊に入ろうと思ったな!」という感じでしたので、彼女の入隊志望動機には今でも非常に興味があります。
どの程度の虫嫌いなら大丈夫なのか
ちなみに私も虫は得意な方ではありません。夜、寝る時になって部屋に虫がいるのを見つけてしまったら、たぶん気になって寝付けないような気がします。
そこで入隊前の人にとっては「虫は得意ではないけど、どの程度なら耐えられるの?」という方もいるんじゃないかと思うので、ここからはどういう場面で虫と遭遇することになるのかについて簡単にご紹介します。
芝生などで休んでいる時に虫が寄ってくる
陸上自衛隊では、訓練で山に行く機会が非常に多いです。
そんな時、こまめに水分補給などの休憩を取ることになるのですが、日陰で地面の土に座って休んでいるとバッタが飛んで来て足に乗ったりします。これが大丈夫なら大抵は問題ないです。
ちなみにここで言う虫は「バッタ/トンボ/セミ」などの割と良くいる普通の昆虫を指します。ちょっとレアな気持ち悪いやつとか、黒光りしたボス級のアレとか、攻撃してくる感じのハチとかではありませんのでご了承ください。
ほふく前進中に蟻の大群がいる
陸上自衛隊では、戦闘訓練でほふく前進をすることになります。
ほふく前進と一括りにしても実は数種類あって、みなさんが想像するようなほふく前進よりも更に態勢を低くしたものがあるのですが、この場合は地面に顔を付けるのが普通です。
「少しでも低い所、低い所を進め!」と言われるので、目の前に水たまりがあればそこを通過しますし、目の前に蟻の行列がいようが何だろうが直進しなければならないことも多く、それが大丈夫ならほぼ問題無いでしょう。
蚊対策に虫よけスプレーを使用するのはOK
自衛隊生活を続けていくと、夏の暑い日に夜間訓練などをする機会も出てきます。
この時は自陣の周りに見張りを立てたりするので、見張りの担当者は黙ってずっと周囲を警戒することになるのですが、メチャクチャ蚊に刺されるので注意が必要です。
もちろん戦闘中という前提ですから、声を挙げたりすることは許されず、蚊がいると分かっていても騒ぎ立てることはできません。
ちなみに蚊対策の虫よけスプレーなどの使用は許可されているので、見張りを交代する前に予防処置していくのが普通です。さすがに「根性で耐え抜け!」というようなことを言う人はいないと思うので、ご安心ください。
最後に
私もアパートなどの狭い道に蝉がいたりするとちょっと通りたくないと思ったりしてしまうレベルですが、その程度なら何ら問題ないです。
しかし一般的な出現率の昆虫類に対して、極度な苦手意識があるという方は注意しなければならないかもしれません。
まぁ虫が本当に苦手な人なら、最初から自衛隊に入ろうとは思わないのが普通だと思うので、私の同期の虫嫌いはちょっとおかしい人だったということでしょう(良い意味でも悪い意味でも)。