元陸上自衛官のレトロ軍曹です。この記事では以下のようなことが分かります。
- やめたい理由の見つめなおし(本当にやめてもいいのかどうか)
- 自衛隊からの転職を決意した時にやるべきこと
- 自衛隊を辞めて大変だったこと(実体験)
私は6年間陸上自衛隊に勤務し、一生勤め上げるつもりでいたんですが…。ちょっとした嫌なことがあって突発的に辞めてしまいました。その時は本当につらくて「外でやっていく自信はない→でも自衛隊にもいたくない」みたいな負のスパイラルに陥っていたように思います。
で、実際に「自衛隊を辞めるときにこれをやっていて良かった!」とか「これをやっていれば良かった」っていう思い当たる部分があるので、現在進行形で自衛隊を辞めたいという人に向けてアドバイスを送りたいと思います。
自衛隊からの転職を決意した時にやるべきこと
- お金を貯める
- やりたい仕事の調査と理由の裏付け
- 自分の市場価値を俯瞰的に見る
お金を貯める
自衛隊から退職して再就職先がすぐに決まればいいのですが、そうでなかった時の可能性を考えて「貯金」はしておいた方がいいです。
特に私のように「そこそこ栄えている地域の駐屯地に配属されているけど地元は車が必須の田舎」という場合は自家用車の購入が必要になりますし、サラリーマンが仕事を辞めるのと違って失業保険などは無いため、自分で最低限の軍資金は貯めておくのがいいでしょう。
やりたい仕事の調査と理由の裏付け
自衛隊の余暇を使って資格取得もおすすめ
もしやりたい事が決まっているのであれば問題ないのですが、もし「やりたい仕事が決まっているわけではないけど、とりあえず自衛隊にはもう居たくない!」という感じなのであれば、自分には何ができるのかを含めてリサーチが必要です。
よほど学歴や特殊技能を持っているのであれば一般社会でも引く手あまたという状況になるのかもしれませんが、多くの人はそうじゃないかと思います。
私の場合は就きたい仕事はなく「とりあえず自衛隊にはやりたいことはないし、こんな所は一刻も早く出たい!」という感じで辞めたのですが、辞めることを決めてから色んな資格を取っていたことが功を奏しました。
実務経験が無いなりに説得力を身に付ける
- 「資格はあるけど実務経験が無くて雇ってもらえないから職業訓練が受けたい」→職業訓練校に入校
- 職業訓練校に通っていることによって仕事に対する意欲の裏付けをして、資格を活かすことができる就職先が決まる
私は約1年近い時間を勉強に費やすことができたので、とにかく多くの資格を取りました。資格そのものの取得についてはそこまで意味があったとは思いませんが「この業種で頑張りたいんです!」という意欲の裏付けには十分だったと思います。
それに電験3種なんかは結構需要がありますし、業種によっては資格手当なんかも貰えたりするので、個人的には「資格取得の勉強は有り余っている時間を費やすのには最適だった」と今でも思っています。
自分の市場価値を俯瞰的に見る
自衛隊の経験は決して無駄じゃないけど…
私は高専中退という最終学歴で、自衛隊では中卒として扱われていました。ただ、勉強は苦手では無かったので「中卒なのに頭が良い」と言われるポジションで持ち上げられることが多く、心のどこかで自分は頭が良いと錯覚していた部分があります。
そして一応若くして2等陸曹までになったので、決して動ける方ではありませんでしたが「優秀な隊員だ」と評価されていました。…が、これを真に受けていたこともあって私は就職活動で痛い目に遭います。各企業は「あなたは弊社の為になにができますか?」という目で見てくるのですが、そこに見合うだけの価値を提供できないんです。
自衛隊では若くして2等陸曹になり、そこそこ資格は持っているというのが武器だと思っていても、一般企業から見ると「高専中退で自衛隊も途中で辞めた実務経験が一切ない人間」だったんでしょう。
転職のプロの力を借りるのもおすすめ
今だから言えますが傲慢になりすぎているのも危ういものの、転職という場において「自分なんて…」という変な謙虚さは不要です。ただし自分の価値観や能力を客観的に知っておくことは重要だと思います。
これをやらなかったせいで当時の私はえらい目に遭ったので、これから自衛隊を辞めて一般社会に出て行こうと考えている人は、客観的に自分の能力を知るためにも「転職サイトの利用」がおすすめです。自分に合った仕事が見つかるかもしれませんし、利用自体は無料の所が多いです。
転職サイトによっては「第二新卒、未経験者でもOK」などの特色がある所も少なくないので、こういうサービスは文句無しに利用していくといいでしょう。以下で紹介しているネオキャリアなら、就職先候補の人間関係などの情報も提供してもらえます。
自衛隊を辞めること自体は大したことじゃない
「人生詰んだ」からの「全然大したことなかった」
以前にも「自衛隊を辞めてから10年「今まで一度も後悔していない」という話」で書きましたが、私にとって自衛隊を辞めること自体は全然大したことじゃなかったです。もちろん辞める時は不安に押しつぶされそうになりましたし、辞めた瞬間は冗談抜きに「あ、人生詰んだ」くらいに思っていました。でも、今思えば全然大したことじゃないです。
中には「自衛隊にいれば良かったと思っているくせに、悔しいからそれを肯定できないだけなのでは?」という人もいるかと思います。でも本当に正直な気持ちで「自衛隊を辞めて良かったと言うつもりはありませんが、全く後悔していない」というのが本音です。
出戻り隊員や自分より先に辞めた先輩から話を聞こう
