元陸上自衛官のレトロ軍曹です。
高校卒業後すぐに自衛隊の入隊を検討しているという人の場合は、高校に通っている間に自動車教習所に通うべきかどうか悩んでいるという人もいるのでは?
自衛隊では仕事をしながら資格を取れるというイメージもあるようで、その実態が気になるという学生さんも多数いると聞きました。
そこで今回は、自衛隊で取得できる資格の中でも運転免許についての内部事情についてお話ししたいと思います。
自衛隊での運転免許取得を狙う人は多い
私が住んでいる地域は非常に田舎で、どこに行くにも車が無ければ不便をしてしまう地域なので、高校在学中に免許を取得する人が非常に多いです。
そんな中、私が自衛隊に入隊した時の同期たちは約9割が運転免許を取得しておらず、入隊後に自衛隊で取得しようと目論んでいました。
都会に住んでいる人は「車=贅沢品」というイメージがあるのかもしれませんが、田舎に住んでいるという人にとって運転免許の有無は死活問題だと思います。
しかし学生時代はお金がありませんし、社会人になったらお金はあっても今度は時間に悩まされてしまうでしょう。そこで陸上自衛隊では日常業務で運転免許の取得ができるので、それ目当てで入隊してくる人もいるくらいですから、運転免許が欲しいという人の入隊もおすすめです。
自衛隊専用の自動車学校のような所で訓練する
もしかすると「一般の自動車学校に通わせてもらえる」と勘違いされる方がいるかもしれませんので…。自衛隊には自衛隊の中に自動車学校のような所(自衛隊自動車教習所:略して自教)があり、そこで運転免許を取得することになります。
教官も自衛官で、一部「厳しい」という情報が流れていますが、私の時は全く厳しいと思いませんでした。上下関係はありますが、普段の部隊での上下関係とはまた種類が違って「自教同期」みたいになるので、割と和気あいあいとやっていた記憶があります。
私の場合は20歳の時に入隊し、普通に運転免許を所有している状態で自教に行きました。
どっちが楽しかったかと言われればお金を払って通った一般の自動車学校の方が楽しかったですが、自教は「お給料をもらいながら運転免許を取らせてもらえる」という部分に多大なメリットがあるので、ありがたいという感情以外の何物もないです。
免許取得のタイミングについて
取得できるタイミングは部隊の方針によって大きく左右される
私が所属していた部隊では、基本的には陸曹試験に受かった人間が優先的に行くことができ、その該当者がいなかったり枠が余ったりしたときに、古株の陸士長に権利が与えられるという感じでした。
私は割と大きい駐屯地に居て比較的忙しい部隊でしたので、どちらかというと特殊な例かもしれません。それこそ私の地元に勤務していた同期はガンガン免許を取らせてもらっていましたから。
なので、こればかりは部隊によって大きく変わると思います。どちらかというと小規模な駐屯地の方が行かせてもらえるのかなぁという印象です。
私が所属していた部隊では、任期付き隊員で2任期の間に自教に行かせてもらった人はほとんどいなかったですし…。まぁ任期満了で貰ったお金で一般の自動車学校に免許を取りに行っても、莫大なおつりがくると思いますが。
車両を頻繁に使う部隊ほど免許の取得も早い
陸上自衛隊では、教育期間中にある程度の希望は取られますが適正などもあるので、何処の部隊に配属されるかはタイミングと運です。
そして当然、車両を使う部隊の方が免許の取得も早いと思います。
例えば私の同期で偵察部隊に行った人がいるのですが、彼は職務で必要な偵察用オートバイに乗るために割と早い段階で自教に行っていました。
私が所属していた部隊では、年に数回ある演習の時に4tトラックを数台出すくらいで、あとは定期的に演習所の点検などに行くくらいでしたので、あまり必要ないと言えば必要なかったため後回しにされていたのかもしれません。
このあたりも運だと思います(同じ中隊でも規模が小さい小隊に所属しているほど自教に行かせてもらえるというイメージ)。
最後に
私が思うに新隊員教育時に「いかに運転免許が欲しいということをアピールするか」が重要だと思います。
もちろん多くの人間は「この部隊に行きたい/この部隊は嫌だ」などの希望があるので、運転免許の取りやすさなんて二の次になるんじゃないかと思いますが、最初の段階で免許が早く取りたいという意志をアピールしておけば、比較的取りやすい部隊に配属してくれるんじゃないかと。
もし私が現役高校生で自衛隊に入る気満々だとしたら、自分でウン十万円払って自動車学校に通ったりはしません。そういう人はぜひ自衛隊で運転免許の取得を目指してみてください。