元陸上自衛官のレトロ軍曹です。
私の知り合いの自衛官にも「親子二世代以上に渡って、陸上自衛隊に勤めている」という人は少なくありません。
私のような一般的な隊員からすると、親が自衛官で自分もそうだという場合は羨ましいと感じる部分も多いです。しかし、親が自衛官であるからこそ大変そうだと思う部分もありました。
そこで今回は、一般隊員だった私が考える「二世隊員の特徴」について書いていきたいと思います。
二世隊員には優秀な人が多い!?
あくまで私の体感上のものですが、二世隊員には優秀な人が多かったように思います(当然ながら「人による」という前提はあるとして)。
やはり親が自衛官ということで、それなりに厳しくしつけられてきたことも関係しているでしょうし、親から「こうした方がいい、ああした方がいい」というアドバイスをもらっていることも少なからずあるでしょう。
人間として尊敬できるかどうか、人として優秀かどうかは別にしても、陸上自衛官としては優秀な人が多かったように感じました。
少なくとも芸能界を見ていて感じるような「こいつは〇〇の子供って肩書きがなければ大したことがないだろうな」と感じるほどのボンクラは私の周りには1人もいなかったです。
二世隊員に対して羨ましいと感じた点
多くの先輩から可愛がられる
本人の愛されスキルが高いことも関係していますし、そもそもの親が嫌われていないという前提ですが、二世隊員の多くは先輩隊員から可愛がられる傾向が強いように感じました。
実際に自分に置き換えたら分かりますが、同期隊員の子供が自分の所に隊員としてやってくるとしたら、同期隊員から「うちの息子が行くからよろしくな!」とか一言ありそうなもんです。
そうなったら贔屓とは言わないまでも、その同期に対して特に悪い感情を持っていない限りは共通点も生まれて接しやすくなるというのも頷けるのでは?
色んな場面で偉い人から話しかけられている二世隊員の同期を見ていたら、大変そうだと思いながらも羨ましいという感情があったのも事実です。
本人の希望次第で地元に残りやすい!?
このあたりは実際にどうなのかは分かりませんし、私が見ていて勝手に感じたことなので、事実誤認があるかもしれませんが…。
部隊配属の希望なんかも親が手まわししてくれるケースがあったり、あとは転勤させられにくいという気がしたのは事実です(前者の場合は本人の希望に沿っているかどうかはまた別の話として)。
あくまで私が所属していた部隊の話ですが、1小隊30人前後の隊が5つほど集まって1中隊という規模の部隊で、私以上のキャリアを持った隊員の中で1度たりとも転勤がなかった人物は5/6で二世隊員でした。
もちろん転勤してきた二世隊員も多く、本人の希望次第という部分も大きいはずなので一概に言えないことは理解しているのものの、5/6で転勤がなかったという事実を見ても、何らかの力が働いていたのではないかと考えるのが自然のような気もします。
二世隊員に対して大変そうだなと感じた点
高いレベルで空気を読んでいることが多い
多くの人は本音と建て前を持っていて、特に今の時代は「空気を読め」と言われるケースも少なくありません。
それでも「嫌な物は嫌だし、やりたくないことは嫌だと言いたい」という感情は誰しもが持つと思います。
しかし私が見てきた二世隊員の多くは「自分がどうしたいかという感情だけではない何か」を重視しているようにも見えました。
言葉を選ばずに言うと「自分がここで我を突き通してワガママを言ったら、親にも迷惑が掛かるんじゃないか?」というような気苦労をしていた隊員が多かったようにも思えます。
可愛がられる反面、気苦労も多い
可愛がられるということは一長一短です。良い部分だけを見ていれば羨ましくもなりますが、悪い部分が見えてくると「大変そうだな…」と気の毒に感じることも少なくないでしょう。
特に私の同期隊員の場合、すごく気遣いができる子で誰からも好かれるタイプの隊員でした。恐らく彼の場合は親が自衛官じゃなくても好かれていたでしょうが、親が自衛官であることがそれに拍車を掛けたという感じです。
そんな彼は、彼の父親を知る色んな先輩隊員から引っ張り出されていました。
それこそ飲み会に連れて行かれたりするということが非常に多かったわけですが、飲み会がそこまで苦手じゃない彼も「地獄だった…」と言うケースが結構あったので、そもそもの飲み会が好きじゃない私だったら本当に地獄だったんだろうと思います。
最後に
自衛隊と一口に言っても非常に大きな組織なので、中にはいけ好かない二世隊員もいると思います。
でもそんな人も、一般隊員からすると計り知れない部分で苦労しているのではないでしょうか。
時には羨ましいと感じる部分で嫉妬してしまうこともあると思いますが、本人からするとそんな単純な問題でもないはずです。
もし自衛隊で二世隊員の同期がいた場合は、なるだけ力になってあげてください。