この記事を読んでいるあなたも「自衛隊を辞めたいけど、辞めて生きていけるのだろうか」と不安になっているのではないかと思います。…が、多分大丈夫です。あなたの周りにも「この人は仮に自衛隊を辞めても大丈夫そう」という人もいれば、悪い意味で「この人は自衛隊じゃなきゃ無理だろう」と感じる人もいると思います。
ですが、後者はまず自分が自衛隊を辞める時に不安がったりしないでしょうし、不安がったとしてもこうやってネット検索したりはしないんじゃないかというのが私の考えです。私は自衛隊を辞める時に一足先に辞めていた陸曹の先輩に話を聞いたり、同期で二度目の自衛隊人生を歩んでいる人(出戻り隊員)に話を聞いたり、色んな人に相談というか話を聞きました。
当時はまだスマホじゃなかったですし、ネット検索しても自衛隊を辞めた人が書いているブログは無かったので実際に話を聞きに行ったわけですが、そういう気の回し方が出来る人なら一般社会でも十分に通用すると思います(現に私がそれなりにやっていけてます)。
衝動的に自衛隊をやめた私の実体験
自衛隊にいたことは有利になるのかどうか
私が自衛官を辞めようと考えていた頃は、自衛隊内部では「自衛官は礼儀作法に厳しいから、外の世界でも再就職に有利だ」ということを常々言われていました。「それって本当かよ」って思いませんか?もし自分が会社を経営してたとして、元自衛官だからって採用に傾くことってありますかね…。
正直言って有利に働くかどうかは採用者次第という部分が大きいかと思いますが、少なくとも「多くの応募者がいるような場合に、経歴だけで注目されることは間違いない」です。
職種にもよるので一概には言えませんが、経験者や即戦力が欲しいと考える会社が山ほどある中で、もし「未経験でもいいから頑張れる人材が欲しい」という会社があれば、同じ未経験の人間の中では多少は有利になるんじゃないかと思います。
「自衛隊を辞めた理由」は用意しよう
もし面接で「自衛隊を辞めた理由」について聞かれたら、個人的には正直に答えてもいいんじゃないかと思います。私の場合は「自衛隊に身を置きながら心身を鍛え、本当にやりたいことが見つかったから退職を決意しました」という感じで答えました。これ、マネしてもOKです。
本当にやりたいことというのが面接を受けた会社の仕事というわけですが、その発言に根拠を持たせるために資格の取得などは抜かりなく済ませておきました。
ただし、本音で言うと別にやりたいことが決まっていたというわけではなく、たまたま取った資格に関連する業種の会社がたまたま私の就活中に社員を募集していたので、ぶっちゃけ非常に運が良かったと思っています。
もし明確なビジョンを持っているのであれば自衛隊を辞めた理由は何でも良くて、あとはその理由付けに資格なり実績なりを示してやればOKです。
就職が決まらないなら「職業訓練」もおすすめ
たまたま聞いた職業訓練校の話
ちなみに私の場合は地元から遠い都道府県に飛ばされ、自衛隊を辞めることが決まってからはその中でも更に僻地へと左遷されたので、自衛隊に身を置きながら就職活動をするということが難しい状況でした。
そして退職後も自衛隊で貯めたお金があったので、しばらくは実家で暮らしながら遊んでました(とは言っても半年くらいだったけど)。就職する気は満々でしたが「とりあえず就職するにも車が必要だ」ということで中古車を買ってから遊び惚けてしまいました。
そして「いい加減にやばい」と思ったのが夏です。その時に職業訓練の話を聞き、応募してみることにしました。
職業訓練は学べる事も多いし、お金も貰える最高の制度
職業訓練と言うのは勉強しながら更にお金が貰えるという夢のような制度で、本来は一般の会社を辞めた人が失業保険を貰いながら通う学校のようなものなのですが、私のような元自衛官でもお金が貰えます。
失業保険とは違って自治体が決めている最低金額の支給になりますが、個人的には勉強もできてお金も貰えて、更に就職する意識も芽生えるということで非常助かりましたし、今でもめちゃくちゃ感謝しています。もし「具体的にやりたいことが決まっていない」という状態で自衛官を退職する場合は、職業訓練校という選択肢を取ってみてはいかがですか?
関連記事▶元自衛官が職業訓練校に通った話|スキルが無い人におすすめ!
職業訓練校は自治体によって申込期間や勉強できる科目が違うようなので、気になる方は最寄りのハローワークにお問い合わせください。
外部サイト職業訓練校一覧 – ハローワークインターネットサービス
自衛隊を辞めたいあなたへ まとめ
- お金を貯める
- やりたい仕事の調査と理由の裏付け
- 自分の市場価格を俯瞰的に見る
- 自衛隊を辞めた理由は本音でも嘘でもちゃんと用意する
- 場合によっては職業訓練を利用しよう
自衛隊では一般の会社のように「辞めたいと言ってから3か月後に辞めさせてもらえる」というケースはほとんどないと思います。任期付き隊員なら人気の満了を持って退職となるでしょうし、一般曹候補生や陸曹だと簡単には辞めさせてもらえないでしょう。
ここで「本当に辞めてもいいかどうかを考える」ことは非常に重要です。短絡的に辞めてしまうと後々後悔してしまうことにもなりかねません。私は半ば突発的に辞めてしまいましたが、それでも自衛隊を辞めた先輩や出戻りの同期に相談したりして、納得したうえで辞めたので後悔もしていないんだと思います。
一刻も早く辞めたいという気持ちも分かりますが、それが叶わないならせめて時間を有意義に使うよう心掛けてみてください。資格の取得、自分を俯瞰的にみるのはめちゃくちゃおすすめです。