自衛隊内のセクハラに関するアンケートはあってないような物だった件

元陸上自衛官のレトロ軍曹です。

陸上自衛隊においても定期的に「いじめはありませんか？」とか「セクハラはありませんか？」という内容のアンケートの提出を定期的に求められます。

ただこれに関して、私の部隊ではほとんど意味を成していませんでした。こんなもんならやらない方がマシだと思うレベルです。

そこで今回は、私が陸上自衛隊に在籍していた時に感じた「自衛隊内のセクハラに関するアンケートはあってないような物だった件」についてご紹介したいと思います。

私が所属していた部隊の話なので、全てがそうだという意味ではありません。

私が体験したアンケート事案

無記名は無記名なのですが、誰が書いたかが分かるような状況で書かされることが大半でした。例えば1つの小隊で30人の隊員がいるとすれば、30人一斉にアンケートをやればまだ良い方で、大半は4人～5人でやらされて記入が終わった人から持って行くという感じです。

私はいじめに関しては自分自身の感覚もおかしかったので、叩かれたり蹴られたりしているのを見てもいじめだと思わなかったりもしたのですが、セクハラの方に関しては「これはセクハラなんじゃないか？」と感じる場面を多々見てきました。

ただ、それをアンケートに記入するというのは結構勇気がいるんじゃないかと思います。現にセクハラをしている側の人間が目の前で見てるわけですから。

恐らくその上(中隊長以上)もそこまで重要視していないのか、あるいは「ウチの部隊に限ってそんなことはない」ということで楽観視しているのかは定かではありませんが、アンケートなんてほとんど意味を成さないような職場でしたね。

本人にも「もしかするとチクられる可能性がある」という自覚があったのかもしれませんが、割と高圧的な感じで「無しに〇をつけて出せ」と言われたこともありました。

その話の延長上で「有りに〇をされると休みがなくなるぞ」という方向から、なるべく告発させないようにという圧を感じたり、ちょっとおちゃらけたような感じで「代わりにアンケートを書いておいたぞ」ということも。

この時ばかりは「マジかよ！」と本気で驚いたのを今でも覚えています。

例えば「いじめの現場を目撃したことがありますか？」という内容の設問があったとして、どこからがいじめなのかという判断は難しかったように思います。

普通に殴る、蹴るはありましたが、どちらかというと「殴られたり蹴られたりする方にも問題がある」という感じでした。特に自衛隊の場合は「仕事ができないからクビ」ということができないので、一般の会社よりも退職に追い込むという風潮は強いような気がします。

もちろん本気で悩んでいるという相談を受けたりしていたら、さすがに見てみぬふりなどはしなかったと思いますが、仮に私自身がいじめられているという境遇に追い込まれても、同期や先輩隊員には相談しなかったように思うので、それもまた難しいのかなぁという感じです。

中隊内で自殺者が出ると、必ずアンケートがありました。これに関しては、普段のセクハラやらいじめやらのアンケートに比べると親身になっているのか、そこまで「何もないだろ？な？」という感じは出してきませんでした。

が、やはりこちらも「何か些細な情報でもあれば刑務隊から事情聴取があるかもしれない」とう感じで釘を刺されている感はあったかもしれません。

ただここまで大事になると、小隊規模で隠蔽しようという感じは無かったように思います(自分の隊ではなく、隣の隊だったからかもしれませんが)。

どこからがセクハラかというのも、対象者がどう感じるかという部分に左右されるので何とも言い難い部分がありますが、私の所属していた隊の先任は飲み会になると必ずと言っていいほど女性隊員に絡んでいて、個人的には見ていて気持ちの良いものではありませんでした。

なんなら「お前、それがやりたいがために飲み会増やしてるだろ？」と思うレベルです。

ただ、セクハラされているのは自衛隊に入ろうと考えるような女性ですから、割とかわしかたが上手い人が多く、本人が本気で嫌がっているかどうかは判断できかねる部分もありました。

1回マジで「嫌じゃないんですか？」と女性隊員の先輩に聞いたことがあったのですが「酔っぱらい親父だし、しょーがねぇなーくらいのもんよ！」と言っていたので、まぁ私が言うことも無いだろうということでスルーしています。

学校なんかでもアンケートは無記名と言いながらも意味を成していないケースがあると思いますが、私が陸上自衛隊で体験したそれは本当に酷いものでした。

ちょっと考えれば分かるはずなんですけど、それをやらないってことは上も「やれと言われてやっているだけ」という感じなのでしょう。

今回はアンケートに関してのことでしたが、こういうことが割と多くあるので、自分をしっかり持って毅然とした振る舞いが求められると思います。これから自衛官になろうという方はぜひ芯を持って頑張ってください。